1998年にオリックス株式会社に入社。法人営業部、不動産向けファイナンス専門部署、大手事業法人を担当する戦略営業部、名古屋支店のチーム長を経て、2017年にグループ人事部に異動。新卒採用・人財開発の責任者を務める。
Published on 2021/01/08
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谷川 修一Shuichi Tanikawa
オリックス株式会社
グループ人事部 人財開発チーム長
1998年にオリックス株式会社に入社。法人営業部、不動産向けファイナンス専門部署、大手事業法人を担当する戦略営業部、名古屋支店のチーム長を経て、2017年にグループ人事部に異動。新卒採用・人財開発の責任者を務める。
リース事業を祖業として創業以来、果敢に事業領域を拡大し続けてきたオリックス。しばしば「どのような事業をしているのかなかなか全体像が見えない」と評されることもありますが、「この事業の多様さこそが、新卒採用における強力な優位性なのです」と人財開発チーム長の谷川様は語ります。時代の変化に対応するオリックスの採用戦略について、詳しくお話を伺いました。
谷川様は入社後、法人営業を中心に経験を積まれたのち、2017年からグループ人事部で活躍されています。現在、採用責任者として仕事をするなかで、どのような点にやりがいを感じていらっしゃいますか?
法人営業では、企業対企業のお取引が中心になるので、人間関係も重要ですが、ビジネス上の利害を一致させることが最も重要だと思います。これに対し新卒採用においては、私たち企業側の「人間性」が大きく問われる仕事と感じています。学生の皆さまは、就活において、私たち企業側の「人間性」を非常によく観察していると思います。働く「人」の魅力を企業の魅力に重ね、入社するか否かの判断材料の1つにするわけです。とりわけ私たちのような採用に携わる者は、企業の顔として学生からダイレクトに評価されます。つまり、学生の皆さまに企業の魅力の要素としてジャッジされる立場にあります。その点を考えると、私たちの日頃の行動一つ一つが学生の皆さまの判断材料になるわけですから、常に緊張感を持ち続けなければならないと感じます。一方、面談などを通して、学生の皆さまと直に向き合える面白さは、採用の仕事ならではのものだとも思います。
オリックスというと非常に多様な事業を展開している企業というイメージがあります。どのような事業をおこなっているか、簡単にご説明いただけますでしょうか。
当社は金融をベースにさまざまな事業を展開している企業です。現在では法人金融の他に環境エネルギー、自動車関連、不動産関連、事業投資、空港や下水処理場の運営に携わるコンセッション事業なども手掛けています。私が入社したのは今から20年ほど前ですが、当時から独自のスタンスで事業を展開していました。
そうしたチャレンジングな企業風土や多岐にわたる事業展開が特長のオリックスが打ち出す、採用活動の方針とはどういったものなのでしょうか。
幅広い事業を展開しているということは、それだけ社員が挑戦できる仕事の幅も広いということです。当社では、基本的には新入社員に10年で3部署ほど経験してもらう方針を取っています。また、どの世代の社員においても現部署とは異なる事業領域への異動が当たり前の企業風土となっています。ひとつのビジネスで一生のキャリアを終えるのではなく、さまざまな分野を経験し重層的なキャリアを構築していけることが、オリックスならではの魅力です。新卒採用においては「さまざまなビジネス分野に興味を持ち、その中で自分の可能性を試したいと考えている学生」とお会いすることが多いと感じています。
ということは、「このビジネスがやりたい」という明確な目標が定まっていなくても良いのですね。
そうですね。内定者の中には入社時にはまだ具体的にやりたいことが決まっていない学生もいらっしゃいます。しかし、「さまざまなビジネスで経験を積み、成長したい」という意欲は人一倍強く持っています。私たちはそうした好奇心やチャレンジ精神を評価しています。もちろん、当社の事業内容をしっかり理解してくれた上で、やりたいことが決まっている学生も歓迎します。ただしお会いする学生の傾向としては、前者のタイプが多いと感じます。
そのようなチャレンジ精神を備えた学生を採用するために、採用活動では特にどのようなことを大切にしていますか?
