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HR INFORMATION


昨今、求める人材に自社の魅力や強みを訴求するために、「採用広報」に力を入れる企業が増えています。背景として、人材採用の難易度があがり、採用広報もその役割を変え、重要度を増していることが挙げられます。今回は、なぜいま、採用広報の重要性が高まっているのか、また、採用広報を考える際のポイントをお届けします。

“母集団形成”から、“理解促進”へ

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採用広報の重要性が高まっている一つ目の理由は、人材採用が難しくなっていることです。多少の翳りはみられるとはいえ、新卒/中途を問わず、売り手市場が続いています。そのようななか、新卒採用では、学生の就職活動量は年々減少、さらに志望業界・企業を早々に絞り込む傾向が見られます。

 

ヒューマネージが毎年実施している内々定者アンケート調査では、2020年卒予定の就活生のプレエントリー社数(平均)は、25.1社。4年前(2016年卒)の同様の調査では、プレエントリー社数(平均)は42.0社だったので、大幅に減っています。また、志望業界・企業の絞込みに関して、志望業界については約8割、志望企業については約半数の学生が、いわゆる採用広報開始前である2月までに絞り込み始めたと回答しています。つまり、採用側の企業としては、「2月までの間に」「25社という少ないプレエントリー社数」に入らなければならず、応募者を集める(母集団形成)のために、自社の認知をあげる=採用広報が重要になっているのです。また、最近では通年採用に関する議論や就活ルールの廃止が話題になったこともあり、就職活動のさらなる早期化・長期化が見込まれています。応募者や潜在層との関係づくりも長期間に及ぶなか、採用広報の重要性もより高まっているといえます。

 

二つ目の理由は、採用広報に期待される効果が、従来の“認知向上”だけでなく“理解促進”へと拡がったことです。必要な人材を過不足なく採用して終わりではなく、その後の定着・活躍があってこそ、真の採用成果であるという考え方がひろがり、採用広報にも、従来の“認知向上”だけでなく、ミスマッチの防止、さらには入社後活躍のための“理解促進”の役割が求められるようになりました。そのため、これまで通りの情報をこれまで通りに届けるのではなく、さまざまな先駆的な取り組みが始まっています。

 

従来の手段 就職情報サイト、採用ホームページ、合同説明会、学内セミナー、DM(紙/Web)……
最近の手段 上記に加え、オウンドメディア、Web広告、SNS……

「伝わる」採用広報のポイント

採用広報の重要性が高まり、新しい手段、先駆的な事例がさまざま出てきていますが、基本となるのは、「求める人材に“伝わる”手段で、自社の“らしさ”を届ける」というシンプルなものです。

 

1)  RJPを基本に、受け手の理解度にあわせて届けること

採用広報の基本は、RJP(リアリスティック・ジョブ・プレビュー)のスタンスです。RJPとは、採用活動において、求職者に仕事や組織の実態について、ありのままの情報を開示することを指します。応募者にとって魅力に感じるであろう部分だけではなく、好ましくない面も含めたリアルな情報を伝えることで、応募者は企業とのマッチング度を判断したり、過剰な期待からくる入社後のミスマッチを防いだりすることにつながります。したがって、真の採用成果=入社後の定着・活躍とするならば、RJPの考え方は必須と考えられます。
とはいえ、RJPは、リアルな情報をただ出せばいい、というものではありません。たとえば、応募者の業界理解がまだ不足しているときに、詳細な仕事内容についてネガティブな面も含めてただ伝えてしまうと、「何だかよくわからないけれど大変そう……」と応募者が離れてしまう恐れがあります。仕事内容のRJPをおこなう場合は、応募者が仕事内容について一定の理解がある段階で、ネガティブな面も含めてきちんと伝えなければ、RJPの本来の効果は得られないといえます。

2) 求める人材に“伝わる”手段で届けること

採用広報にあたり、どのツールを使って届けるか?という点もポイントです。2010年、あるWebコンサルティング企業様が、当時、まだ普及していなかったTwitterを活用した新卒採用をおこないました。非常に新しい印象で業界の注目を集めましたが、同社にとって感度の高い人材を確保することは非常に重要なミッションであり、その手段として選ばれたのがTwitterでした。ただ「珍しいことをする」というのではなく、自社の“らしさ”と求める人材に“伝わる”手段を考え抜いた施策といえます。HRテクノロジーの潮流もあいまって、施策や手法の選択肢が増え続けるなか、自社の採用成果につながる施策をしっかりと選び取っていくことが重要です。

無視できない効果、インナーブランディング

もうひとつ、採用広報には、社内向け(インナーブランディング)にも大きく作用します。「採用広報」である限り、それはもちろん求職者向けの情報配信ではあるものの、既に働いている社員へのメッセージとしても意識することが大切です。企業の存在意義やストーリー、RJPに基づいた自社のリアルをコンテンツとして発信することで、ビジョンや価値観が共通言語として浸透していくことも期待できます。このように、採用広報をおこなうことで現有社員との関係構築にもつながっていくと考えられます。
嘘をつかない、等身大の情報であることと、彼・彼女たちが自社の魅力を改めて感じ、腹落ちし、自身の言葉で説明できるようなものに引き上げること。これからの採用広報には、社内外両方の視点が必要といえます。

まとめ

人材採用の難易度があがるに伴い、採用広報にもより戦略性が求められています。入社後の定着・活躍のためにはRJPのスタンスが欠かせません。HRテクノロジーの拡がりによってさまざまなツールや手法が出てきていますが、その本質は、「求める人材に“伝わる”手段で、自社の“らしさ”を届ける」というシンプルなものであり、その視点でコンテンツの内容・手段を検討する必要があります。最新の動向やトレンドにアンテナを張りながらも、自社にとって必要な要素は何か、という視点に常に立ち返り、効果的なPDCAを回していくことが大切です。


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