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Interview

心身の健康課題を解決する仕組みづくり
日本生命の「多角的健康経営」

Published on 2022/06/03

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Profile

田中 学Manabu Tanaka

日本生命保険相互会社
健康経営推進部 健康経営推進課長

2001年に日本生命保険相互会社に入社。保険金の支払企画、人事制度企画・人材育成、代理店営業、グループ会社の経営企画業務等に従事。2021年度からは、健康経営推進課長として、7万名を超える従業員の健康増進に向けた企画・推進に携わる。

1889年創立の日本生命保険相互会社(以下、日本生命)は、「共存共栄」「相互扶助」の精神を守りつつ、時代の要請に応えてきました。2020年度末のお客様数1,477万名(国内グループ)、取引企業数26.2万企業(単体)の実績を誇り、“人・サービス・デジタル”で、お客様と社会の未来を支え続けるグループとなることを目指しています。「顧客の生命・健康に深く関わる事業を展開しているからこそ、まずは自分たちが健康でなくてはならない」というポリシーに従い、同社ではレベルの高いヘルスリテラシーを社内で共有し、従業員の健康維持・増進に向けたさまざまな施策を実施しているといいます。メンタルヘルスも含む健康経営への取り組みについて、健康経営推進部 健康経営推進課長の田中学様にお話を伺いました。

生命と健康に関わる会社だからこそ、健康経営®*を重視する

*「健康経営®」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。

貴社は他社と比べてかなり高水準のヘルスリテラシーを掲げ、全社員で共有されていると伺いました。これはどのような理念に基づいているのでしょうか。

健康経営を進めるのは、「従業員に健康でイキイキと活躍して欲しい」ということが根本にあります。ただ、健康経営を重視するのには、当社ならではの背景もあります。

当社が取り扱っている生命保険商品は、お客様の生命と健康に深く関わるものです。それ以外にも、当社は全国の自治体と包括連携協定を結び、地域住民の健康増進・病気予防に貢献するサービス等も展開しています。そうした事業を手掛けているからには、まず自分たちが健康でなければ、お客様に対して自信を持ってご提案できません。その想いから当社では、健康経営に力を入れて取り組んでいます。

貴社が目指す健康経営とは、どのようなものなのでしょうか。

「健康経営の目指す姿」というビジョンを2018年に策定していますので、ご紹介します。

日本生命保険相互会社(以下、「当社」)は、「生命保険会社としてお客様に対する長期にわたる保障責任を全うし続けるためには、役員・職員一人ひとりが幸福な生活を送り、一致協力して会社の成長、社会の発展に貢献することが重要である」と考えています。こうした考え方を踏まえ、健康寿命の延伸やQOL*の改善に向けた取組を継続実施し、会社の発展・持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

*Quality of Life:生活全体の豊かさと自己実現を含めた概念

上記の理念を具現化するために、

(1)役員・職員一人ひとりの「ヘルスリテラシー」高度化

(2)健康で働きやすい職場環境の整備を通じた会社の発展

(3)健康寿命の延伸を通じた地域・社会への貢献

という3つの指針を定めています。

「所属単位」と「全社横断」の両面から健康を促進

従業員の健康増進に向けては、具体的にどのような取り組みを実施されているのですか。

大別して、「所属単位」での取り組みと「全社横断」の取り組みがあるのですが、まず所属単位の取り組みについてお話します。まず1つ目は、「各所属における課題把握」です。自分の所属がどのような健康課題を抱えているのか把握してもらうために、健康経営推進部から各所属へ「健康カルテ」を提供します。健康カルテには「肥満者占率、高血圧者占率等の健康診断項目」「適切な運動習慣者占率、喫煙率等の問診項目」「ストレスチェック結果」など5項目があり、これに沿って従業員の健康データを収集します。さらにこのデータを全社平均と所属平均で比較し、自分の所属の健康課題を抽出してもらうわけです。

「所属ごと」に健康課題を可視化することは、貴社のような大企業にとって特に有効な取り組みと言えそうです。

2つ目の取り組みは、把握した課題の解決に向け、「所属単位での健康増進アクションプラン」を策定し、実践することです。当社は全国に約100の支社があり、それぞれ職場環境や業務スタイルが異なります。例えば主に自動車を使って営業活動を行っている地域では、運動不足になりやすい傾向があり、こうした支社では階段利用を促す「プラステン運動」などの具体策を実施しています。また、婦人科検診の受診率が低い支社では、「子宮がん検診バス」を手配して受診しやすい環境づくりを行い、受診率の改善に取り組んでいます。

「健康増進アクションプラン」は、どのようなプロセスを経て策定・実践されているのですか?

