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Interview

透明性と公平性を確保し、相互理解に努める
講談社が実践する最強のマッチング術

RECRUITMENT

Published on 2025/03/28

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Profile

岩崎 志子Yukiko Iwasaki

株式会社講談社
人事部 副部長

2008年新卒入社。理工学部システムデザイン工学科卒。女性誌「with」の編集を4年、青年漫画誌「イブニング」の編集を9年務めた後、2021年、人事部に異動。新卒・キャリア・障害者採用など、正規雇用に関わる採用業務全般に携わる。
(所属・内容は取材当時のものです)

2024年に創業115年を迎えた講談社は、時代の変遷とともに進化を続け、現在では世界中の読者に向けて電子書籍やWebメディア、ゲームアプリ、映像など、多様なコンテンツを提供する企業として確固たる地位を築いています。新卒採用では毎年、採用人数25〜30名に対して3,000~4,000名の応募者が集まる一方、透明性と公平性を確保して企業理解の場を提供するなど、多彩な工夫を凝らしていることが特徴です。特にエントリーシートを丁寧に読み込み、学生一人ひとりの「自分らしさ」を汲み取る姿勢は注目されるポイントといえるでしょう。今回は、採用担当を務める岩崎様に「多様なコンテンツを発信する講談社が展開する採用施策」についてお話を伺いました。

透明性と公平性を遵守し、多様な人材を採用

まずは、貴社の事業についてご紹介いただけますか。

当社は1909年創業の総合出版社です。創業当初から「おもしろくて、ためになる」を企業理念に掲げ、幅広い分野の書籍・雑誌を出版してきました。近年では、読者の生活様式の変化に合わせて、紙の出版物のみならず電子書籍やWebメディア、ゲームアプリ、映像など、さまざまなコンテンツを提供しています。海外展開にも注力しており、企業理念を英語で表現した「Inspire Impossible Stories」という新しいパーパスも2021年から掲げています。多様なカルチャーやバックグラウンドを持つ世界中の読者に向けて、魅力あるコンテンツをお届けしている点が大きな特徴です。

新卒採用では、どのような方針を掲げていらっしゃるのでしょうか。

最も重視しているのは「透明性」と「公平性」です。例えば、何名が応募して何名が選考に進んでいるか、といった情報は応募者にとって関心が高いにもかかわらず、一般にはあまり公開されていません。出版業界自体が小規模であることから、就職活動に関する情報が得にくいという背景もあります。そこで当社では、応募者の方に安心感を持ってもらいたいという思いから、これらの情報を採用ホームページで公開しています。また、当社では夏と冬を中心にオープンカンパニーを実施していますが、特定の属性の方を優遇することは一切ありません。すべての応募者に対して平等に接し、門戸を開きたいという想いが当社の採用方針の大きな柱です。

貴社を志望するすべての応募者に門戸を開きながら、多様な人材を採用されているのですね。求める人物像についてはいかがでしょうか。

実は、当社では求める人物像をあえて明確に言語化していません。というのも、当社は多様なコンテンツを展開しており、多様な視点・思考を持った人材を必要としているからです。コンテンツの表現方法は日々変化し続けていますし、時代の流れとともに新たな手法が生まれることもあります。そこで「自分ならではの考え方や表現を持った人」にお越しいただきたいという思いが強いのです。言い換えれば、応募いただく皆さんには「自分らしさ」を存分に表現してほしいと考えています。

エントリーシートで個々の「らしさ」を見極める

応募者一人ひとりの「自分らしい表現」を見極めるために、どのような施策を行っているのでしょうか。

最初の接点となるのがエントリーシートなので、面接同様に重視しています。当社のエントリーシートはA4サイズ約5枚ほどのボリュームがあり、一問一答形式の設問だけでなく、作文やフリースペースも設けています。これは、絵や文章、イラスト、写真など、応募者それぞれが得意とする表現方法で自分をアピールしてもらいたいという狙いからです。私たち社員も、応募者の「らしさ」をできるだけ正確に汲み取るため、一つひとつのエントリーシートを時間をかけて丁寧に読み込んでいます。

