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Interview

中小企業や無名企業にも、必ず勝機はある。
自分なりの流儀で成功する“無手勝流”採用とは(前編)

Published on 2022/09/30

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Profile

海老原 嗣生Tsuguo Ebihara

株式会社サッチモ代表取締役
政府労働政策審議会人材開発分科会委員、
中央大学大学院戦略経営研究科客員教授、大正大学表現学部特命教授

大手メーカーを経てリクルートエイブリック(現リクルートエージェント)入社。新規事業の企画推進、人事制度設計等に携わる。 その後リクルートワークス研究所『Works』編集長。2008年HRコンサルティング会社ニッチモを立ち上げる。「エンゼルバンク」(モーニング連載)の主人公海老沢康生のモデルでもある。『人事の成り立ち』(白桃書房)、『人事の企み~したたかに経営を動かすための作戦集~』(日経BP)など、著書多数。

著書のご紹介

「少子化で新卒採用の難易度が上がった」「中小企業に集まる人材は質が低い」……。社会の在り方や働き方の変化によって勢いを増す「人」にかかわるさまざまな言説に、雇用ジャーナリストの海老原氏が鮮やかに切り込んだ一冊。採用市場のデータやロジックを紐解きながら、本インタビューでも取り上げる採用の現場で役立つ実践的な戦術と作戦を解説する。

「わが社は大企業でも有名企業でもないから、新卒採用では大手に勝ち目がない……」企業経営者や採用担当者から、しばしばそのような悩みの声が聞かれます。それに対して、「そんなあきらめは今すぐ捨てるべき。有名企業、大企業じゃなくてもいい人材が採れている企業はいくらでもある」と看破するのが、雇用ジャーナリスト・海老原嗣生氏。常識の外側から本質を洗い出す「無手勝流採用」を提唱し、これを用いれば大企業に引けをとらない優秀な人材、あるいは自社にベストマッチした人材を採用できると説きます。前編では、採用にあたって持つべき基本的なマインドと、第1のアイデア「虎の威を借る“雲隠れの術”」について解説いただきます。

「中小企業や無名企業にも、必ず勝機はある。自分なりの流儀で成功する“無手勝流”採用とは(後編)」はこちら

採用に必要な心構えは、ビジネスと同じ

「大企業と比べて、中小企業は採用において圧倒的に不利である」という悩みを語る経営者や採用担当者の方がたくさんいらっしゃる中で、海老原様は中小企業・無名企業でも工夫次第で優れた人材を採用できるという「無手勝流採用」を提唱しています。まずは海老原様の、新卒採用についての基本的な考え方について教えていただけますか?

私も中小企業経営者の採用に関する悩みはよく耳にしています。「人手不足だから、採用がうまくいかない」「中小企業だから、地方企業だから採れない」「不人気業界だから駄目だ」などなど……。しかし、そんなあきらめはすぐに捨ててほしい、というのが私の考えです。なぜなら、私の周囲を見渡してみても、無名の中小企業や不人気業界の企業でも、よい人材を採用できている企業はいくらでもあるからです。どんな企業でも、採用活動を適切に頑張れば結果は出せます。ただしそのためには、常識の外側から本質を洗い出し、自分なりの流儀を身につける必要がある。決して難しい話ではありません。私の考える採用のポイントとは、ビジネスの基本と同じだからです。

採用とビジネスに共通するポイントとは何でしょうか?

二つあります。第一に、他社とは違う、自分なりの戦略を考えること。これはどんなビジネスにも共通することですが、採用でも同じです。他社と同じ採用戦略で、中小企業が大企業と勝負すればどうなるでしょうか。大企業には知名度がありますし、潤沢な資金を使った採用広報もできます。知名度や通常の広報で勝負すれば、中小企業に勝ち目はありません。だから、他社と違う戦略を考える必要があるのです。そして第二のポイントは、お客様のためにサービスをすること。これもビジネスに欠かせないポイントですよね。採用の場合、お客様とは応募者、新卒採用の場合は学生です。しっかりと彼らの役に立ち、彼らが面白いと思う採用をすればいいわけです。とはいえ、社会情勢に関わらず採用に有利な大企業と違い、中小企業には採用に有利な時期と、そうでない時期があるのは事実です。

中小企業にとって採用に有利な時期とは、どのような状況を指すのでしょうか。

好況時にはどうしても大企業の採用数が増える分、中小企業の採用は不利になってしまいます。しかし、不況時には大企業の採用数が減り、中小企業にチャンスが来ます。直近でいうと、リーマンショック、東日本大震災、超円高不況などが重なった2011年から2014年にかけては中小企業の求人倍率が著しく低下し、採用がしやすくなりました。2022年6月現在、就職倍率は低下傾向にありますが、おそらく今年から来年にかけて景気が悪くなってくるでしょう。中小企業にとっては、絶好の採用チャンスになるということを、覚えておいてほしいですね。

虎の威を借る“雲隠れの術”とは?

