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Interview

ストレス+エンゲージメントの視点で死角なし。
コロナ禍で変化するSWCCの職場改善

ENGAGEMENT

Published on 2023/04/21

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Profile

菅原 範生Norio Sugahara

SWCC株式会社
人事総務部 総務グループ長

1994年に入社。営業に従事し、関連会社への出向や支店勤務を経験。その後、総務として勤務し、現在は健康管理業務を担当。定期健康診断の見直しや重症化予防の促進など、社員の健康増進に向けてさまざまな改善を実施している。

電力ケーブルや光ファイバーなど、生活インフラに欠かせない製品・サービスを提供しているSWCC株式会社。免振装置や災害に強い電力機器製品といった災害対策製品や、電気自動車・高性能バッテリー向けの高機能材料など、時代のニーズに応える製品も多数手がけています。そんな同社が人的資本マネジメントの取り組みの一環として重視しているのが、健康経営の推進。ストレスチェックに加えて2021年度からはエンゲージメント・サーベイも導入し、ストレスとワークエンゲージメント両方のアプローチを行っています。新型コロナウイルス感染症が新たなストレスの原因となる中、どのようにして社員のメンタルヘルスを守っているのか、人事総務部の菅原範生様にお話を伺いました。

コロナ禍をきっかけに、従業員の状態を可視化するサーベイを導入

まずは、貴社の健康経営に対する基本的な考え方についてお話しいただけますか?

当社は、持続的企業価値向上に向けた人的資本マネジメントの取り組みを行っています。この取り組みは大きく4つのカテゴリーに分かれており、「新人事制度の導入」、「人材開発への取り組み」、「女性活躍推進」と並んで行っているのが「健康経営の推進」であるという位置づけです。

健康経営の推進を行う上で、特にどのような点に課題を感じられていますか?

社員が抱えるストレスをどのように低減し、心身ともに健康で十分なパフォーマンスを発揮できる状態にするかということを、大きな課題として認識しています。そしてこの課題を解決するため、当社では「基本的な産業保健活動(ストレス改善施策)」と「エンゲージメント向上の取り組み」という二つのアプローチによって職場環境改善を進めています。

ストレス改善だけではなく、エンゲージメント向上の取り組みも同時に行われている点が特徴的ですね。エンゲージメント向上施策はどのような経緯でスタートしたのでしょうか。

ここ最近のストレスの大きな原因の一つとして、新型コロナウイルス感染症の流行が挙げられます。コロナ禍によって私たちの生活や働き方は大きく変わり、当社グループも感染状況に合わせて危機管理レベルを設定し、テレワークの促進や外出・面談の制限などを実施してきました。その結果、従業員アンケートでは「テレワークで移動時間の無駄がなくなった」といったポジティブな意見と同時に、ストレスの悪化を感じさせる意見が多数寄せられました。具体的には、テレワーク化による慣れない業務のストレスやコミュニケーション不足、共同作業の難しさ、出勤者との不公平感、さらに肩こり・腰痛などの身体症状が挙げられます。また、感染流行による仕事以外の影響としては、外出自粛による運動不足や自宅での間食・過食行動、ストレス発散できるイベントの不在、といったものが挙げられます。このようにストレス要因が増える状況に対応すべく、当社では2021年度より、ヒューマネージ社のストレスチェック『Co-Labo』に加えて、エンゲージメント・サーベイ『Qraft』を導入しました。メンタルヘルスには健康リスクだけではなく、社員が現在どのような意識を持っており、またそれがどのように変化していくかを確認することが必要だと考えたためです。

データをもとに、高ストレス・低エンゲージメントの職場を分析

ストレスチェックとエンゲージメント・サーベイを同時に活用したことで、どのような課題が判明し、成果が得られましたか?

2021年度に測定したエンゲージメントスコアは、残念ながら非常に低い41.8という値でした。しかし、2022年度は46.3まで上昇。おおむねグループ内すべての会社・属性で改善が見られました。ストレスチェックについても、2021年度には104だったものが2022年度には101にまで下がり、グループ全体で3pt改善しました。ただし、一部には悪化している会社・拠点もあります。

