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Interview

「人の魅力」とHRテックの融合。
三井物産が“人の三井”であり続ける理由

Published on 2022/12/02

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Profile

田渕 順司Junji Tabuchi

三井物産株式会社
人事総務部 人材開発室
室長

1995年入社。財務や人事のコーポレート関連業務に携わった後、情報産業、環境・新エネルギー、金属資源といった複数の事業領域での経験、二度の海外駐在を経て、2020年4月より現職。

人の魅力を重視する社風から”人の三井”とも呼ばれる三井物産は、世界と日本をつなぐ総合商社としてグローバルに事業を展開しています。そんな同社が掲げる採用ポリシーは「学生に対してフェアであること」。これまでの生涯を振り返る「自分史」などで学生の本質に迫るとともに、インターンシップや面接を通じて学生にありのままの自社を伝えることで、企業と人材とのマッチング強化を図っています。さらに近年はデータを活用したマーケティング戦略にも注力。「人の魅力」とHRテックを柔軟に織り交ぜた採用の最前線に迫ります。

「学生に対してフェアな採用」を目指して

本日は貴社がどのように「人」の魅力を活かし、どのように魅力的な人材を採用しているのか、三井物産ならではの採用戦略をお聞きしたいと思います。まずは採用ポリシーについてお話しいただけますか?

数年前に当社が掲げていた採用ポリシーに「脱・就活ゴール」というものがあります。昨今の学生の中には、大手企業や有名企業の内定をもらうこと自体が就職活動のゴールになってしまっている人が見受けられます。でも、就職はゴールではなく、あくまで長い社会人生活のスタート。そのことを伝えたくて、このスローガンを作りました。「内定=ゴール」という学生の意識を変えるためには、「自分はこの会社に入ってどういう風に働きたいのか」をしっかり考えてもらう必要がありますし、そのような機会を提供する採用活動をしなければなりません。現在はよりわかりやすい「学生に対してフェアであること」という言葉を採用チームのスローガンとしていますが、基本的な考え方は変わっていないと思います。

2022、2023シーズンでは、インターンシップを本格的に取り入れた選考フローを設計されていますね。この採用プロセスの変化にも、ポリシーが反映されているのでしょうか。

その通りです。インターンシップには、面接だけでは見えにくい学生の個性や能力を見極める役割と同時に、学生に三井物産のことを深く理解してもらうという役割もあります。学生とのマッチングを図ることを、近年はいっそう強く意識しているのです。

見極めと言えば、貴社では書類選考に、これまでの生涯を振り返る「自分史」を取り入れていることで有名です。これはどのような意図で実施されているのですか?

一般的なエントリーシートではいわゆる「ガクチカ」が主な内容になりがちですが、「自分史」ではこれまでの自分の歴史を2000字程度で自由に書いてもらいます。これは学生と当社の双方にメリットのある施策だと考えています。学生からは「自分史がきっかけでこれまでの生き方を振り返り、今の自分自身を形成するルーツを明らかにすることができた」といった嬉しい声をいただくことが多いです。もちろん企業側にとっても、学生の行動特性や価値観を多面的に判断する材料として、非常に有用です。

ここ数年はコロナ禍のため、部活や海外留学が制限され、いわゆる「ガクチカがない時代」とも言われます。大学時代に限定せずに自分を振り返る「自分史」は、そうした世代の学生を見極める上でも有効なのではないでしょうか。

その通りだと思います。「自分史」の書き方は本当に千差万別で、起伏が大きく面白い文章もあれば、さらりと淡泊に書かれたものもある。しかし淡泊な自分史でも、面接で掘り下げてみると行間に魅力的な情報がいっぱい詰まっているような場合もあって、多様な人材を見出すのに役立っています。

個別評価+総合評価で、企業風土とのマッチングを判断

人の魅力を重視する貴社らしい施策ですね。ところで、選考においてはどのような要素を重視して評価されているのでしょうか。

標準的な採用基準を設け、基本的にはこれに従って評価を行います。当社は「挑戦と創造」を掲げて事業に取り組んでいる会社ですので、例えば「自ら考え、行動し、何かを成し遂げた経験」を高く評価します。しかし、こうした個別の評価項目を順に埋めていき、一定の数値に達したら合格、といったデジタルなジャッジを下すわけではありません。こうした個別項目を念頭に置きつつも、最後は必ず人の目で総合評価を行います。

「総合評価」はどのようにして行うのですか?

