MENU

TOP  >  インタビュー  >  飾ることなく、リアルな情報を伝えたい――入社後の長期育成を見...

Interview

飾ることなく、リアルな情報を伝えたい――
入社後の長期育成を見据えた「誠実採用」

Published on 2021/07/28

VIEW 2850

Profile

大田 はるかHaruka Oota

トピー実業株式会社
人事部 人事グループ

2016年、トピー実業株式会社に新卒として入社し、人事部に配属。新卒採用の企画、運営をメインで行い、人材教育にも積極的に携わる。

1947年創業の老舗鉄鋼専門商社・トピー実業株式会社。同社はトピー工業グループに属するメーカー系商社です。国内トップクラスの技術力を誇るトピー工業製品を多数取り扱い、グループの一員としてグループ全体の利益に貢献するだけでなく、外部の企業とも積極的に取引を行うことで自立した経営基盤を構築しています。B to B企業の新卒採用は母集団形成が難しいと言われる中、同社の掲げる採用方針は「計画要員の充足だけではなく、ありのままの自社を伝え、高水準のマッチングを追求する」というもの。入社6年目にして同社の採用業務をほぼ一人で行う大田はるか様に、誠実かつ大胆な採用方針を語っていただきました。

入社後の育成まで見据えた、手間を惜しまない採用方針

貴社はトピー工業グループの専門商社として、製鉄原料、鋼材・建材、産業機械、自動車部品など幅広い商品を取り扱われています。非常に安定性の高い事業を営まれている印象がありますね。

おっしゃる通り、当社ではマテリアル関連事業をはじめとする6つの事業を展開しています。それぞれ、取引先には国内大手企業を多数抱えており、安定した事業基盤が強みです。とはいえ事業環境は常に変化しており、同じ商品を同じように売るだけではビジネスは先細りしてしまうため、常に新たな事業展開も模索しています。当社が求める人物像は「能動性と自律性を兼ね備えた人物」であることがまず前提にありますが、そのうえで「現状に甘んじることなく、新しいことに挑戦できる、フロンティアスピリットのある人」であることも重視したいと考えています。

確かに、採用ホームページからも、能動性と自律性を重んじる社風が感じられました。大田様は現在、ほぼお一人で新卒採用を担当されているそうですが、どのような方針で採用に臨まれていますか?

当社は大手企業のような大量採用は行わず、毎年、比較的少数の新入社員を採用しています。その理由の一つとして、「採用した人材をしっかり丁寧に育てたい」という思いがあります。若手社員が会社の新たな可能性を切り拓く力を秘めた存在であるからこそ、新卒採用においても応募人数や採用人数ではなく、「入社後の育成も視野に入れ、トピー実業で活躍できる人材を確実に採用すること」に集中し、手間を惜しまない採用活動を心がけています。

貴社の入社後の人材育成にはどのような特徴があるのでしょうか?

多くの企業、特に大手企業では新人教育を外部に委託するケースも多いと思いますが、当社では約3週間の研修プログラムのほぼすべてを内製化しています。その講師を務めるのは営業部をはじめとした各部署で働いている自社の社員です。

あえて教育のプロではなく、社員が教育に携わるのはなぜでしょうか。

商慣習や業務内容の理解に加え、現場の社員にしかわからない当社の空気感やカラーなど、言語化しづらいものを伝えたいと考えているからです。講師を務める社員たちは研修のプロではないのですが、社員自らが経験と想いを直接話すことで伝わるものが確実にあると感じています。これからのトピー実業を担っていく社員として、脈々と受け継がれてきたナレッジを早いうちから感じ取ることのできる機会を提供していくことも、入社時研修においては重要であると考えています。

一見不利な情報も、あえて応募者に伝えていく

採用はもちろん、入社後の教育にも注力しているわけですね。採用においては近年、学生とのコミュニケーションに注力する企業が増えていますが、貴社ではどのような工夫をされていますか?

学生と接するとき、「会社を過度に魅力的に見せようとはしない」ことを意識しています。というのも、商社という業態は華やかでスタイリッシュなイメージを持たれがちですが、当社の現実の仕事は必ずしもそのような派手なものばかりではなく、泥臭い業務もあるので、入社後にリアリティショックを受けてしまう可能性があるからです。そうしたギャップを防ぐため、セミナーや面談、また採用サイトなどのメディアでも、リアルな情報をきちんと伝えるように心がけています。

例えばどのように「リアルな情報」を発信しているのですか?

例えば「商社=語学を活かして働ける、海外で働ける」というイメージを持つ人が多いのですが、国内事業を得意とする当社では海外勤務や語学を活かした仕事はあまり多くはありません。以前はそのことを特に強調して発信していなかったのですが、誤解する方が多かったため、数年前からは説明会ではっきり伝えるように方針を変えました。

誠実な判断ですが、応募者数に影響はありませんでしたか?

