HR INFORMATION
採用の難度がますます上がっているいま、求める人材を確実に獲得していくには、自社の事業や採用マーケットの状況に即した戦略立案・実行が必要です。しかしながら、採用ご担当者は限られたリソースで多様な業務をおこなっています。そこで、成果を高めるツールとして注目されているのが、採用管理システムです。本記事では、採用管理システムの役割や進化について解説します。
採用活動はルーティン業務から、プロジェクト型業務へ
日本経済が右肩上がりに成長していた時代、採用活動はいわば人事部のルーティン業務でした。しかし、経営環境の変化が速く不確実なものとなるにつれ、ビジネス環境が大きく変化し、経営資源における人のウェイトが増してくると、採用活動も例年通りというわけにはいかなくなりました。加えて、働く人の価値観の多様化や、採用スケジュールの変化など、採用マーケットは目まぐるしく変わり続けています。こうしたなかで採用担当者はマーケットの状況に鋭くアンテナを立て、成果を最大化する必要があります。採用活動はルーティン業務から、プロジェクト型業務へと変化しているといえるでしょう。
採用業務の転換期において注目されているのが、採用管理システム(Applicant Tracking system:ATS)です。採用管理システムを導入することによって、業務効率化はもちろん、人材戦略立案や採用マーケティングに必要な客観的データの一元管理が可能となります。採用計画やコンテンツの企画、応募者とのコミュニケーションなどに大きなリソースを投じることが可能になりながら、採用の成果に重要なコア業務にも活用することができるツールです。
採用管理システムの変遷と、現在の機能
採用管理システムは、インターネットの黎明期に誕生し、時代とともに進化を続けてきました。1990年代後半から2000年代にかけて、インターネットの普及により人や企業の動きは大きく変わりました。採用業務も例外ではなく、それまでは紙や電話でおこなわれていた応募者とのやり取りを、Web上でおこなうニーズが生まれました。そこで誕生したのが、採用管理システムです。インターネットを利用した就職活動・採用活動が一般的になるなかで、採用管理システムは広く普及し、その機能と役割は徐々に拡大していきました。当初は、主に企業と応募者との連絡などの事務的な手続きのための機能が中心でしたが、やがて社員や人事の顔がみえるブログやFAQなど、より応募者の目線に合わせた、インタラクティブなコンテンツ発信の仕組みを備えるようになりました。さらに現在は、応募者一人ひとりのニーズや志向性に合わせた情報発信など、応募者と企業を精度高く繋げるプラットフォームへと変化していきました。
現在の採用管理システムは、主に以下のような機能を備えています。
・応募者データの管理
・イベント(説明会、面接等)予約・受付
・選考状況進捗管理
・内定者管理
・適性検査との連動
・コンテンツ(マイページコンテンツ、応募者向けメッセージ等)管理、発信
・施策の効果測定 など
こうした機能の活用により、応募者一人ひとりの志向性に合わせたコミュニケーションなど、きめ細かい対応が可能になることで、応募者を採用に結び付ける仕組みが実現できます。また、応募者の属性や、選考段階別のコンテンツに対する反応などのデータを分析・検証し、次年度の施策に繋げている企業もあります。採用管理システムは単なる業務効率化ツールではなく、自社の採用ビジョンを実現するためのプラットフォームといえます。
採用戦略の実現のために不可欠な存在へ
いま、スマートフォンやSNSが就職活動に不可欠なツールとして定着し、学生の行動も10年前と比較してさらに多様化・複雑化しています。企業と学生との接点も、以前より多彩なものとなりました。当然ながら企業はその時代の変化に迅速に対応しながら、求める人材を確実に採用していくことが必要です。採用活動にAIやビッグデータといったテクノロジーを活用する動きが活発になるなかで、今後ますますできることが増えていくでしょう。
採用管理システムには、さまざまなデータが蓄積されています。自社の採用活動の状況や、マーケット全体での自社のポジションを、統計機能を活用して把握することで、採用戦略をスピーディーにブラッシュアップしていくことができます。また、ビッグデータを活用した効果検証や、AIによるマッチング度の予測といった先進的な機能も生まれています。採用業務がプロジェクト化する時代において、成果を最大化していくためには、採用ビジョンと戦略にマッチした採用管理システムの選択が重要だといえるでしょう。
まとめ
採用管理システムは、単に業務を効率化するだけではなく、応募者に合わせた情報発信や効果測定など、多角的に採用の成功を支援する役割を果たします。自社が求める人材を採用する仕組みをつくるには、採用管理システムというツールを最大限活用しながら、自社に合った採用戦略を確立していくことが必要でしょう。採用管理システムによって、可能になること、わかるようになったことを自社の採用に再び落とし込み、効果的な採用PDCAを回していくサイクルをつくることが重要といえます。
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