コロナ禍におけるメンタルヘルス対策が奏功していることが、データで実証されたわけですね。

さらに、ストレスチェックとエンゲージメント・サーベイを同時に活用することで、さまざまな有益なデータを得ることができました。例えば、「職場における現場勤務者の割合」と「エンゲージメント」の相関性、「職場における現場勤務者の割合」と「総合健康リスク」の相関性について分析したところ、エンゲージメントスコアと総合健康リスクが相反関係にあることがわかりました。また、ITソリューションや販売に関わる職場は比較的エンゲージメントが高く、製造や輸送など、現場勤務者が多い職場はエンゲージメントが低い傾向にあることも明らかになりました。ただし、例外的に金属加工職場は総合健康リスクが高いにもかかわらず、エンゲージメントはそれほど低くありませんでした。これは専門的・職人的な一人作業にやりがいを感じている方が多いことが一因かと思われます。

一般に、エンゲージメントと総合健康リスクに相反関係があり、現場勤務者ほど高ストレス・低エンゲージメント傾向があると言われています。それが調査により改めて明らかになったということですね。その他に、高ストレス職場に共通する傾向はありましたか?

当社の高ストレス職場では、仕事量の増加や仕事内容の変更といった要素が見られました。また、上司・同僚のサポートが低いことも共通する要素です。

KPI管理に基づく、ストレス低減・エンゲージメント向上戦略

ストレスチェックとエンゲージメント・サーベイの分析結果を受け、どのように対策を実施したのでしょうか。

昨年度の結果を受けた施策としては、高ストレス職場に対するストレスチェックの説明会や、管理者・従業員へのヒアリングを実施しました。以前は社員によるヒアリングを実施していましたが、外部の方が相手のほうが社員は話しやすいのではないかとの考えから、エムステージ社にご協力をお願いしました。その結果、社員の抱えるプライベートの悩みなどの本音も引き出すことができ、ストレスの改善に一定の効果があったと考えます。

確かに、社員相手だと気を使って話せないことも、外部の専門家が相手なら話しやすくなりそうです。

それ以外にも、管理職研修にて課長職のストレス・エンゲージメント研修を実施し、その中で調査結果を共有した上で、職場における対応について考えてみるようにしました。

今後のストレス対策に向けて、どのような施策の実施を予定されていますか?

安全管理部門や、各グループ拠点の健康経営の推進担当者で構成する衛生分科会と連携し、次のような対応を行っていきます。まず、ヒアリングに加えて管理者向けのワークショップを行い、職場改善の意見交換を行います。また、ラインケア研修の対象範囲を、従来の課長職から現場の係長、組長にまで拡大します。さらに2023年度は「こころの健康づくり計画」を策定し、各種セミナーによる従業員の意識啓発を行うと同時に、基本的な産業保健活動を強化していきます。これは、高ストレス職場ほど、繁忙のため産業保健活動に手が回っていないという傾向が見られたためです。

ストレス対策については着実に質が高まりそうです。エンゲージメント向上に向けては、具体的にどのような施策を実施されたのですか?

エンゲージメント向上施策については、2022年度は衛生分科会による活動を開始し、グループ拠点の連携を強めてきました。具体的には、まずコロナ禍のテレワーク対策として、食習慣や肩こり・腰痛に効くストレッチなどの各種健康セミナーを実施しました。また、ワークライフバランスの充実に向けて、メールや社内インフォメーションで有休奨励や残業削減を促進。さらに、テレワークなどの多様な働き方を推進するため、スマートフォンの内線化やWeb会議システム・チャットツールなどを取り入れました。

非常に充実した対応ですね。一年でエンゲージメントスコアが改善されたこともうなずけます。エンゲージメント向上に向けた今後の予定について教えてください。

大きく3つの施策を予定しています。1つ目は、新しい福利厚生サービスの導入です。具体的には、育児や介護サービスに関する補助や、社員同士の感謝を示す「サンクスポイント」、運動によりポイントがつく健康アプリなどを導入し、楽しみながらやりがいを持って働ける職場を目指します。2つ目は、人事制度の見直しやGLTD等による休職者へのサポートです。そして3つ目は、社内コミュニケーションの活性化に向けた各種イベントの実施です。

最後に、今後の中長期的な目標についてお聞かせください。

SWCC株式会社では2026年度にエンゲージメントスコア55以上という目標を掲げ、今後の職場環境改善を進めていきます。そのために必要なことは、「会社としての産業保健活動を実施すること」と「従業員のセルフケア意識を高めること」の2点であり、どちらが欠けても社員の健康を維持・増進していくには不十分と考えます。これからも、私たちの幸せな生活と会社としての企業価値向上、ひいては社会の持続的な発展のため、お取引先各社のご協力のもと、引き続き健康経営を推進していく所存です。


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