中小企業や有名ではない企業にもチャンスが十分ある、ということがよくわかりました。具体的には、どのような施策を実施すればよいのでしょうか?

戦わずして勝つための「無手勝流採用」は、具体的には3つのアイデアから成り立っています。その第1のアイデアは、「虎の威を借る“雲隠れの術”」です。

虎の威を借る採用とは、いったいどのようなものですか?

中小企業の採用担当者のよくある悩みの一つに、「会社説明会を開いても学生が集まらない」というものがあります。これを解決するために、虎の威を借りようという話です。まずは、なぜ説明会に学生が集まらないのかを考えてみましょう。多くの企業は「自社をどうアピールするか」という思考で説明会を開きます。実はこれが、集客に失敗する原因なのです。

自社をアピールすることを目的としない会社説明会とは、どのようなものですか?

学生というのは、基本的に就活に困っているものです。そんな彼らに手を差し伸べ、助けてあげるような説明会を開けば、おのずと学生は集まってくれますよ。例えばある大手人材企業が行っている施策に、模擬面接サービスというものがあります。採用に精通した管理職層の社員が、学生を相手に模擬面接をし、アドバイスをする。これは学生に喜ばれますよね。そして、集まった学生のなかで特に魅力的な人をチェックしておき、本選考の際に改めてアプローチするというわけです。

確かに学生にとっても企業にとってもメリットがある施策ですね。面接のノウハウはどの企業にもあるので、中小企業にも実践しやすいイベントです。

「業界」を軸にしたセミナー・インターンシップで集客力UP

他にはどのような施策が考えられるでしょうか?

大学に対して早めにアプローチすることもお勧めです。通常は大学側も1年生、2年生といった低学年に対しては企業の採用活動を受け付けていません。しかし、実は「低学年向けに業界勉強会を開く」といった企画は歓迎してもらえます。なぜかいうと、今は昔と違って、大学のカリキュラムにキャリア教育が必須となっているので、大学もコンテンツ作成に苦労しているからです。大学で業界勉強会を開けば、その業界に興味を持つ多くの学生と早期に接点を持つことができます。名前を知られていない中小企業でも、これなら大企業を含む同業他社の陰に隠れ、その「威」を借りて集客ができる。これが「雲隠れの術」です。

しかし、業界によっても人気業界、不人気業界の違いがあるのではないでしょうか。

確かにある程度、人気の差はあります。しかし、どの業界にも必ず人気のある企業は存在するものです。例えば携帯ショップという業態は学生が集まりにくいとも言われますが、同じ業界である携帯キャリアであればかなり人気がありますよね。そして携帯ショップであれば必ず大手のキャリアともつながりがあり、携帯業界にも精通しているはず。「携帯業界の生の情報を学べる勉強会」を開くといえば、大学も学生も喜ぶでしょう。さらに、大学での説明会で接点を持った学生に対して、今度はさらに取引先の人気企業を材料に、「人気企業の生情報セミナー」を自社で開催すると良いでしょう。

大手企業、人気企業を志望している学生にとっては、確かに非常に魅力的なイベントですね。

「雲隠れの術」の仕上げはインターンシップです。インターンシップの企画に悩む採用担当者は多いですが、学生に一番喜ばれるのはやはり実務を見せること。そしてせっかくなら、取引先である人気企業に学生を同行させてあげましょう。こういうインターンシップを実施している中小企業はほとんどありませんから、注目を集めることは間違いありません。ちなみにこの手法は、どの業界の中小企業でも応用可能です。例えば自動車部品を作っているメーカーなら自動車メーカーと取引があるでしょうし、鉄鋼の加工をしている会社なら大手鉄鋼メーカーや総合商社とつながりがあるはず。こうした「虎の威」を借りてイベントを企画すれば、集客はかなりしやすくなります。

「他社がしていないことをする」「顧客=学生にサービスをする」という2点のポイントが見事に押さえられていますね。しかし、もともと大手・人気企業の名前に惹かれてイベントに参加した学生は、やはりそれらの人気企業を志望してしまうのではないでしょうか。

それでも問題ありません。なぜなら人気企業というのはいつの時代でも狭き門だからです。好況の時期であっても、人気ランキング100位以内の企業に入れる学生は3万5000人程度しかいません。一方、旧帝大と早稲田・慶応の卒業者だけでも約4万人。ほとんどの学生は最初に志望した人気企業には入れないのです。イベントに参加した学生にしっかりサービスをしていれば、7、8割の学生は選考に残ってくれるでしょう。

虎の威を借る「雲隠れの術」、理論とデータに基づいた説得力のある採用技術でした。後編では残りの2つのアイデアについて詳しくお伺いしたいと思います。

 

「中小企業や無名企業にも、必ず勝機はある。自分なりの流儀で成功する“無手勝流”採用とは(後編)」はこちら


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