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拡がるWeb面接で、応募者の志望度向上を実現するために

シリーズ│面接選考

Published on 2020/07/03

採用選考には、書類選考、適性検査、グループディスカッション、面接などさまざまな方法があります。なかでも面接は新卒採用をおこなう企業のほぼ100%が実施している、不可欠な選考プロセスといえます。最近では、新型コロナウイルス流行の影響でWeb面接に移行する企業も多くあるなか、本シリーズでは、「選考における面接の重要性」「採用成果につながる面接のコツ」「効果的な面接手法」についてお届けします。

面接では、学生も企業を選ぶ

面接では、企業が学生を選ぶだけでなく、学生も企業を選んでいるとよく言われます。HR総研が発表した2019年6月の調査によると、面接官の印象が志望度に「非常に影響した」「影響した」と答えた割合は文系理系ともに高く、特に文系では9割を超える結果となりました。また、「入社を決めた企業は、他社よりも面接時間が長く、自分をじっくりみて評価してくれたと感じた」という声もあり、複数の内定で迷った際、面接官の対応(印象)が入社の最終決断に直結するケースもみられます。

 

面接官の対応が志望度に与える影響

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面接官の対応(印象)に加え、面接の内容も志望度に影響しています。「自分が特にアピールしたいと思っていた研究テーマについて重点的に聞いてくれて、志望度が高くなった」「自分のことを理解した上で評価してくれたと感じ、志望度が上がった」など、面接で自分自身をしっかりと表現でき、公正に評価されたという納得感があると、志望度が向上します。反対に、「言いたいことを遮られた。人を丁寧に選んでいるというよりは、合わない人を効率よく落とすための面接という印象を受けた」など、納得感を得られないと志望度が低下するようです。

 

「いきなり外見を否定された上、選考とは関係のない家族の話を根ほり葉ほりきかれた。ストレス耐性をみるためだといわれたが、ひどい印象だった」というコメントからわかる通り、いわゆる圧迫面接は、どのような意図があるにせよ、応募者の志望度を大きく下げ、選考辞退を招きます。学生が圧迫面接の体験(圧迫面接をされたと“感じた”体験を含む)をSNSに投稿して企業に批判が殺到する恐れもあり、レピュテーションリスク回避の視点も必要です。

面接官教育の重要性

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このように、面接は応募者の志望度に大きく影響し、最終的な採用成果を左右する重要な接点といえます。そして、効果的な面接がおこなわれるかどうか、そのカギは「面接官」が握っており、面接官を務める社員の方々へのインプット(教育)が非常に大切です。

 

主なポイントとして、以下が挙げられます。

 

  • 面接=企業が一方的に応募者を選ぶのではなく、相互理解の場であることを伝える
    採用ご担当者にとっては当たり前でも、面接官の方にとっては”初めて知る“”認識が変わる”ことである場合もあります。昨今の就職環境、前述のデータ(面接が応募者の志望度に与える影響)、SNSの発達によるレピュテーションリスクなどを伝え、面接官としての姿勢について、意識を合わせる必要があります。
  • それぞれの面接で見るべきポイント、評価基準を共有する
    複数回の面接を実施する場合、「一次面接」と「二次面接」で見るポイントは同じなのか/違うのか、また「一次面接」に求めることと「二次面接」に求めることは何か(例:一次面接では情報提供を通じたリテンションを重視し、二次面接では見極めを重視するなど)、整理して伝える必要があります。そして、面接官による評価のばらつきを避けるために、自社の採用基準にもとづき、どのような質問をして、何を基準に評価すべきかを共有します。言葉で説明するだけでなく、実際に面接の例(ロールプレイング)を挙げて評価基準を解説すると、面接官の方の目線合わせに効果があります。
  • よくある質問と回答例を共有する
    若手社員の方で初めて面接官を務める場合など、応募者からの質問に対して、うまく回答できないことがあります。よくある質問についてはリスト化し、基本的な回答方針(質問により「ありのままお答えください」という方針でも可)をまとめて共有しておくと、事前準備に役立ちます。最終的な採用成果につながる情報提供は、RJP(リアリスティック・ジョブ・プレビュー)のスタンスが基本となりますが、ネガティブな情報を伝える場合も「ネガティブな事柄→ポジティブな事柄の順に伝える」などのちょっとしたコツを合わせて伝えておくことも効果的です。
  • 面接で訊いてはいけないことを共有する
    性別を限定した発言、家族に関する質問、プライバシーに踏み込んだ質問など、面接官にとっては何気ない一言でも、その後のトラブルにつながる恐れがあります。こちらも、採用ご担当者にとっては当たり前のことですが、現場の社員の方には必ずレクチャーが必要です。

志望度向上につながるWeb面接のポイント

ここまでは、対面面接/Web面接に共通するポイントをお伝えしてきましたが、Web面接ならではのポイントには何があるでしょうか。Web面接が急激に広がるなか、ノウハウがたまりつつある最中といえますが、基本的なポイントとして次のようなものがあります。

前提として、通信環境や背景を含めた相手からの見え方、ツールの使い方(事前にインストールやアカウント登録の必要がないか、等)を確認するのは必須です。

また、Web面接ではディスプレイからの情報のみに限られるため、入室時の態度や話すときの姿勢など、従来の対面式であれば自然と感じられる雰囲気の細かなニュアンスを汲み取ることが難しいともいえます。応募者の発言を理解するように努めるのはもちろん、面接官は伝わりやすい話し方をこころがけることが必要です。序盤のアイスブレイクを大切にし、応募者の人となりを引き出せるような面接の場づくりを意識するのも大切なポイントといえそうです。

同時に、Web面接にあわせた応募者管理の環境を整備することも必要です。たとえば、応募者のインターンシップ参加時の情報や適性検査の結果、それまでの面接の評価内容や面接官からのコメントなど、応募者にまつわる情報をいつでも引き出せ、確認できる環境やツールの導入が重要視されていくと予測されます。加えて、その面接官自身が次の面接評価者へのコメントや申し送り事項をその場で入力できるなど、情報のスムーズな一元化に向けて、採用管理システム等のツールを見直す機会にもつながっていくでしょう。

まとめ

面接は企業と学生が対話をしてお互いを理解し合う場であり、面接官は、学生の個性や本来の力を引き出すように対応することが重要です。最近ではWeb面接を主流とする企業も増加していますが、面接の目的と本質に変わりはありません。Web面接という選択肢が増えたからこそ、いま一度自社における面接の位置づけ、選考基準などを見直し、全体として面接選考の質の向上につなげることができれば、採用成果にプラスの効果を生みだすことができます。

 

次回は、リテンション施策として有効な「コンピテンシー面接」についてお伝えします。

参考

HR総研「2019年卒学生 就職活動動向調査」
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査協力:「楽天みん就」
調査対象:2020年卒の大学生・大学院生
調査方法:webアンケート
調査期間:2019年6月12日~6月25日
有効回答:1,750名(文系:1,098名,理系:652名)


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