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Interview

マッチングの秘訣は「個へのアプローチ」。
グローバルメーカー・HIOKIが「対話」にこだわる理由

Published on 2022/05/20

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Profile

丸山 紗代Sayo Maruyama

日置電機株式会社
人事部 グループ人材戦略課

2018年入社と同時に人事部に配属。人材採用の企画、運営全般に携わる。業務を通じて「企業理念や事業戦略に基づいた人材戦略、ひいては会社の未来に、採用を通じて貢献するやりがい」に目覚める。

長野県上田市に本社を構える日置電機株式会社は、電気計測器の開発、生産、販売・サービスまでを一貫して行い、グローバルに展開している東証プライム上場企業です。電気計測器は「産業のマザーツール」と呼ばれ、電気を使うあらゆる産業を支える重要な製品。こうした事業内容に相応しく、同社の採用においては何よりも「誠実さ」を重んじているといいます。例えばインターンシップでは、あえて難易度の高い本格的な仕事体験をオンラインで実現。さらに人事担当者一人で100回以上にのぼる個別面談を実施し、「個へのアプローチ」を深めています。「入社3年以内離職率ほぼゼロ」という高い定着率は、そうした努力の結晶といえるでしょう。強力なマッチングの秘訣を、人事部の丸山様に語っていただきました。

グローバル展開に伴い、進化する人材戦略

貴社は電気計測器メーカーとしてグローバルに展開していますね。この事業の特徴について改めてご説明いただけますか?

電気計測器というのは、文字通り「電気」を計測するツールの総称です。一般には馴染みの薄い製品かもしれませんが、電気を取り扱う現場では不可欠な存在であり、「産業のマザーツール」と呼ばれます。例えば街や工場の電気設備の保守点検には電気計測器が欠かせませんし、電車が毎日安全に運行するためのメンテナンスにもHIOKI製品が使われています。また、次世代自動車やバッテリーといった、未来のエネルギー活用に向けた研究開発などにも電気計測器は不可欠です。

貴社の採用サイトでは「世界を共創するソリューションクリエイター」という印象的なキャッチコピーが用いられています。ここにはどのようなメッセージが込められているのですか?

近年、世界的に脱炭素への動きが加速するなかで、化石燃料から電気へとエネルギー転換が進んでいます。この流れを受けて電気計測器に対するニーズが急速に高まっており、当社はかつてない事業拡大期・変革期を迎えています。ここ数年でビジネスのグローバル展開も大きく進みました。今後はこれまで蓄積してきた「測る」技術にとどまらず、世界中のお客様と共に新たな計測ソリューションを共創し、持続可能な社会の実現に貢献していきたい。そうした想いを込めて「世界を共創するソリューションクリエイター」という言葉を考えました。また、こうした事業環境の変化に伴い、人材戦略も転換しつつあります。

人材戦略はどのように変化しているのでしょうか。

当社は長野県上田市に本社を置いており、以前は長野県内での採用が中心でした。しかし現在は、今後のさらなる成長に向けて、県外からも積極的に、多様な人材を採用するようになりました。従来から重視していた「誠実さ」といった人材要件は大切に残しつつ、今後は今まで以上に挑戦的な人材も増やしていきたいと考えています。

徹底した「誠実さ」と「個へのアプローチ」

貴社の採用チームにおいて大切にしている、価値観や方針についてお聞かせください。

当社の採用チームが最も大切にしていることは、HIOKIのベースとも言える「誠実さ」です。採用担当者は毎年何千人もの応募者と接点を持つものですが、応募者一人ひとりにとってそれらの出会いは貴重な「ただ一つの出会い」です。無数の会社のなかから当社を選び、接点を持っていただけたことに感謝し、誠実に向き合うことが大切だと考えています。

貴社の「誠実さ」は、採用活動においてどのように表れているのでしょうか。

とても細かいことではありますが、応募者の皆さんからのご連絡には最優先でお応えする、ちょっとした質問に対しても丁寧に対応する、といったことを徹底して実践しています。応募者の皆さんからは「これほど一人ひとりとしっかり向き合ってくれるとは思わなかった」といった声をいただけることがあり、嬉しく思います。さらに二年ほど前からは採用チームで「個へのアプローチ」というスローガンを掲げ、いっそう一人ひとりへの理解を深める取り組みに注力しています。

「個へのアプローチ」は、具体的にどのような施策に反映されているのですか?

