2007年に新卒で入社。住宅事業本部にて戸建て住宅の営業に従事したのち、人財開発部へ異動。若手営業職の育成を経て、2019年より現職。現在は採用グループのプレイングマネージャーとして、新卒・キャリア採用の両方に携わる。
幕田 絵理Eri Makuta
住友林業株式会社
人事部 採用グループ
2007年に新卒で入社。住宅事業本部にて戸建て住宅の営業に従事したのち、人財開発部へ異動。若手営業職の育成を経て、2019年より現職。現在は採用グループのプレイングマネージャーとして、新卒・キャリア採用の両方に携わる。
中村 恒太Kouta Nakamura
住友林業株式会社
人事部 採用グループ
2019年に新卒で入社。住宅・建築事業本部にて支店運営業務全般(予算管理、法的申請等の管理)を担当。2021年より現職。新卒採用の中でも業務企画職コースをメインで担当している。
言わずと知れた木造注文住宅のトップブランドである住友林業は、国内外の森林経営から木材・建材商社としては国内取扱高No.1を誇るなど、木を軸とした事業を展開しています。近年では海外事業の成長が著しく、事業規模ならびに領域の拡大を進めています。会社の成長に伴い、採用活動でも変革期を迎えています。例えばテレビ番組並みの高品質ライブ動画「住友林業チャンネル」では、学生向け情報を就活フェーズに合わせて20回にもわたり配信。マイページによる精力的な広報により多くの視聴者を獲得し、インターンシップへの誘導に成功しています。コロナ禍を機に大きく進化したという採用戦略について、採用担当の幕田様、中村様にお聞きしました。
まずは改めて、貴社の事業についてご紹介いただけますか。
中村:
住友林業というとハウスメーカーのイメージが強いと思いますが、実際には、川上から川下まで「木」を軸とした事業を展開しています。まず最も川上に位置する資源環境事業では、国内外の約29万ヘクタールに及ぶ森林を保有・管理するなど、大規模な森林経営を展開しています。次に、これらの木材を商社として製造・流通する木材建材の製造・流通事業、さらにその先に住宅事業、建築・不動産事業があるというわけです。「建築」分野においても一般的なイメージとは異なり、近年はオフィスや学校といった非住宅の中大規模の木造建築も多く手掛けています。また、林地未利用材や建築廃材を再利用した木質バイオマス発電など、再生可能エネルギー事業にも力を入れています。
一般的なイメージよりもかなり幅広い事業を手掛けられているわけですね。
中村:
その通りです。事業部としては(1)資源環境事業、(2)木材建材事業(木材商社)、(3)住宅事業、(4)建築・不動産事業、(5)生活サービス事業の5事業を展開しています。(5)の生活サービス事業は介護施設や宿泊施設を運営するもので、当社の中でも新しい事業ですね。また、少し意外なところでは、建築・不動産事業は米国を中心とする海外での事業拡大もあって成長が著しく、全社の売上の約55%を占めています。
採用方針について教えていただけますか。
中村:
特に近年は売り手市場化が進んでいるので、住友林業を学生にとって身近な会社にしたいと考えています。認知拡大に向けた取り組みはいくつか実践していますが、最近私が主導した施策の一つとして、高校生向けのビジネスコンテストへの協賛が挙げられます。当社のバリューチェーンである「WOOD CYCLE」を若年層に広く知っていただくため、参加者には「木」を軸とした新規ビジネスの課題に取り組んでもらいました。このコンテストは授業の一環として取り入れられるほど影響力が強く、地上波のテレビ番組や全国紙でも取り上げられ話題になりました。効果を測定することは難しいですが、若年層を対象とした採用ブランディングとして社内外から評価いただいています。
幕田:
大学生向けの認知度向上施策としては、YouTube広告や多数の社員を動員したインターンシップの他、「住友林業チャンネル」というライブ動画番組を配信しています。「住友林業チャンネル」は近年最も注力している施策と言えるかもしれません。
「住友林業チャンネル」とはどのようなものですか?
中村:
当社の社内には、さまざまなプロモーション動画を撮影するためのスタジオがあります。このスタジオを使ってテレビ番組風のコンテンツを生配信するのが「住友林業チャンネル」です。手前味噌で恐縮ですが、スタジオ内装や撮影機材には相当なコストをかけており、映像のクオリティはテレビ番組に引けを取りません。
「住友林業チャンネル」を立ち上げた背景を教えてください。
幕田:
コロナ禍のため対面のイベントや面接を実施することが難しくなった時期に、「いかに非対面で学生と双方向のコミュニケーションをとるか」が重要な課題となりました。従来もマイページを通した情報発信を行っていましたし、イベントの動画をアップしたりもしていましたが、どうしても一方通行の情報発信になってしまいがちです。しかし、コロナ禍を機にZoomも普及したことから、オンラインで双方向のコミュニケーションがとれるのではと考えるようになりました。採用チームでアイディアを出し合い、視聴者からのコメントに柔軟に反応できるテレビ番組風の動画をライブ配信することが決まったのです。
ライブ配信の内容はどのようなものですか?
