HR INFORMATION
入社後のミスマッチを防ぎ、できるだけ長く活躍してほしいというのが、採用ご担当者の思いです。このシリーズでは、企業と学生の双方にとってより良い採用-就職を実現するために、アンケート結果などで得られる学生の期待や不安などの声に耳を傾けていきます。そして、企業が学生に対してどのようなアプローチができるのか、採用活動を通じて何を伝えるべきかを検討するための、学生の最新動向を紹介します。今回は、HR総研が「楽天みん就」の会員を対象に実施した「2020年卒学生 就職活動動向調査」Webアンケートの結果から、学生が会社選びにおいて重視するポイントについてお届けします。
入社先企業を決めるまで、学生が各フェーズで重要視するポイント
まずは、学生が応募する企業を決めるとき、そして入社する企業を決めるとき、それぞれの段階で重視する項目をみていきます。
応募先企業を決める際に重視する項目
文系 | 理系 | |
1位 | 仕事内容(59%) | 仕事内容(56%) |
2位 | 給与・待遇(52%) | 給与・待遇(56%) |
3位 | 福利厚生(50%) | 福利厚生(50%) |
4位 | 休日・休暇・残業(46%) | 安定性(42%) |
5位 | 社員の人柄・対応(45%) | 休日・休暇・残業(40%) |
「応募先企業を決める際に重視する項目」では、文系・理系ともに「仕事内容」がトップとなっており、やはり就職活動の初期段階では業界や仕事内容を入口に、企業への興味が喚起されていることがわかります。一方で、2位以下には「給与・待遇」「福利厚生」「休日・休暇・残業」「安定性」といった、待遇や環境に関する項目が続いています。社会保険や住宅補助といった一般的な内容にとどまらず、ライフイベントがあっても長く働きたいという意向の高まりを背景に、育児支援なども考慮した柔軟な勤務環境に注目が集まっているとも考えられます。また、ワークライフバランスについても、人により重視度合いは異なるものの、入社前に必ず確認される事項といえます。あらゆる応募者とのミスマッチを防ぐためにも、実際にどのような環境で働くことができるのか、さまざまな接点のなかで丁寧に発信していくことが重要でしょう。
内定先企業のなかから入社先企業の選社理由
文系 | 理系 | |
1位 | 仕事内容(65%) | 仕事内容(67%) |
2位 | 事業内容(58%) | 事業内容(58%) |
3位 | 会社の雰囲気(58%) | 給与(51%) |
4位 | 福利厚生(53%) | 福利厚生(50%) |
5位 | 勤務地(48%) | 勤務地(50%) |
続いて、「入社先企業の選定理由」では、文系・理系ともにトップは「仕事内容」、「事業内容」が上位に並んでいます。3位以降は文系と理系で少し違いはありますが、「会社の雰囲気」「福利厚生」「勤務地」「給与」といった項目が続いています。一方で、「応募先を決める際に重視する項目」で上位だった「休日・休暇・残業」や「安定性」は、少し順位が下がっていることがわかります。ヒューマネージでも、20シーズン内々定者に対してアンケートを実施しました。その結果では、入社予定先企業のプレエントリー時の魅力は、1位「事業内容」、2位「社風」、3位「仕事内容」となり、内々定承諾の決め手は、1位「社員の魅力」、2位「社風」、3位「事業内容」となっていました(→関連記事)。アンケートの対象者の違いなどから、単純に比較することはできませんが、本アンケートにおいて、「福利厚生」で想起する範囲が人によって異なることが考えられます。いずれにしても、学生は企業の事業内容や仕事内容といったひとつの面だけではなく、福利厚生や給与といった環境面もあわせて、応募や入社の決め手としています。企業は、発信する内容を業務に関する情報に終始するのではなく、その学生の理解度合い、重視度合いに応じて、働く環境についても自社らしさをしっかりと学生に伝えていくことが大切だといえるでしょう。
「社風・居心地の良さ」を、特に重視する学生が増加
学生が入社にあたり最も重視する会社の魅力について、「教育研修に熱心」「雇用を守る」「福利厚生がしっかりしている」「年収が⾼い」「社風・居心地が良い」の五者択一でたずねたところ、文系学生では「社風・居心地が良い」がトップとなり、前年にトップだった「福利厚生がしっかりしている」が続きました。リーマンショック直後から継続して収集しているアンケート内容のため「雇用を守る」という選択肢についてはさておき、「年収が高い」は前年よりポイントを伸ばし、「教育研修に熱心」はポイントを落としました。一方で理系学生での1位は前年と同じく「福利厚生がしっかりしている」でしたが、2位の「社風・居心地の良さ」もポイントを伸ばし、トップに近づいています。また、理系でも「年収が高い」は前年よりも上昇、「教育研修に熱心」は下降し、文系と同じ傾向がみられました。
前年まで、学生は福利厚生を重視する風潮がありましたが、今年は社風や居心地の良さが、文系・理系ともにポイントを伸ばす結果になりました。学生が働き方改革に関する情報を目にする機会が増えており、関心を寄せていることは確かでしょう。ただ、まだ働くことに対する実感がないなかで、「働きやすさ=社風・居心地の良さ」だと捉えている可能性があります。人事や社員とのリアルなコミュニケーションの機会を設け、学生に対して自社の風土を感じてもらえるような働きかけが必要になるでしょう。
まとめ
「応募するとき」と「内定後入社を決めるとき」において、学生が重視するポイントはまったく同じではありません。そのため選考中から一貫して、そして学生一人一人の重視する項目を把握したうえで、効果的なアプローチをすることが重要でしょう。いずれにしても、学生に対して自社の特徴をもれなく伝えていくことが大切です。次回は、学生が選考を受けるなかで、その企業に対する志望度が向上したエピソードなどをご紹介します。
参考
HR総研が「楽天みん就」の会員を対象に実施した「2020年卒学生 就職活動動向調査」(6月12日~25日)
調査対象:2020年卒の大学生・大学院生
調査方法:webアンケート
調査期間:2019年6月12日~6月25日
有効回答:1,750名(文系:1,098名,理系:652名)
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