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HR INFORMATION

重視する要素に応じた、継続的な働きかけを。効果的な内定者フォローを考える

シリーズ|内定者コミュニケーション

Published on 2019/11/14

売り手市場が続くいま、「内定辞退」は採用ご担当者にとって頭の痛い問題です。「いかに内定辞退を防ぎ、確実に入社につなげるか?」は、最終的な採用成果実現のカギを握っているといえます。このシリーズでは、昨今の内定辞退の動向や効果的な内定者フォローについてご紹介します。

 

<このシリーズの記事を読む>
売り手市場における内定辞退の動向

就職活動の短期決戦化により、「内定をもらってから選ぶ」ケースが増加

画像1

 

就職活動は、「3月スタート」となった2016年3月卒の採用活動から”短期決戦化”が顕著になりました。学生の多くは、採用広報解禁前の3月1日以前から志望業界や志望企業を絞り込み、3月10日までに一気にプレエントリーをし、その後は選考参加~一気に内定取得まで突き進む傾向が強くなっています。ヒューマネージの調べでは、2020シーズンの採用において、

 

 

・プレエントリー推移をみると、3月10日(採用広報開始の10日後)の時点で、前年の採用終了時のプレエントリー人数の約7割(72.4%)に達しており、その後は鈍化
・採用広報解禁直前(2月末)までに、7割以上(72.7%)の学生が志望業界を絞り込んでいる
・学生の内々定獲得社数(平均)は2.3社

「ヒューマネージレポート 20新卒採用総括」、「20シーズン 内々定者アンケート調査結果」より

 

という結果が出ています。これらから、スタートダッシュ傾向が強まる就職活動のなかで、複数の内定先を得てから入社先を決めることが一般的になっていることがわかります。また、就職活動中に内省を深めたり、都度立ち止まって考えたりしながら入社先を決めるというよりは、「内定をもらってから考える」傾向が強くなっていると予想されます。

学生はどのように「入社先」を決めるか?~内々定者アンケートより

ヒューマネージが実施した20シーズン内々定者アンケートにて、入社予定先企業の「プレエントリー時の魅力」と「内々定承諾の決め手」について訊ねたところ、次の結果となりました。

 

プレエントリー時の魅力 内々定承諾の決め手
1 事業内容(42.1%) 社員の魅力(43.2%)
2 社風(28.4%) 社風(34.7%)
3 仕事内容(28.3%) 事業内容(30.1%)

対象:採用管理システムご利用企業の内々定者の方々(有効回答数:2964名)

 

内々定承諾の決め手は、「社員の魅力」がトップとなっており、文系学生では5割(48.9%)、理系学生では4割(36.5%)が決め手に挙げていました。プレエントリー時は、事業内容や仕事内容など「どのような事業・仕事に関わるのか」に興味・関心を持っていることがうかがえますが、選考が進むなかで、内々定承諾の決め手となるのは、「どのような社員とどのように働くのか」であることがわかります。そのため、選考を通じて接した社員やその社員から感じた社風が、内々定承諾の決め手となっているといえます。「魅力」や「社風」は1つの接点だけで伝わるものではなく、選考~内定後を通じ継続して「人」による働きかけをおこなうことが必要です。

学生はどのように「入社先」を決めるか?~就業意識調査より

学生がどのような意識で就職活動に取り組み、またどのような過程を経て最終的な意思決定に至るか、その意思決定プロセスを把握するために実施された「就業意識調査」*では、以下の8傾向-4尺度の就業意識があることが明らかになっています。

 

就職についての意思・方向性の傾向:

意思堅固 意思柔軟
就職についての方向性(意思)が比較的堅固であり、そうした方向性に沿って就職活動の成果をあげることを重視する傾向が強い。 就職についての方向性(意思)が比較的柔軟で、状況に応じて方向性を変更していくことをいとわない傾向が多い。

 

就職に関して重視する情報の傾向:

客観的判断 主観的判断
誰にも同じように認知される客観的な事実に基づき、論理的な思考過程を経て、就職先を選択しようという傾向が強い。 人によって受け取り方は異なるが、自分にとっては意味のある主観的真実に基づき、情緒的・感覚的判断を主に使って、就職先を選択しようという傾向が強い。

 

就職における意思決定の傾向:

自律的 他律的
就職活動における意思決定が他社に左右されにくい。 就職活動における意思決定が他社に左右されやすい。

 

会社・仕事に期待する報酬の傾向:

内的報酬重視 外的報酬重視
仕事のやりがい、仲間や上司に恵まれていること、仕事を通して成長できることなどの内的報酬を、給与水準、企業の知名度、勤務条件などの外的報酬よりも重視する傾向が比較的強い。 給与水準、企業の知名度、勤務条件などの外的報酬を、仕事のやりがい、仲間や上司に恵まれていること、仕事を通して成長できることなどの内的報酬よりも重視する傾向が比較的強い。

 

*明治大学 情報コミュニケーション学部 教授 牛尾奈緒美氏、人事コンサルタント 川上真史氏、ヒューマネージによる共同調査

「本人が重視する要素」×「本人の理解度」がポイント

上記の8傾向-4尺度で学生の就業意識をみてみると、一人ひとりその傾向は異なります。企業からのある働きかけが効果的な学生もいれば、そうでない学生もいる、つまり、人によって“刺さる”ポイントは異なり、それを踏まえたアプローチが必要になる、ということです。また選考ステイタスや企業・業界への理解度によっても、効果的なアプロ―チの方法は異なります。

本人の重視しているポイント企業・仕事への理解度合を掛け合わせ、マスではなく個人に向けた最適なフォローを実践していくことが重要です。

 

 

たとえば:

・客観的判断の傾向の強い学生には…会社情報を、根拠のある数字で伝える
・自律的な傾向の強い学生には …十分な情報をもとに意思決定できるよう、情報を不足なく提供する
・内的報酬重視の学生には …社員を通じて、やりがいや成長実感を訴求する
・外的報酬重視の学生には …待遇や福利厚生について、誤解なくきちんと伝える 等

 

 

内定者専用マイページ内のコンテンツの出し分けや、オファー面談で重点的に伝えるべき内容など、実践できるシーンは多くあります。学生個人の特性に合わせた、効果的なコミュニケーションをおこなっていきましょう。

まとめ

以上から、内定者フォローにおいては、

 

① 「人」(社員)を通じた働きかけが大きな影響力を持つ
② 学生により重視する要素は異なり、個人に合わせたアプローチが大切

 

といえます。
さらに、採用活動とはフェーズごとの断片的な判断の集合体ではなく、企業と応募者間のストーリーとして展開するものです。したがって、内定後の定期的なアプローチだけでなく、選考中~内定後まで、面接、内定式、リクルーターとのフォローアップ面談などを通じて、継続した、かつ、その学生の重視する要素に応じたきめ細かいアプローチをおこない、本人が自分で「決断した」という実感(納得感)を醸成することが大切です。


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