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「保有」ではなく「発揮」能力をみる。活躍する人材を見極める“コンピテンシー”という視点

Published on 2021/03/31

人材採用の基準は企業によってそれぞれですが、選考で「優秀だ」と判断しても、その人材が期待通りの成果を生み出さない、活躍しないというケースは残念ながら存在します。「優秀な人材だと思ったのに……」を防ぐのに、効果的な視点が「コンピテンシー」です。 “その人材は、成果を生み出すか?”という視点で、活躍する人材を確実に採用する「コンピテンシー」の考え方についてご紹介します。

コンピテンシーとは、“優秀さ”を成果につなげる能力

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コンピテンシーという概念は、もともと1970年代の初めに、「成果予測要素」としてアメリカの政府機関における人材採用手法の核を成す概念として開発されました。日本においては、2000年に入ってから大手企業を中心に徐々に広まり、現在では企業規模や業界を問わず、多くの企業の人材採用や評価制度に取り入れられています。

 

コンピテンシーを理解するうえで、まず、abilityとの比較がわかりやすいかと思います。abilityもコンピテンシー(competency)も「能力」を意味しますが、「能力」をみる視点が異なります。abilityは、学習して獲得した知識やスキル、学力をあらわすときに使い、“優秀かどうか”という視点でみた能力を指します。他方、コンピテンシーは、”成果につながるか“という視点でみた能力を指します。その人が持つ知識やスキル、学力をどれだけ成果につなげられるか?がコンピテンシーの視点です。冒頭に挙げた「優秀な人材だと思ったのに……」が起きてしまう原因のひとつとして、保有している能力=abilityのみを評価し、それを成果につなげられているかどうか?という発揮能力=コンピテンシーを確認していなかったことが考えられます。

 

もう一つ、従来の“優秀さ”をみる視点と、コンピテンシーの視点の違いを説明します。保有能力を評価する、従前の採用面接では、4つの円に書かれた「成果イメージ」「思考力」「態度・姿勢」「知識・経験」をどれだけ高く、多く持っているのかを確認しようとしていました。この4つが高い、イコール「知識や経験も充分にあり、高い成果イメージと前向きな態度も持っている。何よりも思考力が高く頭がよい」という判断です。

 

もちろん、この4つを高く持っている人材が“優秀”であることは間違いありません。ただし、コンピテンシーの視点では、これらの4つを“成果につなげられているか?”が大切なポイントとなります。コンピテンシーの視点では、これらの4つの○を「判断や工夫を加えながら」「行動に結びつけられているかどうか」を評価するのです。

 

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コンピテンシーは“モデル化”できない

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コンピテンシーの概念が日本でも広まるにつれ、本来の意味とは異なる捉え方も見受けられるようになりました。その一例が、「高い成果を安定的に生み出し続ける人に共通する行動パターンを“モデル化”したものがコンピテンシーである」という考えのもと、職種ごとに求められる行動をモデル化(パターン化)し、そのモデルをコンピテンシーと呼んでいるケースなどです。

 

本来の意味でコンピテンシーの高い人は、いま生み出すべき成果は何なのか?そのために何をするべきなのか?をいつも明確に把握し、成果を生み出すためにそのときどきで最適な行動をとっています。そうであれば、前回最適だったアプローチが今回も最適とは限らず、行動をモデル化することはできません。したがって、ハイパフォーマーをモデル化し、コンピテンシーと呼ぶ捉え方は、本来のコンピテンシーの妨げになる可能性があることを理解しておくことも必要です。

 

また、コンピテンシー発揮にはさまざまな局面やパターンが存在し、成果の生み出し方はひとつではありません。多様性のあるコンピテンシーが組み合わさることで、より大きな成果につながる可能性もあります。コンピテンシーが高い人材、というと、どの企業も等しく求めているような人材に思えてしまいますが、どのような種類のコンピテンシーを発揮できる人材が必要なのかは各社それぞれです。つまりコンピテンシーの考え方は、その意味の本質を捉えた上で、自社にあわせて応用すべきものと言えます。

まとめ

“保有能力”ではなく“発揮能力”をみる、コンピテンシーの考え方は、成果をあげる人材を見極める採用手法であると同時に、その人の強みを正確に把握し、その解像度をあげようとする試みでもあります。「人材採用において、コンピテンシーの視点が重要性を増しているのはなぜか」「コンピテンシーの種類」については、次回でご説明します。


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