MENU

TOP  >  インタビュー  >  一人40分のキャリア面談で内定応諾率を向上。 いま動き出す、...

Interview

一人40分のキャリア面談で内定応諾率を向上。
いま動き出す、イトーヨーカ堂の「変化対応採用」

RECRUITMENT

Published on 2024/03/22

VIEW 1515

Profile

倉持 裕美Yumi Kuramochi

株式会社イトーヨーカ堂
人事総務室 採用教育部 マネジャー

1999年入社。婦人肌着売場担当、売場担当マネジャーを経て本社に異動し、全店の婦人肌着担当商品の在庫管理や情報発信などを担う。その後はマーチャンダイザーとして婦人肌着や紳士・婦人パジャマ、手芸用品、手帳・カレンダーなどの商品開発に従事。続いてトレーナー部にて接客教育や新人教育を担当。2023年より新卒採用のマネジメントを行う。

総合スーパーマーケット大手のイトーヨーカ堂は、日本の小売業を代表する企業の一つ。学生からの人気も高く、新卒採用では毎年100名を超える学生を採用していますが、近年は内定辞退の増加が課題となっていました。そこで同社が新たに取り組んだのが、全内定者を対象とした一人40分に及ぶ対面面談です。これにより内定応諾率は昨年比10ポイントも上昇し、内定応諾から内定式、年明け後の離脱もゼロになったといいます(2024年2月時点)。他にも「一次面接をすべて対面化」「コンパクトで参加しやすいワンデーオープンカンパニー」など、学生とのマッチング向上に向けた新施策を次々と推進中。同社の掲げる「変化対応業」という理念に相応しい、採用チームのチャレンジについてお聞きしました。

対人スキルを見極めるため、対面・集団面接を重視

まずは、改めて貴社の事業内容や特徴についてご紹介いただけますか?

イトーヨーカ堂は衣食住に関わる商品を扱う総合スーパーを運営している会社です。コロナ禍以後はお客様のニーズに応え、フード&ドラッグ事業を軸とした食料品と生活必需品を強化しています。当社ならではの強みとしては、セブン&アイ・ホールディングスのプライベートブランドであるセブンプレミアムが挙げられます。セブンプレミアムはブランド商品に劣らない品質にこだわっており、グループのどのスーパー、コンビニでも同じ価格・品質で提供していることが特長。セブンプレミアムのグループ総売上は年間一兆円を超えます。

素晴らしいブランド力ですね。採用サイトには「小売業とは変化対応業である」というメッセージが記載されていますが、こちらにはどのような想いが込められているのでしょうか。

総合スーパーの売場づくりは、一見、単調な仕事に見えるかもしれません。しかし実は、お客様の心の動きと合わせて大胆に変化させることが必要。そのため、採用においても時代の変化を敏感に察し、自ら考えて行動できる方を求めています。

そうした人材を採用するために、採用チームではどのようなことを大切にしていらっしゃいますか?

当社は小売業ですので、新入社員は必ず店舗の販売員からスタートします。そのため、選考においても学生の笑顔や言葉遣い、立ち居振る舞いといった対人スキルを重視しています。コロナ禍では面接や説明会をWebで実施することも多かったのですが、2025シーズンからは一次面接をすべて対面の集団面接に切り替え、対面の会社説明会も実施したいと考えています。

一次面接を対面にすることで遠方の学生にとっては応募のハードルが上がる可能性もあるかと思います。どのようにお考えでしょうか?

たしかに応募のハードルは少し上がってしまいますが、いずれ入社後は関東圏で勤務していただくことになりますし、一次面接からあえて対面で実施することで、人とのコミュニケーションを楽しめる方に来ていただけるのではないか、と期待しています。また、コロナ禍の採用ではWeb面接が2回と最終の対面面接が一回という構成でしたが、「実は対面でのコミュニケーションが苦手だった」ということが最終面接で明らかになるケースがありました。そうしたミスマッチを減らすためにも、最初に対面面接を実施するのは有効だと考えています。

キャリアカウンセリングさながらの内定者面談

貴社では2024シーズンから、内定者一人ひとりと40分ほどかけて対面で面談されていると伺いました。どのような背景から、こうした施策を開始したのでしょうか。

私が2023年4月に新卒採用を任されたとき、大きな課題として挙がっていたのが内定応諾率の低さでした。2024シーズンの途中から担当することになった自分にできることはないかと考えた結果、100名以上の内定者にお一人ずつお越しいただき、私が全員と一対一でじっくり直接対話してみることにしたのです。

100名以上と40分ずつとは、相当負担がかかる作業ですね。

確かにかなり大変でしたし、私の長時間労働という別の問題も発生してしまいましたが(笑)、やる価値はあったと確信しています。

内定者面談ではどんな話をしたのですか?