応募者との相互理解を深めるためには、しっかり対話をするしかありません。そのため当社では近年、面接とは別に個人面談の数を意識的に増やしました。個人面談は、インターンシップの前から面接中、内定後まで選考のあらゆるフェーズで、応募者の希望に応じて柔軟に実施しています。採用担当者のなかには、一人で100人以上と一対一の個人面談を実施した者もいます。もちろん面談を行うのは採用担当者だけではなく、現場の社員との個別面談も多数行っています。

並々ならぬ「対話」への想いを感じます。面談では主にどのようなことを話しているのですか?

最近は入社後のキャリアについて関心を抱く方が多いので、会社全体のことはもちろん、入社後に具体的にどのような仕事をし、どのようなキャリアを歩むことになるのか、というお話をすることが多いです。

応募者からの反応はいかがですか?

「どんな質問にも誠実に応えていただけてありがたかった」というお声を多くいただき、嬉しく思っています。面談に参加してもらう現場社員に対しても、私たち採用担当者からどんなことを話すか指示は出しません。現場社員には「とにかく応募者には正直に話してほしい」とだけ伝えていますし、応募者と社員が率直に話せるよう、採用担当者は席を外します。面談後、社員に応募者とどのような話をしたかは聞きません。面談は応募者を評価する場ではなく、あくまで当社のことを知っていただく場と考えているからです。

「現場社員との面談の内容に人事社員が一切タッチしない」というのは、人事側にとってはややリスキーにも見えますが……。

「仕事、そして会社に誇りを持つHIOKIの社員なら、必ず誠実に対応してくれる」と信じているので、その点についてリスクは感じていません。むしろ会社を良く見せようと話し、それを信じて入社した人が、ギャップを感じて辞めてしまうことのほうがリスクとして大きいですよね。あくまでリアルなHIOKIを理解していただいた上で入社し、思い切り活躍してほしいというのが私たちの願いです。

あえて難易度の高いインターンシップを実施し、「仕事体験」を提供

面談のほかに、応募者の企業理解を深めるために注力している施策があれば教えてください。

リアルな仕事を伝えるという目的で、インターンシップにはかなり注力しています。当社のインターンシップでは、(1)業界を理解する(2)業務を理解する(3)自分自身を理解するという3点を重視しており、コロナ禍のためオンライン開催になった現在もこのコンセプトは変わりません。

具体的には、どのような内容なのでしょうか。

昨年の技術コースでは、社内で実際に使っているプロジェクトシートを使って、チームで新製品の企画を考えるワークなどを行いました。技術系のワークとしてはオーソドックスですが、特徴は社員からのフィードバックや質疑応答の時間が長く、かつ熱いこと。プロの技術者が参加者のアイディアから刺激を受け、参加者とともに盛り上がっています。ワークやフィードバックを通じて、社員と参加者とがざっくばらんに交流できる点が好評です。

営業コースについてはいかがですか?

営業向けのインターンシップも、リアルな仕事を疑似体験できるよう工夫しています。お客様からのニーズを把握し、製品選定、見積り、プレゼンテーションを行うという営業シミュレーションです。お客様の状況から本当のニーズをくみ取ったり、緻密な見積もりをしたりと、学生にとっては初めてのことばかりなので、毎年「非常に難しい」と評判です(笑)。

社員による座談会や小規模なワークショップをインターンシップと位置付ける企業もある中で、リアルな仕事体験にこだわる理由は何でしょうか。

先ほどお話した通り、HIOKIのこと、そして自分自身のことをきちんと理解した上で入社してほしいからです。そのためには表面的な情報だけではなく、入社後どのような仕事をするのかしっかり伝える必要がありますし、難易度の高いワークを経験することにも意義があると思います。実際、参加者からは「これまで参加したインターンシップで一番難しい課題だったが、完成したときには大きな達成感を感じられた」「こんなに仕事の具体的なイメージがつかめたインターンシップは初めて」といった声をいただいています。

最後に、今後の採用戦略についての中長期的なビジョンや、予定されている新施策があれば教えてください。

企業を取り巻く外部環境の変化に対応しつつ、HIOKIのビジョンを実現していくため、採用チームとしてもさらに柔軟な対応が求められていると感じます。そのために2022シーズンからは、採用業務の効率化を目指し、採用管理システム『i-web』を導入しました。同時に採用サイトをフルリニューアルし、オウンドメディア『ヒオキノキ』も開設しています。今後はCXマップ(対象の心理・行動と、その背景に対応した戦略を図式化したもの)に対応し応募者に必要な情報を最適なタイミングで発信することで、HIOKIファンを増やしていきたいですね。その他にも、「大学低学年との積極的な接点づくり」や「他企業様や大学と連携したイベント開催」など、多様な人材と出会うためのきっかけづくりにも挑戦していく予定です。

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