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Interview

リクルート『就職みらい研究所』所長が語る、
2022年卒採用総括と企業の課題

Published on 2021/09/03

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Profile

増本 全 Zen Masumoto

株式会社リクルート
就職みらい研究所 所長

2004年株式会社リクルートに入社。これまでHR領域(主に新卒の就職・採用)にて営業/企画/スタッフ職に従事。2018年4月就職みらい研究所に着任し、同年10月より現職。採用・就職に関するリサーチ活動を行いながら、行政・経済団体の就職に関する会合に有識者として委員参加。各種メディアにも多数出演。

コロナ禍2年目の2022卒採用も大詰めとなり、各社振り返りのシーズンを迎えていらっしゃるかと思います。新型コロナウィルスへの早急な対応に迫られた2021卒採用を経て、オンライン化の広がりや学生の志向の変化など刻一刻と変化を続けてきた採用マーケット。そのような中、企業はどのような視点で採用活動を展開し、学生とのコミュニケーションを実践していくべきなのでしょうか。今回お話を伺ったのは、株式会社リクルート 就職みらい研究所 所長の増本 全 氏。全体のマーケットデータや企業/学生双方のデータを用いながら、2022卒採用の総括と今後の企業の課題について解説いただきました。

コロナ禍においても堅調な動きを見せる採用マーケット

2022シーズンの採用活動も佳境を迎えました。まずは、現在の採用マーケットについて簡単に教えてください。

まず大卒の求人倍率推移のデータをみると、新型コロナウィルスの影響が直撃した2021卒が1.53倍(前年比-0.3pt)と下がり、2022年卒はほぼ同水準の1.50倍となっています。リーマンショック以降求人倍率は右肩上がりとなり、いわゆる“売り手市場”がしばらく続いていた中でのコロナ禍突入となりました。

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リーマンショック時の一番低い求人倍率が1.23、就職氷河期が0.99という数字だったことを考えると、新卒採用の底堅さが見受けられる結果となりました。

学生側の動きには何か変化が見られましたか?

就職する企業に変化がみられています。特に2022年卒では、5000名以上企業への就職希望者の割合が非常に高くなっており、学生にとって知名度の高い企業から内定を得ることは非常に難しくなっていると言えそうです。また、業界ごとに採用縮小・中止の動きがあることからも、採用数や採用活動に対する意欲にばらつきが窺え、学生の企業選びにも影響を与えていることが推察されます。

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実際に学生の内定率の推移に関するデータをみると、全体では順調に推移してきたことがわかります。おおむねコロナ禍前、2020年卒と同様の水準で推移しているのが2022年卒です。2021年卒は採用選考自体が非常に遅れたため、波形は5月1日時点を境に2020年卒を下回って推移し、最終的に卒業時点でほぼ同水準になっていくという推移でしたが、おおむね2020年卒とほぼ同じような波形を見せると思われます。

なぜ2022年卒は2021年卒に比べ順調に推移しているのでしょうか?

やはり2022年卒はコロナ禍2年目ということで、各社オンライン化への対応に慣れてきて、ツールの効果的な使い分けやさらなる活用が広がってきたことが一因だと思われます。

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表は2022年卒の採用の進捗状況について、採用予定数を「100」としたときのエントリー数/面接/内定出し/内定辞退の割合をプロセスごとに表しています。上段にはインターンシップを実施している企業、真ん中はインターンシップを実施している企業の中で、インターンシップ参加者だけを抽出した数字、そして下段がインターンシップをやっていない企業、という3つに分類しています。ここにも変化のポイントがみられます。

まずひとつはエントリー数です。2021年卒よりも2022年卒のエントリー数がいずれのカテゴリーにおいても増加しています。その影響もあり、辞退率の高まりや通過率の低下がみられます。実際に採用ご担当者からも、選考中の辞退や内定辞退が想像以上に増えているという話を耳にしますが、それは数字からも見受けられる結果となりました。

また、インターンシップを実施している企業と実施していない企業でみると、インターンシップ参加者は、エントリーから面接への通過率が他と比べても突出して高い結果になりました。ここからも、インターンシップが効果的に活用されていることがわかります。

応募人数にも変化は見られたのでしょうか?