まず私の自己紹介をします。私は入社してから、売場担当者、売場マネジャー、マーチャンダイザー、人材教育と幅広い仕事を経験してきました。それを伝えることで、総合スーパーには販売以外にもいろんな仕事があるんだ、とリアルに感じていただきました。その後、内定者に「どんな仕事をしてみたいか」をヒアリングし、興味がある仕事について詳しく紹介しました。何がしたいか決まっていない学生には、大学時代の勉強内容や興味関心について話してもらい、適性のある仕事を紹介しました。中には昇進に対して消極的な学生もいますが、そうした方にも登録販売者の資格をとって店舗でステップアップを目指すなど、少しでもイトーヨーカ堂の仕事に魅力を感じていただき、長く働ける居場所がそれぞれにあることを伝えました。

入社前に、キャリアカウンセリングに近いことを行われているのですね。

そこまで専門的なアドバイスはできませんが、私自身多彩なキャリアを歩んできたので、どの仕事に就くためにどのようなことをすれば良いかはわかっています。学生からもおおむね好評だったと感じており、実際、内定応諾率は昨シーズン比で10ポイント改善しました。また、例年、内定応諾後に離脱する方も何名かいますが、今年度は今のところ全員が残っています。内定者懇談会を昨年の年1回から2回に増やしたことも功を奏しているかもしれません。

1dayのオープンカンパニーで、気軽に魅力を感じてもらう

貴社では2025シーズンより、インターンシップの開催形式をオープンカンパニー形式に変更されていると伺いました。施策の狙いについてお聞かせください。

数日間かけて職業体験を提供するインターンシップに対し、オープンカンパニーはワンデーで業界、会社、仕事について理解促進するイベントとなっています。2023シーズンまでは店舗見学や発表などを含む重厚なインターンシップのみ実施していたのですが、学生にかかる負担が大きく、途中離脱が多いという課題がありました。そこで2024シーズンはインターンシップに加えて1dayのWebオープンカンパニーを実施。小売業界に興味がある学生を対象に、仕事の魅力を伝えるシンプルな内容にしました。そして2025シーズンからは、1dayのオープンカンパニーのみ実施する方針に切り替えています。

1dayのオープンカンパニーはどのような内容なのですか?

売場担当者、売場マネジャー、店長という3つの仕事を短時間で楽しみながら体験できるワークを実施しています。外から見えるスーパーの仕事は売場の販売員だけで、パートさんと社員の区別もつきにくいもの。でも、実際の小売業社員の仕事は単純作業ではなく、さまざまな情報・環境の変化を読み取り、チームで協力しながらお客様に喜ばれる売場をつくり、売上を上げていく奥深い仕事です。参加者にはそうしたやりがいも感じていただけているようです。

学生の傾向やニーズにあわせて、施策を改善されているのですね。最後に、今後の採用活動に向けた目標を教えていただけますか。

私は採用マネジャーになってから、3年かけて一つずつ課題を解決する計画を立てました。1年目の目標は「結ばれる」。これは2024シーズンで実施した内定者フォローで、一定の成果を出すことができました。2年目の目標は「見立てる」。これから本格的に始まる2025シーズンでは、一次面接を対面集団面接に変更し、多様性ある人材をしっかり見極めていきたいと考えています。そして3年目の目標は「出会う」。2026シーズンでは1dayオープンカンパニーを全体的に見直し、会社・仕事の魅力をより深く伝える予定です。いずれも手間のかかる仕事にはなりますが、採用活動は手をかけるほど成果につながるもの。多少生産性が下がったとしても全力を尽くしたいですし、採用チームも「変化対応業」の精神で学生のニーズに応えていかなければならないと思います。

last


関連記事

Interview

インタビュー記事一覧へ

Seminar

コンテンツがありません

セミナー一覧へ