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Interview

124年続くサントリーのカルチャーを踏襲し、
学生とのコミュニケーションを主軸とした採用施策を展開

RECRUITMENT

Published on 2023/12/15

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Profile

石塚 雅人Masato Ishizuka

サントリーホールディングス株式会社
ピープル&カルチャー本部

2010年、新卒でサントリーホールディングス株式会社に入社。横浜支店(当時)に7年半、東海支社に4年半勤務し、スーパーマーケットなど量販店の営業担当を務める。2022年3月より現職。新卒採用(ビジネス部門)の実務に携わりながら、採用チーム全体を統括する。

酒類、飲料、健康食品など複数の事業展開により、国内外において圧倒的な存在感を放っているサントリーホールディングス株式会社。創業から124年近く経った今も受け継がれてきた「やってみなはれ」の精神により、新しい価値の創造を目指して失敗を恐れずに挑戦を続ける風土が根付いており、社員一人ひとりの成長が同社の成長を支えています。採用活動においても、学生とのコミュニケーションを重視し、「Presentation sheet」をはじめユニークな施策を次々と打ち出してきました。新卒採用チームを率いる石塚様に、「やってみなはれ」の考えに裏打ちされた独自の採用施策についてお聞きしました。

学生と真摯に向き合い、一人ひとりの「やってみなはれ」の精神を評価する

まずは貴社の事業やパーパスについて、簡単にご紹介いただけますか。

当社は1899年に鳥井信治郎が創業した「鳥井商店」を母体としており、ぶどう酒の製造販売から事業をスタートしました。その後、飲料や健康食品など事業を拡大させていき、現在は食品事業、スピリッツ事業、ビール事業、ワイン事業、ウエルネス事業など複数の事業をグローバル展開しています。二代目社長の佐治敬三が社是に掲げた「人間の生命の輝き」が50年以上経った今も受け継がれており、その思いはOur Purposeの『人と自然と響きあい、豊かな生活文化を創造し、「人間の生命の輝き」をめざす。』に込められています。また、「人こそ経営の重要な基盤である」という人本主義の考えを貫いており、新しい価値の創造を目指して失敗を恐れずに挑み続ける「やってみなはれ」の精神が根付いているのも、当社ならではと言えるでしょう。

創業以来、貴社が大切に育んできた価値観は、採用活動にも反映されているのでしょうか。

そうですね。私たちは単に商品を開発して販売するのではなく、酒類や飲料、食品の提供を通じて生活の文化を築くことに注力してきました。ハイボールの認知度を広めてハイボール文化を定着させたり、「ザ・プレミアム・モルツ」の販売を通じて新たなビール文化を築いたのは、その代表的な例と言えるでしょう。こうした取り組みを実現させたのが、人本主義ややってみなはれの精神です。採用活動においても、サントリーならではの価値観を踏襲しており、それは学生の方々との向き合い方一つにも明確に表れています。

貴社ならではの「学生の方々との向き合い方」とは、どのようなものなのでしょうか。

「やってみなはれ」の精神は、「高い目標を掲げてまずはやってみる。たとえ失敗しても、諦めずに挑戦し、成功するまでやり切る」姿勢を意味しており、上司や先輩など周囲の人々にとっては、「失敗を許容し、再度挑戦するチャンスを与える」姿勢を意味します。採用活動においても同様の考えで、面接や書類選考において、挑戦や失敗した経験については積極的に深堀りするようにしています。結果的に目標を達成できなかったとしても、掲げた目標に対してどのように行動したか。失敗した後にどのような想いが湧き、その後どのような行動につなげたのか。完璧な人間はいないのですから、失敗を糧にして前に進んでいこうとする学生の姿勢を受け止めていきたいと考えています。

書き方自由のエントリーシートなど、ユニークな施策を多数導入

これまでのお話で、貴社が採用活動において「学生一人ひとりと向き合い、学生を深く理解する姿勢」が見えてきました。これらの考えを、どのように採用施策に落とし込んでいるのでしょうか。

ありがとうございます。当社の新卒採用は、ビジネス部門、デジタル&テクノロジー部門、財経部門、生産研究部門の4部門別に募集しています。採用施策において特に「当社らしい」と言えるのは、エントリー時に提出してもらう「Presentation sheet」と、一次面接通過後の学生をフォローする「メンター制度」でしょうか。

「Presentation sheet」は、いつ頃導入されたのでしょうか。

「Presentation sheet」は、A4の用紙に「今までの人生における『挑戦』または『創造』の経験」を自由に記述してもらうというもので、今から30年近く前の1994年に導入されたと聞いています。導入理由は4つあり、第一に、白紙に自由に記述してもらうことで「学生らしさ」をより深く理解できると思ったこと。2つ目は、自由に表現する作業はときに「苦しさ」を伴いますが、だからこそ学生の皆さんにとっても自己理解が深まり、当社を志望する意思や情熱を改めて認識していただけると考えたこと。そして3つ目は、「『挑戦』または『創造』の経験」というお題を提示することで、自分自身の人生において一つでも誇れるものを見出し、表現してもらいたいと考えたこと。そして最後の理由は、学生の創造力を把握したいと考えたからです。

提出されたすべての「Presentation sheet」をチェックされているのですか。

毎年、多くの学生の皆さんからエントリーをいただいていますが、すべて私たち採用担当者が一枚一枚じっくりと読み込んでいます。内容は多種多様で、これまでの人生を4コマ漫画になぞらえて表現する学生もいれば、写真を多用する学生もいます。一つとして同じ表現がなく、「Presentation sheet」を読み込むだけでも、学生さんらしさが十分に伝わってきます。

