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TOP  >  記事一覧  >  企業の事例を紐解く|「未来視点」の内定者フォロー

HR INFORMATION


2023シーズンの採用活動も概ね収束し、2024シーズン向けインターンシップもスタートする中、並行して重要なのが、2023シーズン内定者に向けたフォロー施策です。今回は企業の内定者フォロー施策の事例を取り上げ、この「未来視点」の在り方について紐解いていきます。

内定者の「未来に寄り添う」接点設計とは

採用の早期化にともない、内定者フォロー期間が長期化する昨今。企業はさまざまな工夫を凝らした内定者フォローを行っており、コロナ禍の状況に合わせて、オンラインと対面での実施を組み合わせたアプローチ手法が定着しています(対面でのイベントを開催しながら、内定者マイページを通じて情報を配信すること、内定者交流会を兼ねた会社訪問とオンラインでの人事面談を組み合わせる など)。そのような中、手法を問わず共通して重要視されているのが、「内定者がこの会社で働くイメージを想像できているか?」そして同時に、「企業側も入社後を見据えたコミュニケーションができているか?」という視点です。

 

例えば、A社では、「グループに分かれて会社の新製品を考えてみよう」というテーマでのグループワークを通じて、一連の内定者フォロー施策を実施しています。

 

(1)初回のオリエンテーションは対面で実施

 

A社では、選考フローの大半をオンラインで実施していることもあり、学生とのリアルの接点が少ないという課題がありました。そこで、内定者同士が初めて顔を合わせる初回のオリエンテーションは対面で実施することに。実際に会社に訪問してもらうことで、これから働く場所と社員の温度感を感じてもらうことをねらいとしています。

 

また一人の学生が複数の社員と接点を持てるよう、社内探索や質問会などシーンに応じてグループ分けや対応する社員を変更。企業の“らしさ”を多面的に感じ取ってもらうと同時に、選考時には見せていなかった内定者の素の一面を引き出しやすくします。

 

(2)新製品を考えるにあたり、人気商品が生まれた経緯や背景、ストーリーを内定者に共有

 

新製品を考える前に、まずは既存の製品の歴史やストーリーをプレゼンテーションや実際のプロジェクトメンバーを招いた座談会形式で説明。企業のこれまでが、これから自分が取り組む仕事と地続きであることを認識してもらうことで、グループワーク、そして入社後の仕事を「自分ゴト」として理解してもらうことにつながっていると言います。

 

(3)先輩社員や採用担当を含めたチャットグループを活用し、それぞれグループワークを進行

 

いよいよ新製品を考えるグループワークへ。チャットグループを活用して、内定者が自由に、かつ企業側が把握している範囲内で取り組んでもらえる仕組みをつくっています。社員が時折ヒントを与えながら進めることで、内定者に社員とのつながりを実感してもらい、一緒に働くイメージや期待感の醸成につなげていると言います。

 

ここでA社が注意しているのが、グループ分けのやり方。内定者間で企業理解に極端に差が出ないメンバーを組み合わせる、出身大学や専攻など、グループ内で温度差が出ない社員をアサインするなど、細かい工夫や配慮が、内定者のモチベーション低下を防ぎます。

 

(4)その他、オンラインによる研修も定期的に実施

 

グループワークと並行して、オンラインによる座学の研修も用意。「会社の歴史から目指す事業の未来」「10年後の皆さんに期待すること」など、入社後の自分はもちろん、キャリアや会社のこれからへのワクワク感を共有します。研修の担当者についても、目的やテーマに合わせて登壇する社員を変更しており、「内定者に1年後の姿をイメージできるように、新卒1年目の社員に登壇してもらう」、「経営側の考え方を体感してもらうために、管理職レベルの社員をアサインする」など、その年ごとにさまざまなケースを試していると言います。

 

(5)最終プレゼンは対面で。その様子を後日レポートにして内定者マイページにアップ

 

社内の関係社員が同席し、グループワークの成果を発表。実際の社員にフィードバックをもらうことで、内定者それぞれに腹落ち感を持ってもらうことを目指します。実施後は、内定者マイページにコンテンツとして展開することで、マイページへのログインを促し、振り返りの効果も期待できます。このコンテンツは次シーズンの応募者に対するコンテンツとしても活用することができ、並行するシーズンをまたいで、双方に効果がある施策を模索し続けているとのことでした。

 

この事例からは、「内定者同士の横のつながりを深める」「会社の“らしさ”をより知ってもらう」から一歩進んだ、「内定者と企業が、ともにワクワクする未来を想像できる」内定者フォローの重要性が窺えます。選考時よりも関係性が構築されてきた内定者期間だからこそ、自社製品や会社についてさらなる理解や価値観の共有を行うことが、未来視点の内定者フォローのひとつの起点になると言えます。この事例は製品を軸に自社の歴史や社風を理解してもらったケースですが、目的やニーズ、内定者の傾向にあわせて、さまざまなやり方が考えられそうです。

まとめ

内定者は “半分学生”、“半分社員”という、採用活動の中でもとりわけ特別な位置づけにあり、だからこそ「未来視点」を取り入れたフォロー施策が重要と言えます。入社前の準備期間として、企業と内定者の双方にとって、より良い未来につながるフォロー施策をご検討ください。


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