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Interview

「書類選考なし、選考内容は事前開示」
オープン&フェアを貫く採用戦略

Published on 2021/02/08

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Profile

青木 晴日Haruhi Aoki

スミセイ情報システム株式会社
人材開発部

2014年4月、スミセイ情報システム株式会社に入社。運用サービス部にてエンジニアとしてシステム運用業務を経験したのち、2017年より人材開発部に異動。現在は新卒採用の企画・運営を行う。

スミセイ情報システム株式会社は、住友生命グループのICT戦略を担うシステムインテグレーターです。長年にわたって住友生命の巨大金融システムを開発し続けてきた技術力は金融業界を中心に定評があり、現在ではグループ外の売上比率も50%にのぼります。そんな同社が採用において重視するのは「ICTプロフェッショナルに適した人材を獲得すること」。学歴などにとらわれることなく学生と向き合うため、「書類選考なし」「志望動機不問」などのポリシーのもと、採用活動を実施しています。同社の採用に貫かれた「学生ファースト」の姿勢、そして絶えず進化しつづける合理的な採用戦略について、人材開発部の青木晴日様にお伺いしました。

無駄を省き、学生の本質に迫る

まずは簡単に、貴社についてご紹介いただけますか?

当社は社名が示すとおり、住友生命グループのICT戦略企業です。主な顧客は親会社である住友生命保険相互会社ですが、それ以外の金融系企業、金融以外の企業のシステムも手がけています。新卒採用においては、住友生命グループという安定感に加え、グループ外の仕事も幅広く経験しながらICTプロフェッショナルとして成長できる点に、関心を持たれる学生が多いようです。

ICTプロフェッショナルに適した人材を採用するために、採用活動においてどのようなことを大切にされているのでしょうか。

当社では、入社後にエンジニアとして活躍したいという意欲を重視した採用を行っています。大学名はもちろん、学生時代に学んだ情報系の知識についても問いません。ですから、当社ではエントリーシートの提出を求めていませんし、書類選考も行いません。あくまで一人ひとりとお会いして話したことを大切にしています。

エントリーシートを使わないというのはかなりユニークな方針ですね。どのような背景からそうした決断を行われたのでしょうか。

当社の採用活動全般にいえることとして、「無駄なことはしない、させない」という考え方があります。エントリーシートを書くことは学生にかなり負担を強いる作業ですし、企業側にとってもそのすべてを精読するのは難しいという現実があります。それよりは、面接や面談で学生との1対1のコミュニケーションを充実させたほうが、相互理解において効果的だと判断したわけです。

学生にとって親切な方針ですね。エントリーシートを使わず、どのように面接に至る人数を絞っているのですか?

説明会に来ていただいた学生の中で、当社に興味を持っていただけた方に適性検査とオリジナルのテストを受けていただき、適性があると判断された方に面接を受けていただいています。当社の選考では本人の意欲・人柄を重視していますが、ICTエンジニアという職業には特有の適性があります。エンジニア向きでない方に入社後つらい思いをしてほしくないので、適性検査やテストは重要な選考フローだと考えています。

採用施策の意図がとても明確ですね。学生からの反応はいかがですか?

選考後に行ったアンケートを見ると、書類選考がなかったことに好印象を持った学生は多いようですね。「選考において何が重視されているか」が明確に開示されていることに対して、納得感を持って選考を受けていただけているのかな、と思います。

面接の質問内容をすべて開示する理由

貴社は採用活動を「学生の皆さんと企業がお互いに理解を深め合う場」であると位置づけていらっしゃいます。この実践のために、どのような工夫を行われていますか?

シンプルなことですが、たくさんの社員に会っていただくことを心がけています。面接では順に若手、マネージャークラス、そして役員が面接担当者となることで、当社の幅広い年代、立場の社員と話すことができます。面接のほかにも面談会や座談会を開き、現場の話を詳しく聞ける機会を設けています。ちなみに、私たち人事担当者はあえて面接には加わりません。現場の人と多く接していただくことが、当社を知っていただくことにつながると考えるからです。

面接で学生の人物を見極める上で、何か気をつけていることはありますか?

当社では面接で何を質問するか、事前に学生にお伝えするようにしています。たとえば「学生時代に頑張ったこと」を聞くと伝えた面接では、その通りの質問をします。その他にも、選考フローや各選考内容など、開示できる情報はすべて学生にお伝えしています。

面接内容を開示する企業は珍しいですね。どのような意図があるのですか?