健康増進アクションプランの策定・実践にあたっては、次の3つのポイントを守っています。

(1)健康カルテを活用して自所属の課題を所属長自身が把握し、課題解決に向けたアクションプランを所属長自身が策定する

(2)アクションプラン策定時には、産業医からの意見具申を必須とする

(3)策定したアクションプランの実践状況は、年間2回、本部に報告する

各所属を担当する産業医からも意見をいただくことで、効果的なプランを実現しているところは、特長的な点と言えるのではないかと思います。以上が所属単位での取り組みです。

全社共通の取り組みとしては、どのようなことを行われているのですか。

全社での取り組みは大きく4つあります。まず1つ目は「健康教育」です。具体的には「ヘルスアップ朝礼」と「社内冊子やメルマガによる情報発信」が挙げられます。ヘルスアップ朝礼では年3回、全国約7万人の従業員を対象にWebや動画での研修を実施して、生活習慣改善やがん予防、新型コロナワクチン教育など時期に応じた情報を学んでもらいます。

すべての従業員に情報が届くよう、丁寧にフォローされているのですね。

2つ目の取り組みは「禁煙推進」です。当社では2018年から2020年3月末にかけて、段階的に全社敷地内完全禁煙を実現しました。2019年には本店本部にて「就業時間内禁煙チャレンジ」と銘打ち、社内アナウンス放送やポスターなどを使って周知し、推進活動を行いました。2021年度からはオンラインでの禁煙外来もスタートしています。その他にもWeb研修、動画教材、ポスターの掲示などによる禁煙に関する理解促進や、健康保険組合による禁煙補助制度なども行っています。

多角的な取り組みを通じて「禁煙を促す環境づくり」を進めているのですね。

全社取り組みの3つ目は「生活習慣改善」です。「運動習慣の定着」に向けては「バーチャルウォーキングイベント」を開催しています。これは、スマホアプリを活用し、所属単位の平均歩数を社内イントラで共有し、上位所属には賞品を進呈するというものです。今年で4年目となり、全社イベントとしても定着してきました。「食習慣の改善」に向けては、東京本部・大阪本店の社員食堂で管理栄養士のアドバイスのもと、「Smart Meal(健康メニュー)」を毎日提供しています。

従業員の皆さんが楽しみながら生活を改善できるよう、工夫を凝らしていると感じます。

そして4つ目の全社取り組みは、女性向け健康増進施策です。具体的には乳がん、子宮がん検診への健保補助をはじめ、子宮がん検診バスの手配、社内診療所への婦人科外来(大阪)や乳腺外来(東京)の設置などを実施しています。

ラインケアとセルフケアを組み合わせたメンタルヘルス対策

続いて、メンタルヘルス対策についてもお伺いできますか。

メンタルヘルス対策においては、従業員のストレスチェックが重要です。ストレスチェックには大きく管理者が行う「ラインケア」と、従業員各自が行う「セルフケア」があります。まずはラインケアへの取り組みについてお話しますと、当社では年に1度、メンタルヘルス不調の未然防止を目的に全従業員を対象にストレスチェックを実施しており、受検率は約90%となっています。実施後はストレスチェック結果の集団分析レポートを所属長へフィードバックし、職場環境改善提案に活かしています。職種ごとにレポート結果を経年比較できる「ストレスチェックカルテ」も各所属に提供しています。

ストレスチェックの結果を具体的な職場環境改善に落とし込む際には、どのような手法をとられているのですか?

所属長にレポートを提出した後には、そのレポートを活用するための「所属長向けガイダンス講座」を実施します。また、今年度からは一部の所属に対し、労務担当課と連携して職場環境改善への取り組みを支援しています。具体的には、対象所属ごとに担当者を設定し、所属長と組織課題を協議のうえ、改善に向けたアクションプランを作成しています。今後はこうした取り組み事例を収集し、管理職向けの集合研修などで事例を他所属に共有するなど、一層の全社的な職場環境改善を図っていきたいと考えています。

非常に充実したラインケアですね。一方のセルフケアについては、どのような方針をとられているのですか?

当社ではこれまで、ラインケアを中心としたストレスチェック活用を推進していました。しかし、コロナ禍でコミュニケーションの機会が少なくなった状況において、所属長より「従業員自身がストレスに気づく方法や対処方法を学べるような教材」に対する要望が多くあがりました。これを受け、今年度より、従業員向けWebラーニングを提供しています。

ストレスチェックのためのWebラーニングとはどのようなものですか。

エムステージ社・ヒューマネージ社にご提供いただいた、従業員が自分自身でストレスマネジメントができるコンテンツです。社内のオンライン教育システムに登載していつでも視聴できるようにしており、従業員からも大変好評を得ています。

その他に、メンタルヘルスのセルフケアに向けてどのような施策を行われていますか?

会社の取り組みとしては、従業員向けの相談窓口として「こころのひろば」を設け、カウンセラーに電話・メール・対面にて仕事や職場の悩みはもちろん、家庭の問題についても相談できる仕組みを整えています。相談した方の個人情報は職場には知らされないため、安心して専門家によるカウンセリングを受けることができます。

メンタルヘルスに関するセルフケアに対しても、多角的な支援を実践されているのですね。

フィジカル・メンタル両面から従業員の健康を支えることは、お客様の生命や健康に関わる事業を営む当社にとって、重要な社会的責務と考えており、今後も新しい取り組みに挑戦していきます。当社の事例が少しでも他社様の健康経営のご参考になれば嬉しく思います。

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