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Interview

世界的半導体企業・ルネサス エレクトロニクス
理系学生に特化した「職種別採用戦略」

Published on 2022/04/28

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Profile

住近 勇輝Yuki Sumichika

住近 勇輝
ルネサス エレクトロニクス株式会社
人事統括部 人事戦略企画

2019年4月、ルネサス エレクトロニクス株式会社に新卒入社。職種別採用により人事総務部門に配属。同7月、事務所勤労に配属、就業管理業務などに従事。2020年4月に本社・人事戦略企画に異動、新卒採用業務に従事。現在に至る。

ルネサス エレクトロニクス株式会社は、世界30か国以上に約2万1000人の従業員を擁する、グローバルな半導体企業です。自動車、産業、インフラ、IoTの4つの事業領域で最先端の半導体製品やソリューションを展開する同社では、優秀な理系学生を採用するために「職種別採用」を行い、専門性を活かして働きたい学生とのマッチングを図っているといいます。採用のオンライン化が進む中、いかに理系学生の心をつかむ採用戦略を実践しているのか。人事統括部の住近勇輝様にお話しいただきました。

※所属・内容は取材当時のものです

マッチング重視の職種別採用

貴社は世界をリードする半導体企業として、多彩な分野で半導体ソリューションの研究、開発、サービス提供まで一貫して行われていますね。新卒採用では理系・文系の学生をどのような割合で採用されているのですか?

年度によって若干の変動はありますが、およそ技術系職種(理系)が9割、事務系職種が(文系)が1割という割合になっています。

理系の学生は文系以上に、「学生時代に学んだ専門知識・技術を活かせる仕事に就きたい」というニーズが強いと言われます。貴社では職種別採用を行われているとのことですが、どのような流れで実施されているのでしょうか。

おっしゃる通り、当社では技術系職種も事務系職種も職種別採用を行っています。学生の皆さんには、エントリーシートを提出する段階で職種を選んでいただきます。最初の「入り口」のところで入社後の職種が確定するわけです。その後は各職種の社員による面談を通じ、丁寧に学生とのマッチングを図っていく、というのが大まかなフローとなります。

職種別のマッチングには、やはり相当力を入れられているのですか。

そうですね。学生視点では自分の望む仕事を選択できる、会社視点では職種ごとに必要な人材にアプローチできるといった意味合いから、マッチングについて重視しています。そのため、グループ面談を行っておらず、個別面談のみ実施しています。学生一人に対して、各職種の社員が合計で2~3名ほど面接官として対応しています。

学生にとっては非常に手厚いフォローです。しかし、現場の社員の方々が協力的でないと成立しない施策ですね。

ありがたいことに、現場の社員にはいつも積極的に協力いただいており、私たち人事も非常に助かっています。私たち採用担当からも業務の説明をすることはできますが、技術系の仕事の魅力を肌感覚までリアルに伝えることはできません。やはり、現場の方に直接話していただき、学生の動機付けをしていただくのが一番だと考えています。

大学とのつながりを軸に、多彩なオンライン施策を展開

昨年からはコロナ禍に伴い採用のオンライン化が続いていますが、理系学生の母集団形成についてはどのような工夫をされていますか?

もともと当社では若手社員を中心に組織したリクルーターチームによる、研究室訪問や学内説明会への参加といった活動を重点的に行っていました。残念ながら、コロナ禍以降は対面でそれらができなくなってしまいました。その代わりに注力しているのがオンラインイベントです。学内説明会や研究室訪問をオンライン化し、学生との接点を維持しました。また、学生からの問い合わせに対応するため、リクルーターがメールやオンライン面談でコミュニケーションをとれる体制も強化しました。

オンラインを活用しつつ、大学とのつながりは守られたのですね。ほかにはどのような施策を実施されましたか?

ダイレクトリクルーティングにはかなり力を入れました。学生のプロフィールには大学の研究内容ややってみたい仕事などが書いてあるので、それらを丁寧に読み込み、個別にアプローチしました。たとえば「あなたが学ばれた〇〇のスキルは、当社の〇〇の職種とマッチするかもしれませんよ」といった風にオファーを送ることで、学生の興味を喚起しました。

職種別採用を行っている当社だからこそ、効果的な戦略ですね。2022卒シーズンに採用サイトを大幅にリニューアルしたそうですが、これはどのような狙いがあったのですか?