前年比の応募者数は確かに減少しました。しかしその分、当社への理解が深い応募者が増え、採用の質はむしろ上がったと思います。

それは素晴らしいですね。

採用サイトなどのWebコンテンツも、「リアル」にこだわって作っています。たとえば採用サイトのトップに表示される動画では社員の仕事シーンを映しているのですが、ここでは「実際に働く場所」を見せることに注力しました。雨の中ヘルメットを被って鉄くずの山に分け入る社員や、地方の小さな事務所で働く社員、車で営業先を地道に訪問する社員など、泥臭い姿をあえて見せたのです。人によっては「商社勤務=スーツをスマートに着こなして世界を飛び回るもの」というイメージが強いようでしたので、とにかく当社の実情を知ってほしいという思いでした。

last

トピー実業採用サイト トップページ(制作:株式会社大伸社コミュニケーションデザイン)

確かに「現場」の雰囲気が良く伝わる動画です。それでいてかっこよく仕上げられているところが印象的でした。

そう思っていただけると嬉しいです。環境ではなく、働く「人」や「仕事」そのものの魅力を伝えたいというのが、あの動画の目的でした。ちなみに、学生と現場社員とのオンライン面談の際に、あえて綺麗な会議室ではなく、その社員が普段働いているオフィスをバックに映してもらうこともあります。電話が鳴っていたり、社員が忙しそうに歩き回っていたり、落ち着かない環境ではあるのですが、そうした映像を通じて「自分が働く職場」をリアルに想像してほしいという狙いです。

その他に、学生とのコミュニケーションにおいて工夫していることがあれば教えてください。

一人ひとりの応募者や内定者のフォローを、時間をかけて行っています。例えばマイページ内のメッセージ機能は非常によく活用していますね。個々の学生からの細かい問い合わせにも丁寧に答えています。

大田様お一人で個別の対応を行うのは大変そうですが……。

いえ、それほどではありません。それに、手間をかけた分だけ、成果が出ていると感じます。実際、内定者に入社を決めた理由を聞くと、「ここまで丁寧に対応してくれた会社は他になかったから」と話してくださる方もたくさんいます。

最近では採用競争が激化する中、内定者フォローの重要性も高まっています。その点ではいかがですか。

内定を出した方には、もちろん一緒に働いてほしいと願っています。しかし入社に向けて必要以上に縛り付けるようなことはしません。あくまで本人が納得した上で入社してほしいからです。あまりにあっさり内定を承諾してくれた学生には、逆に「色んな会社を見た上で、周りの人にも相談してから決めてもいいんじゃないかな?」と勧めることもあります。そうして納得して当社を選んでくださった内定者へのフォローは、もちろん丁寧に行います。今はコロナ禍の影響もあり直接会うのは難しいので、SNSのアプリなどを活用して、メッセージを定期的に送るようにしています。内定者からも頻繁に連絡や質問のメッセージが届きます。「メールでは聞きにくいことも気軽に質問できる」という声も聞きますね。

入社後の定着率のさらなる向上を目指し、新施策を試したい

今後の採用活動において、どんなことに挑戦したいですか。

私が目標としているのは「採用」そのものではなく、「社員が入社後に長期的に活躍できる仕組みをつくること」。その筋道を描くことが、採用活動の目的だと考えています。そのためにも新しいITツールや採用手法を積極的に試し、模索していきたいです。技術面で言うと、オンラインを活用し、学生が自宅にいながら各拠点の環境を体験できるコンテンツや現場のリアルを知ってもらうために、「社員と交流を持ちながら就業体験のできるインターンシップ」をイメージとして持っています。その他にも、時代とともに変わっていくニーズに柔軟に対応しながら、先進的な施策にも挑戦してみようと考えています。

お話を伺って、採用の仕事に対して非常に意欲的に取り組まれているという印象を受けました。大田様は採用業務のどのような点にやりがいを感じられていますか。

学生の考え方は常にフレッシュで毎年どんどん変化しており、それに触れることは自分にとって良い刺激になっていると感じます。また、社会情勢などの影響を受けて、ここ数年で新卒の採用環境は激変しています。急な変化に対応しつつ、数年後を見据えて工夫し、実践していくという作業には、難しいことも多いですが、やりがいも多く、自分の性には合っているのではないか、と思いますね。さらに当社の場合、採用人数が少ないので、自分が採用した人が現場でどう活躍しているか把握しやすい環境にあります。人事は自らが直接会社の利益には貢献しづらい部署ですが、彼らが活躍している姿を見ると、自分の責務を果たせたという実感が湧いてきます。

最後に、応募者に向けたメッセージをお願いします。

就活で特に大事なことは、自分と向き合うことです。本当に自分に合った会社と出会うためには、まずは自分のスキルや能力、大事にしたい価値観などを正確に理解することが必要になります。この部分を疎かにすると、選考を受けてもなかなか結果に結びつかず、もどかしい思いをすることに繋がりかねません。それから、もし縁あって内定を獲得することができた時には、入社後の未来を見据え、企業で働く人たちの言葉をしっかり聞きながら、じっくり時間をかけて会社を選んでください。皆さんの中には就活を「つらく苦しいもの」とネガティブにとらえ、「とにかく早く終わらせるのが良い」と考える方もいるかと思います。でも、入社はゴールではなくスタートライン。自分に合った会社で長く活躍するためにも、企業選びは慎重におこなうのが賢明です。皆さんが考え抜いた先に、活躍するフィールドとして当社があるのなら、これほど嬉しいことはありません。

飾らない自分のままで働きたい人にとって、トピー実業はとても働きやすい会社だと思います。実は私自身、就活を始めた頃は仕事や社員の「キラキラした部分」ばかり見ていて、自分には合わない企業の選考を受けて上手く成果を出せなかったという経験があります。しかし、改めて自分の本心と向き合ったことで、トピー実業という会社に出会い、今もやりがいを持って働くことができています。ですから、皆さんにも就活中はじっくり自分と向き合うことに時間をかけて欲しいと思います。

 

last


関連記事

Interview

インタビュー記事一覧へ

Seminar

コンテンツがありません

セミナー一覧へ