2017年、新卒入社。富士急静岡バスや相模湖リゾートなど、富士急グループ各社の現場業務を経験した後、富士急ビジネスサポートに本配属。2019年10月、人事部に異動し、人事アシスタント業務、採用業務に従事。現在は人材育成を主に担当している。
RECRUITMENT
Published on 2025/10/31
 
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						小林 葵Aoi Kobayashi
								富士急行株式会社
人事部 係長							
2017年、新卒入社。富士急静岡バスや相模湖リゾートなど、富士急グループ各社の現場業務を経験した後、富士急ビジネスサポートに本配属。2019年10月、人事部に異動し、人事アシスタント業務、採用業務に従事。現在は人材育成を主に担当している。
富士山麓を拠点に、運輸・観光・流通サービス・不動産など幅広い事業を展開する富士急行株式会社は、2026年に創業100周年を迎えます。総合職入社の社員を「将来の幹部候補」と位置づけ、数年ごとに様々な業務を経験する「ジョブローテーション」をはじめ、独自のキャリア施策や人材育成に取り組んできました。特に近年はキャリア形成研修プログラム「フジQアカデミー」を開講するなど、新たな施策を積極的に展開しています。今回は人事部の小林様に、「社員の強みを最大限に伸ばし、キャリア形成を支援する人材育成術」について伺いました。
 
										
									
まずは貴社の事業内容や強みについてお聞かせいただけますか。
当社は、運輸・観光・流通サービス・不動産を展開しております。1926年、「富士山の素晴らしさを多くの人にひろめたい」という思いのもと、鉄道を開業いたしました。以来、富士山麓の自然と調和した「Only1(差別化)戦略」による開発を推進し、現在に至ります。幅広い事業を展開している点に強みがあり、唯一無二の観光資源である「富士山」と当社の事業コンテンツを組み合わせることで、訪れるすべてのお客様に「喜び・感動」を提供しています。
100年近くにわたって最高の感動体験を提供し続けてこられたのですね。
近年は、2026年の創業100周年を控え、様々な取り組みを進めています。新たな100年へ向けて鮮やかなスタートを切るため、グループロゴを刷新し、新タグライン「わくわくの最高峰へ」を定めました。「わくわく」は経営理念に掲げる「喜び・感動」を、「最高峰」は「最上の喜びや感動」を届けようとする姿勢、そして創業以来大切にしてきた開拓者精神、チャレンジスピリットを表現しています。
幅広い事業を展開している貴社では、人材育成に力を入れていらっしゃると伺っています。人材育成に対するお考えについてお聞かせいただけますか。
経営陣の方針により、当社は職員の能力高度化に注力してきました。総合職として入社した社員は、将来の経営幹部候補であり、多様なスキルが求められます。そのため、体系的に様々なスキルを習得できる制度を整備するとともに、知的好奇心を刺激する教育・研修を用意し、社員の自己啓発を後押ししています。
新タグラインに込めた想いの通り、社員が「わくわく」しながら自分の可能性を広げ、能力を高められるよう、学ぶ意欲を支援する環境づくりを最も重視しています。
 
										
									
体系的にスキルを習得できる制度の整備を進めているとのことですが、どのような研修を実施されているのでしょうか。
当社に総合職入社した社員は、ジョブローテーションにより富士急行本社及び富士急グループ各社の業務を経験した後、本配属となります。その後も数年ごとに配置換えがあります。この独自のキャリアパスには「幅広い業務を経験しながら、富士急グループの各事業の理解を深める」という利点がある一方、未経験分野の業務に従事するケースも多いため、事前に学びの機会を設ける必要がありました。
また、所属部署や役職、年齢に加え、各社を横断した研修や継続的な社員研修の仕組みがなかったことも課題でした。そこで、経営幹部候補に求められるスキルを、体系的かつ継続的に学べるキャリア形成プログラム「フジQアカデミー」を立ち上げました。
「フジQアカデミー」の学びの内容について詳しく教えていただけますか。
フジQアカデミーは、入社1年目の社員から部長さらにはグループ会社の社長などの全社員を対象としています。「人事・労務」「総務・法務・監査」「経理・財務・管理会計」「営業・マーケティング」「企画・技術」グローバル・異文化理解」(2025年より追加)の6領域を重要スキルと位置づけています。第1期を2023年冬に開講し、それぞれ3講義ずつ計15講義を実施。基礎知識の習得を目的に、座学だけでなくワークショップやケーススタディも取り入れ、参加者が主体的に学べるよう工夫しました。
今年度はフジQアカデミー第2期を開講されたそうですね。
第2期では、第1期で扱った基礎編に加え、実践編を3回ずつ実施しました。(「グローバル・異文化理解」は基礎編のみ)
対象は基礎編受講者もしくは各分野に関する業務に従事する社員で、実際に当社で起きた事例を用いたケーススタディや応用的な学びを中心に、より実務的な内容としました。
第1期に参加した社員から、どのような声が届いていますか。
「業務で求められるスキルの基本を学び直せた」といった声をはじめ、今後のキャリアを見据えて受講した社員など、多様な意見が寄せられました。その後、学んだ領域の部署に異動した例もあり、キャリア形成に寄与できたと実感しています。
さらに、年齢や役職を超えて研修を共に受けることで「人脈の拡大」も効果として挙がっています。若手からは「グループ会社の社長に直接話を聞けた」、役職者からは「若手の率直な意見に新たな気づきを得られた」といった声もありました。
 
										
									
フジQアカデミー以外で、新たに導入した研修はありますか。
より業務に即した実践的な研修として「プライシング研修」や「採用面接官研修」を実施しました。基礎知識の習得や課題共有を通じてグループ全体のスキル底上げを目指しました。このほか、DX人材育成のために全社員対象の「DX研修」も実施。DXに関する知識の底上げを図る基礎編や選抜者による実践編を展開しました。
研修以外にも、資格取得支援や書籍購入補助など、人材育成に関する制度拡充を進めているそうですね。
従来より業務関連資格に対して受験料や奨励金を支給していましたが、近年は対象資格や金額を拡充しました。例えば語学では実用英語検定・TOEICに加え、中国語検定や韓国語能力試験も対象としています。資格取得はスキル証明となり、キャリアアップにも直結します。実際、若手社員の多くが簿記3級等の公的資格を取得し、全社的に学習意欲が高まっていると感じます。
また、昨年導入した「書籍購入補助制度」は、業務関連書籍を読んだ社員に書籍代を補助する仕組みです。社員一人ひとりの自己啓発意欲をさらに引き出すことを期待しています。
これまでのお話から、さまざまな角度から人材育成に取り組んでいることが伝わってきました。
ありがとうございます。人材育成は短期で成果が出るものではなく、長期的な視点で社員の成長を見据えて取り組むものです。それでも、フジQアカデミーで世代を超えた議論が生まれる様子や、新設制度を積極的に活用する社員を見ると、大きな喜びを感じます。
最後に、今後、人材育成で取り組みたいことがありましたら、ぜひお聞かせください。
人材育成担当として各部門と関わる中で、富士急グループには多様な人材が揃っていると実感します。多様な強みを持つ社員が集結し、多様な事業を展開していることこそが、当社の最大の強みです。だからこそ、人材育成を通じて一人ひとりの長所を伸ばし、グループ全体の組織力を高める仕組みを構築することが私の使命だと考えています。
具体的には、昨年全社員を対象に実施した適性検査の結果をもとに、社員の長所や適性を分析し、「コンセプチュアルスキル研修」を展開したいと考えています。社員が義務感ではなく「わくわく」しながら主体的に学び・会社とともに成長する場を創出していきたいと願っています。

Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
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