応募人数の変化に関する企業への調査結果では、2021年卒よりも2022年卒の方が応募数が増えた、という回答が多くありました。実際は2021年卒から応募数増加により採用計画を充足した、と回答していた企業が多かったものの、2022年卒はさらに加速していると言えます。それらの傾向は、2021年卒では大企業や関東・大都市圏で多くみられましたが、2022年卒はその裾野が広がっていました。おそらくオンライン化の流れを受けて、学生側の時間やコスト含めて、応募へのハードルが下がったことが考えられます。

さらに学生の行動量(応募数や面接を受ける数)では、“売り手市場”時代の行動量減少の流れから一転、2021年卒からじわじわと増加していました。この背景には、経済や社会情勢に対する不安な心情に、オンライン化によるハードルの低さも後押しし、より多くの企業に接点を持つようになった姿勢が窺えます。とはいえ、企業は入社後に定着・活躍する応募者を入社に導くことが大命題であり、そのためには、インターンシップ~選考期から日々のコミュニケーションをいかに取っていくかが非常に大きなポイントと言えます。

学生とのコミュニケーションは、「個に最適化された情報」を「必要なタイミング」で

2022シーズンの採用活動を踏まえ、企業と学生のコミュニケーションのポイントはどこにあるのでしょうか。

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左の表は2021年卒の学生に対して、採用選考の手法別に「確定就職先への理解」を表したものですが、ここでは手法は理解度にあまり影響を及ぼしていないという結果が出ています。一方で、右側の「確定就職先への理解度別の情報接点」を示した表では、例えば懇親会や先輩社員との接点、採用ご担当者からの定期的な連絡、さらには選考へのフィードバックなど、日々のコミュニケーションの方が手法よりもずっと理解度に影響を与えているという結果が出ています。

オンラインでは難しいケースや側面も出てきているかとは思いますが、オンラインだからこそできるようになったことも多くあると思われます。学生個々対して最適化された情報を、必要なタイミングでどう手渡せるのか。自社の実態をしっかりと捉えたかたちで実践し、丁寧に相互理解を深めていくというプロセスが非常に重要だと考えられます。

具体的にはどのように考えていけばよいでしょうか。

採用は「応募者との約束」です。嘘のない実態として、組織は何を目的に存在し、実際に自社の社員がどのように働いているのか? 自社の社員が実際にどのような体験を価値だと捉えているのか? を応募者に伝え、それを約束する。ですから、採用活動の手前で自社を深く自己省察し、導き出されたことを応募者に対して裏表なく伝え切ることが何より重要だと思います。実際、そういった考えを持つ企業が増えてきているなと感じますし、良い事例としてご紹介することも多いです。

現場の仕事を具体的に伝えることやネガティブな情報の開示は、とても難しい問題だと思いますが、学生に情報を渡し切れない、自社も捉え切れていない実態があることは、とてももったいないなと感じます。自社の実態と魅力をセットで伝えるなど、伝え方も工夫しながら、自社の情報を詳らかにしていくことが重要だと思います。実際に、リアルな実態をきちんと開示したコミュニケーションを実践している企業の方が、入社予定者の納得度が高いという結果も出ています。

コロナ禍の採用においてオンライン活用が各社のテーマとなっています。オンライン活用の流れについてはどうお考えですか?

不透明な情勢の中でオンライン化が一気に進んだこともあり、会社によって魅力や仕事内容も違うので決して正解はないのですが、トライしてフィードバックを得て、改良していく、これが最も大事なプロセスだと思います。例えば、やりたいことに対して最適なツールを探して使ってみることに積極的にチャレンジしている会社と、リスクや懸念を感じていてなかなかツールを導入できていない会社の取り組みには、大きな差が出ているという感覚がありますね。どの企業でも、オンラインによって使えるリソースは実は広がってきているはず。その活用や情報の伝え方を検討していくことが求められていると感じます。

最後に、いわゆるVUCAの時代において、各社どういった視点を持って採用活動をしていくべきか、アドバイスをお願いします。

従来は、安定的かつ長期で働くことを約束されることが、働き手にとっての持続可能性を期待させるものでした。しかし、ここ数年で学生が想起する安定・安心の定義に変化が起こっています。スキルや成長といった働き手としての持続可能性と、環境変化やライフステージ変化があっても柔軟な働き方ができる持続可能性、そして企業としての持続可能性。この3つの持続可能性に対する学生の視点が変化してきていると感じます。その変化を日々肌で感じていらっしゃる採用ご担当者様ご自身が、その変化を会社に取り入れ、さらにその変化を求職者に還元していくことが求められていきますし、これが良いつながりを生み出す原動力になるのではないかなと思います。


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