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TOP  >  記事一覧  >  採用CXを重視したインターンシップの組み立て方

HR INFORMATION


業界や仕事理解の場であるインターンシップは採用活動の早期化・長期化が進む中、ここ数年でさらに大きな存在感を示すようになっています。採用活動のスタート地点という認識が強くなったからこそ、点で捉えるのではなく、そこを起点としたシーズン全体の戦略的な設計が重要と言えます。今回は、応募者の「体験価値」を高めていく仕組みを取り入れている企業の事例とともに、インターンシップの組み立て方について紹介していきます。

企業理解のきっかけとなる体験価値を提供する

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企業の採用活動における体験価値は、近年「候補者が企業を認知してから入社に至るまでの一連の体験」を意味する〝採用CX〟(Candidate Experience)という言葉を用いて言及されています。マーケティング用語である〝CX〟(Customer Experience:顧客体験)は、商品・サービスと接して興味を持った顧客やユーザーが、それを購入して利用し続けるまでの一連の体験を指しますが、この考え方を人材採用に応用したものが“採用CX”です。

 

採用CXは、企業と学生との一つひとつの接点における体験の集合体であり、企業イメージの醸成~志望度向上~入社意思決定を左右します。インターンシップ期において、学生はまず「企業のマイページに登録」=「まだ企業や仕事に対して理解興味が深まっていない段階」にあるので、企業側も学生の状態に合わせたポイントやフレーズを選択していく必要があります。就職活動が本格化する前のまっさらな状態だからこそ、多方向からの伝え方やストーリー性のある共感がより効果を発揮するとも捉えられ、単なる心地良さの演出や迎合ではない、ファンづくりの初期段階における体験価値の提供が今後の関係性のよいスタートになると考えられそうです。

 

インターンシップにおける採用CXを高めるためには、学生が何を知りたいのか、どのようなことに惹かれるのかを意識した「学生目線」の施策が重要と言えます。例えば、学生の志望度やニーズに合わせて、業界理解を深めたい人向けには「業界研究セミナー」、すでに志望業界を絞っている人に対しては必要なスキルや考え方を伝える「職種別セミナー」など複数のテーマのワークショップを用意し、参加した学生の満足度を上げる工夫をするなど、学生の業界・企業理解度に合わせた施策を準備することが重要になります。

学生目線の施策が、採用CXを高める

ここでは3つの企業事例とその効果をご紹介します。

【事例1】 「参加すると何を得られるのか」を明確にしたコース別プログラム

広告代理店のA社では、インターンシップのコースを複数設け、それぞれこのインターンシップで何が得られるのかを明確にすることで、インターンシップの満足度を高めることを試みました。具体的には「広告業界についてわかる」「広告の最新トレンドがわかる」「営業職に求められる考え方を学べる」など、自社の業界や仕事の特徴、仕事の進め方に紐づくテーマをいくつか設定した上で、各コース共通となるプログラムをベースに、強弱のつけ方やコンテンツ配分、ストーリー展開を工夫することでバリエーションを増やし、学生が自ら選択できるようにしたといいます。参加者からは、「これからの就職活動に活かせる内容だった」「別のプログラムにも参加したくなった」といった感想が集まり、自社への信頼度や関係づくりにも役立ったと実感されたとのことでした。

 

【事例2】 「企業」と「自分」の重なりを浮かび上がらせるワークショップ

機械メーカーのB社では、自社の理念にもある「使命」というキーワードを軸に、社会的な視点からみる企業の使命とは何かとそこに応募者自身の想いはどのように重なるのかを実感する、仕事体験ワークショップを行いました。事業紹介はキーワードに沿って説明することで、業界知識がない人に向けても印象に残るように工夫したほか、自社独自の観点をもとにした自己分析につながるワークを用意。最後には、その使命を実際に体感できるケーススタディにグループで取り組む中で、企業の社会的意義に納得し、自分の軸や考え方を新しく発見してもらう、というものでした。オンライン開催のため、90分という短い時間に設定していましたが、「自己分析が深まる内容だった」「自分の働くイメージにつながった」などの感想が寄せられたとのことです。

 

【事例3】 「自分の働くイメージ」をつかむオンライン社員訪問をプラス

機械メーカーのC社では、社員が多数登壇する技術体感インターンシップをオフラインで開催し、現場の魅力を伝えるプログラムを実施した後、インターンシップの続きのストーリーとして、マイページ上でのオンライン社員訪問を案内しました。これは、学生がインターンシップに登壇した社員を出身大学/専攻/年次で検索し、自分の働くイメージに重なる社員を選んでオンライン面談ができるもので、継続した興味の深堀によって自社への惹きつけを目的としています。さらに、社員訪問の中で出た質問は採用管理システム内で集約し、採用ご担当者がQAページにまとめる仕組みもつくったとのこと。インターンシップを起点とした一連の仕組みは、学生の「この会社や仕事のことをもっと知りたい」という気持ちを引き出し、その後の関係構築にも良い影響を与えたといいます。

インターンシップで築く、学生との関係性

各事例の学生の反応からわかるように、インターンシップに参加して何を得ることができるかを具体的に示し、体感できる施策が学生の業界・企業理解を深め、結果的に自分が企業で働くイメージも高まっていると言えます。

 

インターンシップが年々活況を呈し、採用活動の当たり前になったいま、そこにかける各社の工夫が問われる時代となりました。オンラインやハイブリッドな手法の利点を生かすことに加え、応募者に自社を通してどのような体験をしてほしいのか、それに本当に価値を感じてもらえるのか、といった体験価値にフォーカスを当てて接点を設計することで、結果として自社の魅力や風土がスムーズに伝達されるフェアな関係性の構築へと繋がっていきます。

 

今後も採用活動のきっかけとなる「インターンシップ」から、応募者の視点のもとに設計される施策をご検討いただければと思います。


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