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Interview

新生・富士フイルムビジネスイノベーション
「納得就職」に向けた新たなる挑戦

Published on 2021/11/26

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Profile

戸田 隆光Takamitsu Toda

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
人事部 採用育成センター

2014年、富士ゼロックス株式会社(現・富士フイルムビジネスイノベーション株式会社)に「営業・SEコース」で入社。顧客の課題解決を目的としたアウトソーシングサービスを提供する部署で、当時新規のサービスであったマイナンバー関連サービスの立ち上げに従事。約5年間でサービスビジネスの全工程(提案、設計、運用)を経験。2019年2月より人事部採用育成センターへ異動。現在は主に新卒採用および採用広報に携わっている。

1962年の創立以来、複合機ビジネスのパイオニアとして長らく君臨し、近年は働き方改革やDXの支援を通じて社会の課題を解決し続けてきた富士ゼロックス株式会社。そんな同社が2021年4月1日、経営体制の変更に伴い、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社と社名を改め再始動しました。富士フイルムグループとのさらなる連携強化、エリアに捉われないグローバルな事業展開など、社名変更に伴い多くの強みを手に入れた一方、学生からの認知度は下がってしまったのでは……と思いきや、「現在のところ(2021年10月時点)、学生のマイページ登録人数は昨年よりもむしろ多いです」と微笑むのは採用・広報担当の戸田隆光様。社名変更をむしろプラスに変える、強力な採用ブランディングはどのように実現されているのか、じっくり語っていただきました。

「納得就職」という理念に基づいた採用活動

まずは貴社について簡単にご紹介いただけますか。

当社は1962年に富士ゼロックスとして創業以来、複合機のレンタルサービスという画期的なビジネスモデルを定着させ、その後もドキュメント技術とITを組み合わせた働き方改革支援、DX支援を展開してきました。2021年4月からは経営体制の変化に伴い社名を富士フイルムビジネスイノベーションに改め、世界中で信頼されている富士フイルムブランドのもと、さらにワールドワイドに革新的なサービス・商品をお届けしています。

「富士ゼロックス」というと複合機のイメージが強いですが、それだけではないのですね。

近年は時代の変化に合わせ、積極的に事業構造転換を進めています。従来のドキュメント技術や顧客ネットワークは活かしつつ、AIやIoTといった先端技術を活用した革新的なサービスによってお客様の経営課題を解決したり、社会課題を解決したりすることが、現在の当社のメインビジネスとなりつつあります。

2021年4月には、「富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社」も新たに設立されていますね。同社と貴社とは互いにどのような位置づけにあるのですか?

富士フイルムビジネスイノベーションジャパンは、富士ゼロックスの国内営業部門と国内の全販売会社31社、ならびに富士ゼロックスインターフィールドを統合して誕生した会社です。役割について簡単に説明すると、当社が商品・ソリューション/サービスを生み出すメーカーであり、富士フイルムビジネスイノベーションジャパンはその価値を世の中に提供する会社ということになります。採用の窓口(募集コース)は別に設けていますが、採用チームは両社共通です。両社は互いに人材の交流が盛んで、連携しながら価値を創出していく関係性のため、採用も協力して行っています。

販促体制も含めて、大きな事業変革期を迎えられているということですね。そうした状況を踏まえて、求める人材像をどのように設定されているのか、お話しいただけますか。

当社は「自ら考え行動する人」「成長と変化に挑む人」という人材像を掲げています。すべての社員が変革をリードできる人材となることを目指しており、新卒採用においてもそうした人材像を重視しています。これは富士ゼロックス時代から変わらない人材ポリシーなのですが、現在はコロナ禍の影響により、これまで以上に新たなビジネスを自ら創り出す重要性が高まっています。

そうした優れた人材を採用するために、貴社ではどのような採用ポリシーをとられているのでしょうか。

当社では「納得就職」という考え方を大切にしています。学生の皆さんと私たちが対等な立場に立って、お互いに選び選ばれ、お互いに納得できる就職・採用をしたいと願っています。私たちは企業としてありのままの姿を見せ、学生の皆さんにも自分らしい姿を見せてほしい。それがミスマッチをなくすことにつながると考えています。