オンラインでの採用活動は、オフィスの雰囲気や会社のカルチャーを伝えるのがどうしても難しくなりがちです。それをカバーするために、新しいサイトでは事業所の写真をたくさん掲載し、当社の行動指針であるルネサスカルチャーを紹介するページを新設しました。これがサイトリニューアルの第一のポイントです。第二に、仕事内容や働き方の理解を深めるため、先輩社員の紹介ページを大幅に増やしました。そして最後に、特定の読者を想定したコンテンツを追加しました。例えば各ソリューションの詳しい紹介や、女性エンジニア同士のクロストークといったものです。その結果、サイトを見るだけでも、当社のことをかなり深く理解いただけるコンテンツに仕上がったのではないかな、と思います。

仕事内容や職場の雰囲気を学生に理解してもらうという意味では、インターンシップを重視する企業も増えています。こちらもコロナ禍のため対応が難しい状況ですが、貴社ではどのように実施されていますか?

これまでは理系学生のみを対象に、夏休みと冬休みにそれぞれ60ほどのテーマを用意してインターンシップに参加いただく、というのが例年の企画でした。しかし、コロナ禍のため直接来社いただくことはできなくなったため、学生の自宅にパソコンを郵送し、フルオンラインで実務を体験していただくものに変更しました。ただし、どうしてもオンライン化できない実作業もありましたので、最終的に実施するテーマの数は20~30に減ってしまいました。

数が減ったとはいえ、20~30ものコースが選べるインターンシップというのは非常に充実したプログラムですね。

ありがたいことに、学生の皆さんからは「インターンシップが中止になる企業もある中、オンラインでも実務を体験することができて有意義だった」というフィードバックを多くいただきました。

リクルーターによるフォロー体制も採用の強み

現状のオンライン対応を踏まえ、今後インターンシップではどのような点を改善される予定でしょうか。

フルオンラインと現地作業という2種類のコースを新たに設け、現場の雰囲気を深く知っていただける内容にしたいと考えています。また、フルオンラインのテーマについても、前回は最大5日間だったのを、最大で10日間に延長する予定です。これは学生から「もっと長い時間実務を体験してみたい」という声を多くいただいていたためです。オンライン上でもリアルに近い感覚で仕事の細部に触れられるプログラムを目指し、受入職場の皆さまの多大な協力のもと、準備を行っています。

採用がオンライン化されてからは、内々定者、内定者の入社までのフォローも難しくなったと言われます。貴社ではどのようにフォローを行われていますか。

選考中と同様、内定者向けのフォローも先輩社員との接点を重視しています。当社では職種別採用を行っているので、自分がどういう仕事に就くかというイメージがある程度固まった上で内定承諾をいただいているわけですが、各現場の雰囲気や、どんな先輩社員がいるかについては、実際に社員と話してみなければわかりません。そこで内定後にも、職種ごとに内定者と先輩社員を集めたオンライン座談会を開き、不安を解消できるように努めています。また、選考中からサポートしてきたリクルーターも、引き続きメール、電話、オンライン面談などを通じてフォローしていきます。

リクルーターのチームはどのように編成されているのですか?

大学ごとに5~6名のリクルーターを編成しています。担当社員の多くは入社1から5年目の若手です。学生と年齢が近いほうが親身にフォローしやすいためです。

大学や研究室との関係性を構築するのは大変だという声も聞かれますが、その点で貴社のリクルーターチームはどのような工夫をされていますか。

リクルーターが研究室の出身者であれば先生との接点をたどってアプローチしやすいのですが、そうでない研究室の場合はなかなか難しいということも事実です。我々人事部門からも、大学の先生との効果的な連絡の取り方をリクルーターにアドバイスする・リクルーターとともに就職窓口にコンタクトをとるなど、できる限りのサポートをしています。とはいえ、やはり理系の学生には「先輩が働いている会社で働きたい」という方が多いため、すでに自社とつながりの深い大学・研究室からの採用を、途切れることなく継続することが大事なのではないかと思います。

最後に、貴社の採用をどのように発展させていきたいか、今後のビジョンについてお話しください。

正直に申し上げて将来のことは全く想像もつかないですが、おそらく当社の採用はリクルーターによる大学・研究室とのつながりが肝になるでしょう。一方、半導体業界は変化が激しいので、会社としてその時々に強化したい職種の採用枠をきちんと充足させることも重要だと考えています。そのためにも、世の中の変化にアンテナを張り、柔軟に対応していかなければなりません。大学とのつながりというポイントはブレずに守りつつ、今後は採用市場や学生の動向に合わせ、ダイレクトリクルーティングをはじめとする新しい手法も積極的に取り入れていきたいと考えています。


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