2023年中途入社。総合コンサルティングファームで新卒・中途採用コンサルティングに従事し、「企業の人事担当としてキャリアを築きたい」という思いから転職を決意。現在は新卒採用における施策設計から運用までを担当。
RECRUITMENT
Published on 2025/09/05
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地福 里紗Risa Jifuku
株式会社東京商工リサーチ
管理本部 人事部
2023年中途入社。総合コンサルティングファームで新卒・中途採用コンサルティングに従事し、「企業の人事担当としてキャリアを築きたい」という思いから転職を決意。現在は新卒採用における施策設計から運用までを担当。
株式会社東京商工リサーチは、企業信用調査の分野で先駆的な地位を築いてきました。新卒採用では、信用調査および信用情報を求める企業への提案業務を担う「調査営業職」を募集し、学生一人ひとりに寄り添い、人柄を重視した採用を行っています。一方で、独自性の高い事業を展開しているため、「事業や仕事を理解してもらう難しさ」といった課題も抱えてきました。人事部の地福様に、事業理解や仕事理解を促し志望度を高めるための採用施策について伺いました。
まずは貴社の事業内容についてご紹介いただけますか。
当社は1892年創業の信用調査会社です。企業間取引におけるさまざまなリスクを低減するために、取引先や取引予定企業が信用できるかを調査しています。また、長年にわたり蓄積してきた信用情報データベースに加え、世界最大級の企業データを持つDun & Bradstreetと提携し、6億件を超える国内外の企業情報を保有しています。これらの情報を活用し、与信管理やマーケティング、調達先管理など、企業の重要な経営判断を支援しています。
国内外の幅広い信用情報の提供を通じて、企業の経営判断を支援されているのですね。新卒採用においては、どのような人材を求めていますか。
新卒採用で募集する「調査営業職」は、当社事業の中核である「信用情報の調査」を担うと同時に、信用情報を必要とする企業に対して、当社サービスを提案・提供する役割を果たします。企業理解のうえで信頼関係を築くことが求められるため、誠実な人柄や学ぶ姿勢が重視されます。経営や財務の知識は、働くうえでは必要になりますが、入社後に学ぶことができるため、私たちは皆さんの人柄を重視しています。
応募者の人柄を見極める際に大切にしていることはありますか。
選考の場では、緊張から本来の自分を出せない方もいらっしゃると思います。そこで、まずは、アイスブレイクの時間を設け、リラックスできる雰囲気づくりを大切にしています。応募者が持つ本来の個性や魅力を引き出すことを意識しています。
貴社ではプレ期に調査営業職の業務を体験できる「仕事体験」を実施されています。この施策の狙いについて教えてください。
1dayの「簡易調査体験ワーク」と「調査営業体験ワーク」の2種類を用意し、どちらもグループワーク形式で実施しています。簡易調査体験ワークはウェブ開催のみ、調査営業体験ワークはウェブと対面の両方で開催しており、それぞれの形式に応じて体験内容を工夫しています。これらの取り組みの背景には、「企業信用調査についての理解を深めてもらいたい」という狙いがあります。ほとんどの学生にとって、企業信用調査は未知の業務であるため、実際の業務を体験してもらうことで、業務内容だけでなく、その重要性についても理解していただきたいと考えています。
調査営業職の業務内容や重要性を理解してもらうために、2つの体験ワークを実施しているのですね。具体的にはどのような内容ですか。
いずれのワークでも、架空企業への取材や調査書の作成を体験していただきます。「調査営業体験ワーク」では、毎年の経済トレンドを踏まえて架空企業の業種を設定し、参加者はホームページに書かれている内容を読んで事前準備を行い、企業担当者への取材に臨みます。一方、「簡易調査体験ワーク」は入門的な位置づけで、「調査営業体験ワーク」はより発展的な内容となっており、企業調査や調査書作成に加えて、お客様の課題抽出や、収集した信用情報を提案・提供する過程まで体験できます。
体験ワークに参加した学生の反応はいかがでしょうか。