「納得就職」を実現するために、例えばどのようなことを実践されていますか。

まず、当然のことではありますが、面接や個人面談の場では事実にもとづいて情報を提供し、等身大の当社をお伝えしています。また、内定を出した後、承諾までの期限を設ける企業もありますが、当社ではそれをしません。内定後も他社の選考を続けていただいて構いませんし、ご自身で決断を下されるまでお待ちします。その過程の中で決断のために必要な情報があれば何でも追加で提供します。でも、最後は学生本人が「納得」の上で入社してほしいと考えています。

社名変更をプラスに変える、採用ブランディング施策

戸田様は採用広報も担当されていますが、採用ブランディングにおいてはどのような点に注力されていますか?

当社は変革期を迎えていますが、創業時から大切にしている「変わらないもの」と、歴史の変遷の中で「変わっていくもの」は何かということを意識してメッセージを伝えています。特に「変わらないもの」については企業の軸にもなるので、しっかりと伝わるように心がけています。

その「変わらないもの」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

「“働く”を良くしたい」といった想いです。少し抽象的で分かりづらい点もあるかと思いますが、当社は創業時からこの想いを軸に活動を継続してきました。例えば価値提供の仕方については「モノではなくコトを売る」ことを当時から継続しています。富士ゼロックス(当時)が躍進した1970年代は高度経済成長期であり、企業も人も「モノ」を所有することに価値を見出す時代でした。しかし当社は複写機そのものを売るのではなく、当時は斬新だったレンタル方式を採用しました。これは商品自体より「商品を使ってできること」に価値があると考えた結果の提供方法ですが、これにより商品が購入できないというお客様にもレンタルであればご利用いただくことができ、より多くの方に「複写(コピー)」という価値を提供することで、労働生産性の向上に貢献してきました。

また、この時代日本人は今では考えられないような長時間の労働を行っていましたが、人間性の回帰やプライベートの充実を目的とした「モーレツからビューティフルへ」というメッセージを世の中に発信することで、人々のマインドにもアプローチしています。これ以降もその年代にあった働き方を提唱してきたことからも、多方面から「“働く”を良くする」ことに尽力してきた会社であることを学生にも伝えています。

創業当時から変わらない想いが今も受け継がれているわけですね。そういったことを伝えるために、具体的な広報施策はどのように展開されていますか?

今年は毎月Webセミナーをリアルタイムで開催しておりますが、内容も毎回変更して常に新しい情報を提供できるように努めています。また、これまでより早い時期に富士フイルムグループ内の企業と連携したオンラインイベントなどを積極的に開催しています。富士フイルムグループと共同で実施することでいわゆる「露出」が増加し、これまで以上に当社のことを知っていただくチャンスが増えたと感じています。また、今年は初めてTwitterのアカウントを開設し、SNSを介した広報にも取り組んでいます。

さまざまな新しいチャレンジに取り組まれているのですね。

富士ゼロックスのことは知っていても、富士フイルムビジネスイノベーションという社名は知らない、という方がまだまだ多いと思いますので、まずは当社の名前を知っていただくことが大事だと考えています。

積極的な広報戦略の手ごたえはいかがですか?

当初は、社名が変わったことで人気が低下するのではないか、という危惧がありました。しかし実際には、イベントの参加者数もマイページの登録者数も例年よりむしろ増えています。富士フイルムブランドやグループ内の企業と連携したブランディング戦略が一定の成果を出しているのだと思います。

変革期の企業ならではの魅力をアピール

社名・経営体制が変わったことで、学生へのアピールポイントが変わった部分はあるのですか?