当社とのマッチングを確かめるため、現場の社員に面接を担当してもらい、入社後にどのように働きたいかといったことをしっかり話します。こうした対話を通じて、最終的に三井物産に合った人材を見極めるのです。

やはり最終的には「人」が決め手になるわけですね。ところで、ここでいうマッチングというのは、配属部署とのマッチングなのか、それともより広い、貴社の企業文化とのマッチングを指すのか、どちらでしょうか。

どちらもあります。例えばDX人材やリーガル人材といったスペシャリスト採用においては、専門的なスキルを重視し、配属部署とのマッチングを図ります。しかし、それ以外の多くの人材については、企業文化とのマッチングという要素が強いですね。当社のような総合商社には非常に幅広い事業分野があり、異動も転勤も海外勤務もあります。ときには学生に「三井物産には配属リスクがある」と言われたりもします。しかし商社の仕事では、さまざまな経験を積んでいくことによって、スキルの幅もキャリアの可能性も大きく広がるものです。そういうキャリアに魅力を感じていただけるかどうかも、重要なマッチングのポイントだと考えていますね。

データを駆使した短期+長期のPDCAサイクル

採用戦略の振り返りと立案・実施というPDCAサイクルは、貴社ではどのように行われているのでしょうか。

1年に1度の長期的な振り返りに加え、短期的な振り返りも実施しています。当社では年間を通じてかなり多数のセミナーや座談会などのイベントを実施しているので、年に1回まとめて振り返るという方法ではブラッシュアップが間に合いません。また、イベントの持つ目的や意義も時期によって少しずつ変化していくので、柔軟に学生からのフィードバックを取り入れて次に活かす必要があります。毎回のイベントのたびに振り返りを行い、次のイベントを改善するというサイクルで企画につなげています。

非常に早いサイクルですね。頻繁に課題抽出と改善を繰り返すことで、個々の担当者のスキルアップや、チーム全体のパフォーマンス向上にもつながるのではないでしょうか。

はい。当社の場合、採用業務に携わる若い社員は数年単位のローテーションで入れ替わっていくので、振り返りの機会が年に1度しかないと、戦略経験を積むのが遅すぎる。短期間で一連の採用プロセスの企画と振り返りを何度も経験することで、採用担当者として早く成長できることは、チームのレベルアップにとって有効なやり方なのではないか、と考えています。

採用課題の把握と企画立案にあたっては、どのようなツールを活用されていますか?

採用管理システムで蓄積されたさまざまなデータを元に戦略を立てています。採用管理システムはいまや、我々採用担当者にとって空気や水のように欠かせないものになっていますね。日々の業務を進めることはもちろん、採用戦略を考える上でも、データを一元管理し、必要に応じてデータを抽出・分析する機能は不可欠です。当社は若手社員のアイデアを積極的に採用し、責任ある仕事を大胆に任せる社風で知られていますが、アイデアを採用する前には必ずその根拠や狙いをしっかり確かめます。そこで欠かせないのがデータです。年間を振り返るときはもちろん、直近のイベントの企画を考えるときにも、データがなければ何もできないといっても過言ではありません。採用活動はしばしばジェットコースターや急流下りにたとえられるほど、慌ただしく変化の激しいものです。だからこそ、判断を下すのに必要なデータを必要なかたちに加工して取り出せる採用管理システムの存在は、とても力強いと感じますね。

人事や面接官の感性と客観的なデータ分析を、巧みに融合して採用活動を進化させているのですね。最後に、今後の採用活動に向けて取り組んでみたいことや、抱負についてお話しください。

当社の採用活動には、人事総務部のメンバー以外のたくさんの社員が参加しています。OB・OG訪問をはじめ、インターンシップ、セミナー、面接とあらゆるプロセスで現場社員が協力してくれており、これは相当に負荷のかかる仕事だと思います。義務感だけでやっていたら、苦痛になるかもしれません。ところがありがたいことに、「自分たちの会社のために、採用活動に進んで協力したい」と考えてくれる若手・中堅社員が当社には多いのです。こうした風土が色褪せないように努力し、さらに強化していきたいと考えています。例えば、インターンシップでアドバイザーとして参加した若手社員に憧れて入社した社員が、自然に「自分もアドバイザーとして参加したい」と言ってくれる。そういうサイクルが確立されれば、当社の採用活動をより強固なものに進化させていけると考えています。


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