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内定期間のリテンション施策で、「納得感」を醸成する
シリーズ|内定者コミュニケーション
売り手市場が続くいま、「内定辞退」は採用ご担当者にとって頭の痛い問題です。「いかに内定辞退を防ぎ、確実に入社につなげるか?」は、最終的な採用成果実現のカギを握っているといえます。このシリーズでは、昨今の内定辞退の動向や効果的な内定者フォローについてご紹介します。
<このシリーズの記事を読む>
・売り手市場における内定辞退の動向
・重視する要素に応じた、継続的な働きかけを。効果的な内定者フォローを考える
内定期間におけるリテンション施策とは
求める人材をいかに惹きつけ、引き留め、入社につなげていくか?を握る鍵となるのが、A&R(アトラクション&リテンション)という考え方です。本来A&Rとは、アトラクション(Attraction)とリテンション(Retention)を意味し、「いかにして優秀な人材を採用(Attraction:引きつけ)し、定着させる(Retention:引き留め)か」という人材マネジメントの基本戦略を意味します。この考え方を採用活動に応用すると、学生の注目を集め、プレエントリーしてもらうためのアトラクション施策と、入社意欲を高め、最終的に入社を決意、入社式まで継続していく(そして、その後定着する)ためのリテンション施策が、採用におけるA&Rといえます。アトラクション施策は母集団形成を目的としているためある程度マスに向けた施策になるのに対し、リテンション施策はOne to Oneの働きかけが重要となります。とりわけ内定期間においては、それぞれの属性や考え方、企業や仕事への理解度に着目し、個人を把握したうえでのフォローが必要です。内定者フォローを継続することで、入社後の職場への導入をスムーズにする効果も期待できます。
またヒューマネージが実施した内々定者アンケート結果より2020年卒学生の状況をみると、選考中に(1社のみの)第一志望になる学生が最も多いことがわかります(図)。また、およそ約7割の学生が企業の内定通知から3日以内に内定先に意思決定しているというデータもあり、内定辞退をめぐる最終的な採用成否は、内定後のコミュニケーションだけではなく、内定受諾~入社にいたるまで一連のフォローを継続していく必要があるといえます。選考過程・内定期間にかかわらず、求める人材に選考辞退・内定辞退されることなく相互理解を深められるよう、施策を講じていくことが重要です。
≪対象≫
採用管理システムi-webご利用企業の2020年卒予定の内々定者の皆さま(2019年9月20日時点データ)
≪方法≫
Webアンケート
内定者フォローの働きかけの主な手段
採用活動の後期リテンション施策として最も重要といえるのが、企業とのリアルなコミュニケーションです。20シーズン内々定者アンケートの結果においても、内々定承諾の決め手の一位は「社員の魅力」となっており(→関連記事)、学生は“人”を重要視していることがわかります。しかしながら採用業務が多岐にわたるなか、採用担当者が学生一人ひとりと充分にリアルなコミュニケーションを図ることが難しいのも現状です。また採用活動のオンライン化が進み、オンライン完結の採用フローを設ける企業も増えているなか、内定者が納得して決断できる「決め手」が重要になっています。そのため、それを補う手段として、マイページを通じた内定者限定コンテンツの公開や、内定者同士がオンライン上で交流できる仕組みなど、入社までの不安を払拭できるよう定期的な接触を積み上げることが効果的といえます。各種事務手続きにとどまらず、内定者と企業のつながり、そして内定者間のつながりを強化していくことをこころがけましょう。また採用管理システムによる業務効率化やRPO(採用プロセスアウトソーシング)などを有効に活用し、学生とのコミュニケーションにリソースを割くことができるよう、自社の採用資源を最適配分していくことも、効果的な内定者フォローの実践するための重要なポイントとなります。
はたらくリアルを伝える「RJP」と想いや誠実さを伝えるフィードバック
リアルなコミュニケーションをとる際に重要なポイントは、内定者が「自分でこの企業を選んだ」という納得感を醸成する点にあります。たとえば、仕事や組織の実態について良い面だけではなく悪い面も含めた、ありのままの情報を提供するRJP(リアリスティック・ジョブ・プレビュー)をおこなうことは、入社後のミスマッチを防ぎ、入社後の定着率を高める効果が期待できます。入社意欲がある程度形成された状態でおこなうことで、極端な印象を与えたり、誤った情報として伝わってしまったりすることを避けるという意味でも、選考後期~内定期間にかけてのRJPは有効と考えられます。採用担当も同席した現有社員とのランチ会を設けるなど、就職活動後期~内定期間だからこそ理解してほしいリアルなはたらき方を伝えていくことが重要です。
また、「ぜひあなたに入社してほしい」という企業の想いを、客観的なデータや結果を用いたフィードバックを通して伝えることも効果的です。選考中の面接やイベント結果、適性検査を一緒に顧みることで、相互理解を深めることができます。具体的には、本人の強みやそれを活かせる自社の業務内容や社風を伝え、一方で弱みや改善点もあわせて伝えることで、ともに成長していこう、という信頼関係の構築にもつながります。このように、内定者が入社までの期間、自分の入社後のイメージに期待を持つことができる働きかけをおこなっていきましょう。
まとめ
内定者のリテンションは、採用選考期間を通じた一連の取り組みが重要です。内定期間は会社への信頼度や仕事のモチベーションを高めていくことができる貴重な期間です。内定者一人ひとりとオンライン・オフラインで可能な限りきめ細やかなコミュニケーションを重ね、企業と内定者の相互理解を深めていくことが、最終的な採用成果を大きく左右するといえるでしょう。
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