「今後の挑戦」というテーマで、経営体制変更に伴う当社のポジティブな変化を発信しています。第一に、事業においてはビジネスフィールドが全世界に広がりました。富士ゼロックス時代は、米ゼロックス社とのアライアンス上、当社の管掌エリアはアジア・オセアニアに限定されていましたが、2021年4月以降はこの制限がなくなりました。すでに欧州市場の開拓に向け本格的に動き出しています。第二に、人材面においては、2019年から若手人材の積極登用に向けて舵を切りました。最短で29歳でマネージャー(一般的な企業での課長職に相当)に就任できるこの制度により、管理職の若返りが始まっています。

貴社のような歴史ある大企業としては、かなり大胆な変革と言えそうですね。

ありがとうございます。さらに第三に、制度面でも大きな変革が始まっています。それは従来型の「与えられた課題に取り組む力」よりも「課題形成力」を重視した経営戦略です。変革期の社会で企業が生き残るためには、社会貢献性と収益性を両立できるサービスとは何か、個々の社員が自ら課題設定し、実践していく必要があります。そこで、現在では仕事の中で取り組むべき課題を自分で考え、目標設定を行っています。

また当社では大規模な公募制度を実施し、社員が希望する事業分野で活躍するチャンスを大幅に増やしました。新しいビジネスフィールドである欧州向け事業のメンバーの多くは、この公募制度を利用して新しいキャリアに挑戦しています。

そうした情報発信に対する、学生からの反響はどのようなものですか。

「イメージが変わった」「変革期でいろいろな挑戦ができそう」という方は非常に多い印象です。もっとも、今は社名変更直後であり、そもそも当社のことをよく知らなかったという方が多いことも事実です。そういう意味では、我々の広報活動は「イメージを変える」というよりも「ゼロからイメージを創り上げていく」仕事に近いかもしれません。

オンラインセミナー以外では、学生との接点づくりのためにどのような施策に注力されていますか?

どの時期から就職活動を始めても当社とのつながりができるよう、今年は夏、秋、冬を通じてインターンシップやワークショップを開催しています。インターンシップ/ワークショップではセミナー以上に当社のことを深く知っていただくため、内容も濃いものを目指しています。例えば技術系コース志望の学生向けに、少人数に絞ってではありますが、「オフライン」でのイベントも実施しました。その他のコースにおいても状況をみながら、直接コミュニケーションが取れるイベントも企画をしています。

事業の変化に伴い、採用戦略も急速に進歩しているという印象を受けますね。今後の採用活動はどのように展開していきたいとお考えですか。

採用のオンライン化が進む中で、いかにマッチングを強化していくかが喫緊の課題であると考えています。選考時はもちろん、内定受諾後の関係構築にも工夫が必要です。例えば従来、内定者イベントの目的の一つは内定者同士のコミュニケーションだったのですが、オンラインイベントでは横のつながりが生まれにくい現状があります。入社前の関係性構築や社会人になることに向けたマインド醸成のためにも、今まで以上の工夫が必要だと考えています。

そうした課題を解決するために、何か具体的に取り組まれていることはありますか?

例えば、私の担当である事務系コースは内定者が比較的少人数ですので、感染対策を万全に行った上で本社に来ていただき、内定者交流会を開きました。同期同士の交流はもちろん、その場で直接先輩社員と話すことで、当社の社風や業務について理解を深めていただけました。また、「内定式後夜祭」と題してオフライン飲み会なども実施し、交流できる場を積極的に設けています。私たち採用側にとっても、内定者同士の会話を見ることで、オンライン面接からは見えにくい内定者の人柄を知ることができたと思います。今後も引き続き、「納得就職」に向けてできることを模索し続けていきたいです。

経営体制の変化にコロナ禍が重なり、採用担当者として難しい局面ではないかと思います。最後に、採用という仕事への想いをお聞かせください。

確かに課題は常に山積されており、毎日忙しい日々を過ごしています(笑)。しかし、社史に残るような変革期に私が採用に携わっていることには不思議な縁を感じますし、ありがたいと思っています。個性豊かな多くの方々と触れ合う採用活動には正解がなく、「考え続けること」が唯一の正解だと信じて、日々自問自答しながら仕事に取り組んでいます。

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