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売り手市場における内定辞退の動向
シリーズ|内定者コミュニケーション
リクルートキャリアの調査によると2020年春卒業予定の大学生(大学院生除く)の就職内定率は6月1日時点で7割を超えています。選考解禁日時点での7割越えは2012年に調査開始以来の高内定率であり、ますます売り手市場になっていることがうかがえます。
さらに“通年採用”というキーワードが浮上するなか、「内定辞退」は企業にとって大きな課題となっています。本シリーズでは、内定者が自分の企業選択に確信を持ち入社意欲が高まるよう、企業としてどのようなフォローが必要か考えていきましょう。
内定辞退率の増加
リクルート就職みらい研究所の調査によると、企業が選考解禁日の6月1日までに内定辞退を経験している割合は、2017年卒が32.8%、2018年卒が36.5%、2019年卒が43.2%と年々増加しており、2020年卒については50%を超えても不思議ではないという見方もされています。
2019年卒の3月卒業時点での1人当たりの内定取得社数は平均2.46社であり、内定辞退率は67.8%。つまり企業から見れば10人に内定を出して3人程度の入社というかなり厳しい状況です。
おそらく前年までの経験をもとに多めに内定を出している企業が多いと思いますが、それでも2020年卒については予想を上回る辞退者が出る可能性もあります。
採用人数が充足していない企業だけでなく、留学生、公務員志望からのキャリアチェンジ組などを念頭に、秋以降も採用活動を続けている企業は数多くあります。学生側も、短期決戦で内定を得たものの、思考が深まっておらず、内定してから悩み始めるケースが非常に多くなっています。実際、複数企業に内定しながら全て辞退して、就職活動をリスタートさせる学生にもよく会います。内定承諾後辞退が(残念ながら)珍しくないいま、学生がなぜ自社の内定を辞退するか事前に把握して対策を練る必要があります。
最近の「内定」や「内定辞退」に関する話題
2019年5月15日に日経産業新聞に「内定辞退者は直接企業へ訪問すべき」という内容の記事が掲載され、大きな反響を呼びました。有料会員限定で公開された記事でしたが、5月16日にTwitterのトレンドワード入りし、各メディアがその是非について追って記事にするほどの影響がありました。
この記事にはさまざまな立場の人がコメントしています。「直接出向くのはやりすぎ、メール、もしくは電話の方が良いのではないか」「企業がメールのみでお祈りメールを送るのになぜ学生はだめか」ほか「業務効率上いかがなものか」という意見もありました。
また、近年は、新卒学生の採用にあたり内定の承諾について企業が親の意向を確認する「オヤカク(親確)」という試みが広がりつつあります。
売り手市場を背景とした学生の内定辞退増加が続く中、親の反対が原因で内定辞退が起こらないように、学生の親に直接アプローチする企業が増えています。
まとめ
売り手市場を受け一人当たりの内定獲得数は増加しています。採用を成功させるためには、内定者の入社へのモチベーションを4月1日まで維持する必要があります。
なぜ学生が自社の内定を辞退するのかという理由のパターンを把握すると、その対策も見えやすくなるでしょう。
参考
就職みらい研究所(株式会社リクルートキャリア) 就職プロセス調査(2020年卒)【確報版】「2019年6月1日時点 内定状況」