「グループワークを通じて多様な視点や発想を共有でき、知見が広がった」という感想が多いです。さらに、架空企業への取材を通じて「欲しい情報を得るためにどのような質問が有効か」を学ぶことができ、採用担当からも「オープンクエスチョンは幅が広くなりすぎて相手が答えに迷う場合もある」と伝えています。「質問力向上に役立った」「就職活動に役立つ情報が多かった」といった声も多くいただきます。
調査営業職の業務理解だけでなく、視野の拡大やコミュニケーションスキルの向上にもつながるのですね。
もちろん、体験ワークを通じて当社の事業や仕事理解が進み、その結果として志望度が高まる方もいます。調査営業体験ワークに進んだ学生には早期選考の案内をしており、この機会をきっかけに選考へ進むケースもあります。
「面接の冒頭でアイスブレイクを設けている」とのことですが、選考で特に意識していることがあれば教えてください。
できる限り入社前後のギャップを減らすため、情報開示に努めています。例えば会社説明会は「会社紹介」と「質疑応答」の二部構成とし、前半では調査目標件数や営業予算などの数字も包み隠さず伝えています。後半の質疑応答では「NG質問は一切ありません」と明示し、どのような質問にも答えています。質問が出にくい場合は「よくある質問」を私たちから提示し、その回答を伝えるようにしています。
ここまでのお話から、応募者一人ひとりへの丁寧な対応が感じられます。採用広報でも応募者に寄り添う情報発信をされていますか。
現場社員の姿を知ることで応募者の理解が深まり、「入社後の自分」を具体的にイメージできると考え、近年は社員紹介コンテンツの充実に取り組んでいます。「実際の現場社員の声を届けたい」という思いもあります。
例えば、2025シーズンではマイページ限定で新入社員のコンテンツを配信しました。入社半年後に取材を行い、「社会人と学生の違い」「半年間で得たもの」「仕事のやりがい」「入社前後のギャップ」など、学生が知りたい内容で構成しています。2026シーズンもマイページコンテンツの拡充と採用ホームページのリニューアルを進め、新卒・中途を問わず幅広い社員を紹介予定です。
マイページのみならず採用ホームページでも社員紹介を強化されているのですね。
実は採用ホームページに隠しリンクを設けており、押すとさまざまな社員が当社を紹介する動画を閲覧できます。遊び心で始めた施策ですが、ホームページをくまなく見てくださった学生ならたどり着けるかもしれません。見つけられなかった場合も、エントリー後にリンクをお送りします。
様々な施策を展開されていますが、地福様ご自身が新卒採用担当としてやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか。
大きく2つあります。1つは内定承諾をいただいた時で、「多くの選択肢の中から当社を選び、事業や仕事に興味を持ってくれた」ことに感謝の気持ちでいっぱいになります。2つ目は入社後、活躍を知った時です。「大変だけどやりがいがある」「東京商工リサーチに入社して良かった」といった声を聞くと嬉しさが増します。
当社は学生一人ひとりの人柄を重視した採用を徹底しています。学歴や資格ではなく、対話を通じてその人となりを理解しています。内定承諾後も変わらず学生を思い、悩みがあれば面談などでできる限りフォローします。入社後も廊下ですれ違う際には必ず声をかけ、「不安があったらいつでも相談してね」と伝えています。採用期間だけでなく、入社後も寄り添い続け、当社で働くことを楽しいと感じてもらえたら、これほど嬉しいことはありません。
最後に、今後の採用に関するご展望をお聞かせください。
当社はBtoBで、かつ非常にニッチな事業領域のため、学生時代から知っている方はごくわずかです。中には、当社を知らないまま就職活動を終える学生もいるでしょう。だからこそ認知度を高め、選択肢の一つとして検討いただけるレベルまで引き上げることが喫緊の課題と認識しています。その実現のため、採用広報など様々な施策を強化したいと考えています。現在も大学訪問に注力していますが、今後も出前講義などお声がけいただける機会があれば、積極的に取り組みたいと考えています。
Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
新たな採用手法の実現方法を紐解きます。
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