幕田:
1回のライブ配信は1時間で、内容は大きく2種類に分かれます。1つ目は、当社の歴史や理念、事業内容を全体的にご理解いただくための企業理解編。2つ目は住宅営業職、建築技術職、業務企画職といった職種別のコンテンツです。職種別コンテンツも一回で終わるのではなく、職種ごとに内容を変えて順次配信していくので、全体で20回ほど配信していることになりますね。
かなり精力的に配信されているのですね。職種別のライブ配信は、具体的にどのような内容なのですか?
幕田:
いずれのコンテンツでも、ニュース番組風のテーブルの中央に私たち人事社員が司会として立ち、ゲストとして登壇した現場社員2名にインタビューするという形式をとっています。登壇する現場社員は毎回入れ替わっていき、若手社員、中堅社員、ベテラン社員や、時には内定者まで様々です。「学生がその時期に知りたい情報」を段階的にお伝えし、インターンシップや本選考までの間に当社への理解を深めていただく構成にしています。例えば就活を始めたばかりの学生に対して、いきなりベテラン社員がキャリアビジョンについて語ってもピンときませんよね。まずは親しみの持ちやすい若手社員から現場のリアルな雰囲気を語ってもらい、興味を惹きつける。そして次回配信ではさらに深い内容をお伝えする。そのようなストーリー性を意識しています。
それだけたくさんのライブ配信が次々と公開されていれば、学生も飽きずに企業研究ができそうですね。
幕田:
学生にとっては「マイページを開くと常に何らかの新しいイベントが告知されている」状態になっていると思います。就職活動が長期化すると学生との接点を維持し続けるのが難しいと言われますが、「住友林業チャンネル」が当社への志望度を継続的に高めるのに役立っているのでは、と考えています。
また、ライブ配信中には、毎回リアルタイムでたくさんの感想や質問を書き込んでいただいています。番組ではコメントの中から特に視聴者の興味を惹きそうなものをピックアップして紹介し、登壇者に答えてもらいます。特に多いのは、職場の雰囲気に関する質問ですね。学生は業務だけではなく、先輩社員の人柄や職場の人間関係にも強い関心を持っていると思います。リアルタイムの社員のやり取りから学生が社員の雰囲気を感じられることも、ライブ配信のメリットでしょう。
視聴者からの反響や、採用への効果はいかがですか。
中村:
「住友林業チャンネル」を視聴した方の中から、インターンシップや本選考に進まれる割合は他のイベントと比較してもかなり高い結果となっています。
すばらしい成果ですね。インターンシップへの誘導はどのように行っているのですか?
幕田:
採用管理システム一体型のCMS(コンテンツマネジメントシステム)を使って職種ごとのインターンシップ特設サイトを内製し、マイページから閲覧できるようにしています。以前はそうしたサイトがなく、インターン情報をマイページのメッセージ本文で紹介していたのですが、テキストだけではイメージが持ちにくいようで、応募者からの手ごたえは今一つでした。現在のように写真やVlog(動画ブログ)を用いてイベントの内容を紹介する特設サイトは、現代の学生にマッチしているのだと思います。
貴社ではインターンシップ参加者へのフォローも強化されているそうですね。
幕田:
インターンシップ参加者向けの特別イベントを実施しています。内容は職種別の座談会や、キャリアイメージを形成するワークなどですね。ここ数年でインターンシップ参加者が入社する割合が急増しており、内定者からは「人事担当が応募者一人ひとりとしっかり向き合ってくれていると感じました」といった意見をもらえることも多いです。
最後に、今後の採用活動に向けての目標をお聞かせいただけますか。
中村:
まずは今まで以上に「住友林業チャンネル」を活用した広報を展開したいですね。テーマ別に編集したアーカイブ動画を配信するなど、より多くの方に見ていただける施策を企画しているところです。中期的な戦略としては、先ほども少しお話しした若年層向けの企業ブランディングを強化していきたい。ハウスメーカーだけではない多様な事業展開を広く知っていただくことで、競合他社との差別化を図りたいと考えています。そして長期的な目標は、全社員が採用に対して前向きに取り組むような企業文化を整えること。人材の価値がかつてなく高まりつつある今こそ、これまで以上に他部署を巻き込み、全社一丸となった採用を実現できればいいな、と思います。
幕田:
私も採用広報をもっと進化させてみたいと考えています。例えば当社はテレビCMを放映していますが、就活向けのものはまだありません。就活の時期に合わせて採用を意識したテレビCMを放映すれば、採用ブランドと認知度の向上につながるでしょう。これは人事だけで進めるのは難しいので、社内広報部と連携して実現できればと思っています。住友林業は歴史ある企業である反面、少し堅苦しいイメージもあるので、実は新しい事業、仕事に挑戦できる面白い会社なのだということを伝えたい。それが、今当社の掲げる新しい人物像の採用につながれば嬉しいです。
Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
新たな採用手法の実現方法を紐解きます。
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