「オリックスってこんなに面白いビジネスをやっている会社なんだ!」と魅力を感じて入社してほしいと考えています。
そのためにも会社説明会や採用サイト、インターンシップなどの各種接点を通じて、当社のビジネスについて丁寧に、具体的に説明しています。最近は学生の皆さまにご登録いただいているマイページ上でのコンテンツ配信にも注力しています。さまざまな事業部で活躍する社員紹介のコンテンツも増やし、オリックスの事業や働き方、歴史についての記事も定期的に配信してきました。特に社員紹介コンテンツは学生の皆さまからの評判が良く、当社の事業をリアルに理解してもらう一助となっているようです。マイページへのログインやイベント参加など、接点を重ねるごとにオリックスについて理解が深まり、さらに知りたくなる、そんな継続的なアプローチを心がけていますね。
近年はテクノロジーや市場が急激に変化し「一生ひとつの仕事だけをするのではなく、柔軟にキャリアを形成したい」という若者も増えているように感じます。そうした学生にとって、オリックスの働き方は魅力的に映りそうですね。
毎年多くの学生と接している中で、そういったキャリア観の変化は確かに感じますね。たとえばGAFA[Google・Apple・Facebook・Amazon]のように現代を代表するグローバル企業を見ても、ビジネスモデルは複雑になってきており、説明するのは意外に難しかったりします。そのような時代の変化を、今の若い人たちは目の当たりにしているわけです。ひとつの商品、ひとつの専門性だけで、40年、50年に及ぶキャリアをまっとうする人は減っていくと思います。そのことに気づいている学生にとって、事業領域を果敢に広げ続け、「社内転職」ともいわれる程柔軟なキャリアを築くことができる当社の働き方は価値のあるものだと思います。採用活動を通じてしっかり伝えていきたいポイントですね。
2021年卒採用は新型コロナウイルスの影響で、面接はオンライン化されたと伺いました。シーズンを終えた所感をお聞かせください。
もちろん、最初は前例のない状況の中で不安もありましたが、今振り返ってみれば、例年と比べて採用成果に大きな変化はなかったように感じています。オンライン面接でも充分な選考ができましたし、オリックスが求める有望な学生を採用することができました。
コロナ禍ならではの工夫や、苦労した点があればお聞かせください。
リアルでの説明会やイベントを開催できなかったことで、学生の皆さまの企業理解がやや進みにくかったという面はあるかもしれません。しかしこの点については、オンラインコンテンツの拡充などによってカバーできたのではないか、と考えています。コロナ禍においても我々は、あくまで「オリックスの多様なビジネスの面白さをしっかり伝えたい」という基本方針に沿って、誠実に学生の皆さまと向き合おうと心がけていました。
2022年卒採用に向けては、どのような施策を実行されていますか?
インターンシップについてはすでにオンラインで実施しています。コンサルティング営業と事業投資という当社のビジネスを模擬的に体験してもらう内容です。オンラインの場合、対面と比べて学生の理解度が下がりがちですが、社員によるフォローを強化することで、オンラインの環境でも同様の成果が得られたとともに、参加者の満足度も維持できていると感じています。
今後の採用戦略についてお聞かせください。
今後は、時代の変化や事業の変化にあわせた評価基準の整備、採用方法の改善を定期的におこなう必要があると考えています。採用活動の本当の成果は、内定者が入社してから少なくとも3~5年程度経たなければわからないものだと考えていますので、中長期的な効果検証も重要となってきます。今後はこうした中長期的な検証もルール化し、採用チーム全体のレベルアップを図りたいと考えています。
※所属・内容は取材当時のものです
Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
新たな採用手法の実現方法を紐解きます。
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