私たちが面接において最も重視するのは、学生がこれまでに何をしてきたかという「事実」です。過去に頑張ったことを聞けば、事実ベースでコンピテンシー(優秀な成果を発揮する行動特性)を判断することができます。あらかじめ質問項目を開示する理由は、この「事実」を正確に話してほしいからです。その場で突然質問された場合、緊張している学生はとっさに自分の経験をうまく思い出せないかもしれませんし、私たちも彼らの「事実」を知ることができません。あらかじめ準備しておけば、そういう不幸な事態を避けられますよね。ちなみに、当社の面接では「当社への志望動機」は聞きません。選考が進む過程で志望度が高まればいいと考えているからです。

貴社の「採用活動ポリシー」にもある通り、「オープンでフェアな出会い」を徹底されているのですね。これから2022卒採用が本格スタートしますが、2021卒採用はどのように採用活動を進められたのですか?

新型コロナウイルスの影響で、基本的に面接、面談はオンラインで行いました。直接会えない分、個別面談の機会を設ける、紙のパンフレットを郵送する、採用サイトで先輩社員の紹介ページを作るなど、学生との接点を増やす工夫をしました。ただし、最終面接だけはご来社いただいた上、消毒済みの個室に入っていただき、面接担当者とは別の部屋でTV会議システムを用いて面接を行いました。「お互いにマスクなしで話したい」「入社前に一度はご来社いただきたい」「しかし、面接時の感染リスクはゼロに抑えたい」と考えた結果、かなり悩みましたが、この方法を選びました。

学生からの反応はいかがでしたか。

今年は学生との直接のコンタクトが少なかったにもかかわらず、アンケートの結果「社員と話したことが入社の決め手」と答えた内定者の割合は、昨年よりむしろ増加していました。選考全体を通して、社員・学生間の相互理解がうまくできたのではないか、と嬉しく思います。

科学的手法で課題を分析し、新たな施策に臨む

採用活動における効果測定や次の施策への反映はどのように行われていますか?

新入社員の動向は、入社後も定期的に確認し、適性検査の結果や面接の内容と照合することで、選考の精度を高めています。また、選考後に記入いただいたアンケートも貴重なデータのひとつ。テキストマイニングを行ってどのような単語が多く使われているか抽出すれば、学生が選考において何に関心を持ったかわかります。このデータを使って、次年度の説明会で話す内容を見直したり、入社後の活躍度と照合して適性を分析したりしています。

ITを積極的に活用して課題抽出・改善を行われているのですね。今後の採用活動においては、どのような展望をお考えですか?

これまで通り、学生や内定者の声をしっかり聞きながら、採用活動全体を少しずつブラッシュアップしていきたいと考えています。ひとつ具体的に目標を挙げるとすれば、採用サイトを全面的にリニューアルすることでしょうか。現在、当社の採用サイトはマイページとシームレスに連携する構成をとっています。通常の採用ページで基本的な情報を開示しつつ、より深い情報を見たい人をマイページに誘導する狙いです。この導線をより強化するために、採用サイト自体をもっと魅力的なものにしたいと思っています。

サイトに掲載する情報を変えるのですか?

いいえ、伝えたい情報自体は大きく変わらないのですが、もっと「学生にとって見て楽しいサイト」にしたいと考えています。また、しばらくは新型コロナウイルスの影響でご来社いただく機会が減るため、会社紹介動画を増やしたり、オフィスの様子を360度VRで体験できるコンテンツを作ったりと、新しいテクノロジーも積極的に取り入れたいと考えています。

お話を伺って、一貫して「学生ファースト」な採用活動だと感じました。最後に、青木様ご自身の個人的な目標を教えていただけますか?

学生のみなさんに寄り添い、身近に感じてもらえる存在になりたいな、と思っています。「他の人にはちょっと聞きにくいことも、青木さんになら聞けそうだ」と、学生に思ってもらえるような人事になることが目標です。

なぜそう思われるのですか?

私自身、就職活動をしていたときに人見知りで苦労したからです。企業の人事と学生では立場が違うので、聞きたいことがあっても聞きにくいことがありますよね。当社の選考を受ける学生の中にも、私と同じような悩みを抱いている人はいると思いますし、そういう人たちを支えたいと思っています。特別なことができるわけではありませんが、笑顔を絶やさず、積極的に学生に話しかけることで、皆さんに心を開いていただければ嬉しいです。

 

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