例年25〜30名ほどの採用人数に対し、3,000名以上が応募されると伺っています。より多くの応募者に対して、貴社の魅力を伝える工夫はありますか。

まずは「出版社の仕事」をより理解してもらうことが大切だと考えています。学生の皆さんにとっては、具体的にどのような業務を行い、どのような考え方で仕事に取り組んでいるのか、イメージしづらい面もあるからです。昨年は夏と冬にオープンカンパニーイベントを実施しました夏はオンライン形式の1day仕事体験で、多くの方に参加いただけるよう一回あたり約900名、合計2,700名規模で計3回行いました。冬はより掘り下げた内容を扱う3daysのワークショップを開催し、こちらは定員80名ほどに絞って実施しました。

参加者2,700名というのは非常に大きな規模ですね。貴社ならではの社風を応募者に感じてもらうために、選考のプロセスでも工夫されていると伺いました。

当社の社風として「人と人との交流から良いコンテンツが生まれる」という考えが根付いています。そのため、部署内外を問わず普段から気軽に声を掛け合う文化があり、採用活動でもこの姿勢を大切にしています。たとえば、冬の3daysワークショップでは社員と密にコミュニケーションがとれる場を設け、社員の雰囲気や実際の仕事についてより深く知ってもらう機会を作っています。また、選考においても、面接の控室で社員が受験者の方に積極的に声をかけて緊張をほぐすのも恒例で、日常的なコミュニケーションを通じて社風を感じてもらえるよう工夫しています。

「おもしろくて、ためになる」採用広報を目指して

貴社の採用ホームページを拝見しますと、毎年デザインやキャッチコピーを大きく刷新されている印象を受けます。そこにはどのような意図があるのでしょうか。

厳密に「刷新しよう」と意図しているわけではなく、むしろ自然に変わっている部分が大きいです。コンテンツは、その時々の読者が求める情報を、求められる表現で届けるものだと考えています。採用広報も同様で、当社には編集職や企画職の経験がある採用担当者が多いため、毎年「今年はこうしよう」「ああしよう」と話し合いながら新たなデザインやキャッチコピーを作り上げています。サイトの訪問者の方が「なんだか面白そう」「ワクワクする」と感じてもらえるページを目指し、「当社の採用ホームページを読んで心がときめいた人に応募してほしい」という思いで制作に取り組んでいます。

新入社員が制作した「会社案内」をマイページにアップしているという点も興味深いです。どのような取り組みなのでしょうか。

当社では、新入社員研修の1つとして「編集実務実習」を設けており、就職活動中の学生をメイン読者と想定し、A4サイズ両面カラーの会社案内を制作します。4~5人ずつのグループに分かれ、それぞれ紹介の切り口を考えて社員へ取材を行い、集めた情報をもとに一本のコンテンツを作り上げるという実践形式で、新入社員にとっては「予算をかけた編集作業を行う初めての経験」です。目的は2つあります。1つは「新入社員が学生目線を理解しているからこそ、学生が一番知りたい情報を発信できる」こと。もう1つは「入社すぐにコンテンツ制作を体験できる会社である」と、当社の魅力を学生に伝えることです。

一連の採用施策を拝見すると、貴社の採用チームの皆さまが誇りとやりがいをもって活動されている様子がうかがえます。実際、採用業務にはどのようなやりがいや喜びを感じていらっしゃいますか。

採用業務は、人事部の仕事の中でも特に「ハッピーな仕事」だと感じています。新しい仲間を増やすポジティブな業務ですし、一年をかけた採用活動の中でたくさんの小さな喜びを得られるからです。例えば、応募者の方が一生懸命に書いてくれたエントリーシートを読んで「丁寧に書いてくれてありがたいな」と思う瞬間や、私たちの企業説明を興味深そうに聞いてくれる表情を見るだけで嬉しくなります。そして最終的に内定を受諾いただいた時は、一年間の活動が報われたような感動を覚えますね。

最後に、今後の採用活動に関して挑戦したいことがありましたらお聞かせください。

当社が掲げている企業理念「おもしろくて、ためになる」を、採用活動でも徹底していきたいと考えています。学生の皆さんが就職活動を通じて「講談社っておもしろそうだ」「ここで働いたら自分もワクワクできるかもしれない」と感じていただけたら本望です。今後も世界中の読者に向けて魅力あるコンテンツを発信し続けるためには、多様な人材の力が必要不可欠です。これからも、異なる個性や価値観を持つ方々が集まり、それぞれが自分らしく活躍できる環境をつくっていきたいですね。


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