まさに「Presentation sheet」を提出した学生の皆さんは、「苦労を伴いながらも、自己理解や入社への意欲」を高めているのですね。

毎年、内定後にアンケートを取っているのですが、「自己を見つめ直すよい機会になった」という声が多く、「Presentation sheet」に対してネガティブな発言をする内定者はほとんどいません。学生の皆さんにとっても、私たち採用担当者にとっても一定の負担がかかるため、何度も「やめたほうがいいのでは」「もっとシンプルにしたほうがいいのでは」といった意見が採用チーム内で出てきたと聞いています。しかしその度に、「サントリーらしいユニークな取り組みであり、これからも続けていこう」と判断し、今に至っています。私自身は採用業務に携わるようになって2年弱になりますが、先人たちの判断は間違っていなかったと確信しています。

メンター制度はいつ頃導入されたのでしょうか。

15年ほど前に導入し、一次面接を通過した学生に対して、人事部門の社員がメンターとなってフォローアップを行っています。具体的には、一次面接と二次面接の間に40分の面談を実施し、一次面接のフィードバックと二次面接に向けての具体的なアドバイスを行っています。「当社への理解度を深めてほしい」との狙いから始めた制度ですが、狙い以上の効果が出ています。例えば、メンターが学生に寄り添い、就職活動や人生相談に応じていること。「サントリーに入社してもらうために」という視点を超えたアドバイスをしており、ここにもサントリーの「人を大切にする姿勢」があらわれているように思います。

メンター制度に対する学生の反応はいかがですか。

メンター制度に関しても内定者にアンケートを取っており、「親身に相談に乗ってくれた」「一緒に戦ってくれた」といった前向きな意見が多いですね。特に一次面接のフィードバックについては、「自分の良いところを引き出してくれて嬉しかった」という評価を多く受けています。当社には、社員同士でお互いの良い面を評価する「フィードバック文化」が根付いるので、メンター一人ひとりが自然と学生の良さを見出し、伝えてくれているのでしょう。

今後、新たに展開予定の採用施策はありますか。

これまでは、インターンシップの受け入れ態勢が整っていなかったために開催を見送っていましたが、「サントリーグループのカルチャーを知ってもらいたい」との考えから、2025新卒採用から新たにインターンシッププログラムを導入する予定です。

期間は5日間を予定しており、現場での経験を重視したプログラムになっています。例えば営業部門でのインターンシップなら、商談や店舗巡回、社内での会議に同席してもらい、ハードな部分も含めて「サントリーの仕事」を可能な限りリアルに経験してもらえるように企画中です。今までサントリーに興味を持っていなかった学生が、「サントリーのインターンシップ、面白そうだから参加してみよう」と感じてくださり、これまで以上に多くの学生と出会えることを期待しています。

会社間で情報を共有し、より効果的な採用活動に繋げたい

石塚様は採用業務をご担当されて2年近く経たれているとのことですが、採用活動において大切にされていることはありますか。

私も含め、サントリーの社員が今も昔も大切にしているのは「やってみなはれ」の精神です。コロナ禍で対面によるコミュニケーションが制限された時期もありましたが、私たちは常に「現場」を大切にし、真正面から関わるすべての人々と向き合ってきました。採用チームのメンバーも常にコミュニケーションを図りながら、「採用活動のあり方」を日々、検討しています。「実際のところ、学生さんはどのように考えているのだろう」と疑問に感じ、直接、ヒアリングを行うことも珍しくありません。これからも学生の皆さんとのコミュニケーションを軸にした採用活動を展開していきたいと強く願っています。

「人本主義」を掲げている貴社らしいお考えですね。

「コミュニケーション」を軸に考えると、当社の採用施策はまだまだ改善の余地があると感じています。エントリー時に「Presentation sheet」で一定の学生理解ができているものの、「対面で学生さんとお会いする機会が少ないのでは」という意見が採用チーム内で出ていたからです。例えば合同説明会は首都圏を中心にオンラインで実施していたため、地方の大学生とお会いすることができていませんでした。そのため、2025年新卒採用では地方での合同説明会を増やしていく方針です。また、書類選考は直接、学生の皆さんとお会いせずに選考を行うため、判断が難しく、逸材を見逃してしまうリスクがあります。そこで、今後は一次面接通過者を増やし、より多くの学生さんと対面する予定です。

最後に石塚様の採用への想いや今後の目標を教えてください。

私どもにとって採用活動は、「サントリーの未来を創ること」であり、それはすなわち「サントリーの未来を共に築いていく仲間を受け入れること」を意味します。どのような学生さんならサントリーという土俵で活躍できるのか。その姿を明確にイメージし、適切な採用施策を打ち出して人材を確保するのは決して簡単なことではありません。だからこそ採用の仕事は面白いし、新たな仲間を採用して、共にサントリーの未来を築いていけることを誇りに感じています。

しかし、近年、採用活動はますます複雑化しており、求める人物像にマッチした学生さんを採用するにも、戦略的に採用活動を行っていくことの重要性を感じています。今後は他の企業と「横の繋がり」を築き、採用に関する情報を会社間・業界間で共有しながら、より良い採用活動に繋げていきたいですね。人事担当者の立場から「採用のあり方」を考え、採用マーケットをより良くしていけたらと願っています。


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