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20卒学生の声より。「人」を通じたコミュニケーションで左右される志望度

シリーズ|応募者の声

Published on 2020/05/29

入社後のミスマッチを防ぎ、できるだけ長く活躍してほしいというのが、採用ご担当者の思いです。このシリーズでは、企業と学生の双方にとってより良い採用-就職を実現するために、アンケート結果など学生の最新動向を紹介します。今回は、前回に引き続きHR総研が「楽天みん就」の会員を対象に実施した「2020年卒学生 就職活動動向調査」Webアンケートの結果から、志望度の向上にまつわる学生の声についてお届けします。

 

選考を通じた“人”の魅力が、志望度アップに繋がる

入社までに志望度がアップしたエピソードについて、学生に調査した結果、以下のような回答が得られました。

 

・社長自ら選考会に参加し、お話をきくことができた(その他私立大・文系)・社員のみんなが、すれ違うと挨拶してくれた(中堅私立大・文系)

・人事の方の対応が良く、「この人がいる会社で働きたい」と思った。(上位私立大・文系)
・面接後にフィードバックをもらえた(上位私立大・文系)
・内々定をもらった会社に「悩んでいる」と伝えた翌日、管理職と相談する時間を設けてくれた(旧帝大クラス・文系)

・内定承諾を待ってくれた。「本当に来て欲しいからこそ意思を尊重する」と言ってくれた(旧帝大クラス・文系)

 

一方、志望度を下げたエピソードとしては、面接時での回答が多くみられました。

 

・携帯を触りながら面接をされた(中堅私立大・文系)

・エントリーシートに目を通していないと分かるような質問をされたときや、畳み掛けるように持論を展開されたときは、入社後に上手くやっていける自信がなくなり、選考を途中で辞退した(上位私立大・文系)

・圧迫面接をされたときは、「ここには入社しない」と決めた(早慶大クラス・文系)

・面接官ばかりが話して、こちらに会話のチャンスをなかなか与えてくれなかった(旧帝大クラス・理系)

 

このアンケートは2020年卒予定の大学生・大学院生を対象に実施したものですが、挙げられているエピソードはここ20年近く変わっていません。学生は、さまざまな場面(合同企業説明会、会社説明会、面接(待ち時間含む)、内々定後)で会う(見る)ひとりひとりの社員の印象=その企業の印象としてとらえ、志望度を上げたり下げたりしています。(さらに、学生との接点は、継続的な人間関係の上にあるものではないため、「たまたま暗い顔をしていた」一面だけが切り取られてしまう可能性がある点にも注意が必要です。)

 

学生に対して最も影響力のある要素は、昔も今も変わらず「人」(社員)です。そのことを、採用ご担当者様だけでなく、社員の方全員で共通認識を持つ必要がありそうです。

学生が望む“同期”や“若手社員”との接点

続いて、内定~入社までのリテンション施策としてどのようなフォローが効果的なのか、アンケート結果からご紹介します。企業からの内定者フォローとして、望ましいものを複数選択できいてみたところ、下記の結果となりました。

 

1位 内定者懇親会(文系49%、理系47%)
2位 若手社員との懇親会(文系31%、理系28%)
3位 定期的連絡(文系26%、理系25%)

 

「内定者懇親会で他の内定者を見て、自分に似た雰囲気の人が多くて安心しました」(中堅私立大・文系)など、内定者懇親会は、他の内定者=同期に会う場として人気があります。また、「若手社員との懇親会」は、身近な若手社員の姿から、数年後の自身のイメージ(具体的にどういう仕事をして、どういう社会人になっているか)を感じ取っているようです。

 

一方、「管理職社員との懇親会」「経営者・役員との懇親会」を挙げた学生は10%前後にとどまりました。企業のビジョンや戦略は、管理職社員や経営者・役員を通じてぜひ伝えたいところですが、意図する効果を出すためには、身近な社員との交流イベントと組み合わせて実施する、後半に管理職社員や経営者・役員の言葉をかみ砕いて説明するフォローの時間を設けるなど、学生に“伝わる”ための工夫が求められます。内定者の理解度合いに応じた働きかけが、効果的な内定者フォローのポイントといえます。

 

ほかに、「資格取得支援」「eラーニング・通信教育」「入社前集合研修」など、育成に関わる項目は、比較的多くの学生が望ましいと回答していました。

求める人材に早期から直接アプローチする“リクルーター”

そのほか、近年では、学生との接点を増やすためにリクルーターを取り入れている企業も多くあります。リクルーターとは、主に若手社員が採用活動に関わり、自社の応募者(学生)とコンタクトを取ることです。学生に年齢の近い社員が直接話をすることで、学生は企業をより深く理解することができ、入社後の自分の姿をイメージしやすくなります。また、企業は学生に個別にアプローチすることで、自社の魅力を効果的にPRすることができます。

 

図1 リクルーター(OB/OG)接触時期

20卒学生を対象におこなった内々定者アンケートによると、リクルーターとの接触時期は、理系学生の方が早い傾向があり、2月までに半数近くの学生が接点を持っていました。文系学生は、12月から2月まで緩やかに増加し、3月から4月がピークとなります。特に理系の研究室では、卒業生によるリクルーター訪問が活発な傾向があります。専門分野を活かしたいという学生とその分野で活躍してほしいという企業の思いが一致していることに加え、身近な先輩から会社のリアルな情報に触れることができる点が、学生にとってメリットといえます。

 

次に、企業規模別のリクルーター導入状況をみると、中堅・中小企業は、2割弱の導入に留まるのに対して、大企業は40%近くが導入しています。またリクルーターの活用フェーズですが、中小企業は「選考中のフォロー」、中堅企業は「学内企業セミナー」「インターンシップ」、大企業は「研究室訪問」での割合が高く、採用活動のさまざまな局面でリクルーターが重要な役割を果たしていることがうかがえます。

 

図2 企業規模別のリクルーター制導入状況

学生調査では、志望度が高まったエピソードとして、「リクルーター面談で、業界トップを目指すなかで自分にできることを考え抜いて行動したエピソードを話してくれた(早慶大クラス・文系)」「リクルーターが真剣にキャリアについて相談に乗ってくれた(早慶大クラス・文系)」など、リクルーターに関するコメントも多くみられました。リクルーターの活用も、学生との信頼関係を築くにあたり、有効な方法といえそうです。

まとめ

学生に対して最も影響力のある要素は、昔も今も変わらず「人」(社員)です。採用のオンライン化が進み、リアルな接点が減っているからこそ、「人」を介した一つ一つの接点が最終的な意思決定に大きく影響すると考えられます。リアルな接点を大切にすることはもちろんですが、「オンラインでのフォローは、オフラインよりも頻度を増やす」「より社員の人柄が伝わるような工夫をする(話の内容、複数社員が出てやり取りのなかで人間関係が見えるようにする等)」など、きめ細かい取り組みが必要になりそうです。

参考

(図1)内々定者アンケート調査概要
対象:i-webご利用企業様の2020年内定者
方法:i-webを利用したWebアンケート
期間:2019年6月上旬~9月中旬
有効回答数:全体2,964名、文系1,443名、理系1,521名

 

(図2)HR総研が「楽天みん就」の会員を対象に実施した「2020年卒学生 就職活動動向調査」
調査対象:2020年卒の大学生・大学院生
調査方法:webアンケート
調査期間:2019年6月12日~6月25日
有効回答:1,750名(文系:1,098名,理系:652名)


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