2009年、新卒入社。文化施設の営業職、新規事業開発の経験を経て、2023年より現職。新卒・既卒採用(ポテンシャル採用)の中でも主に広報活動を中心とした採用戦略を手掛ける。
RECRUITMENT
Published on 2024/08/09
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志村 泰典Yasunori Shimura
株式会社丹青社
人事部 人事企画課
2009年、新卒入社。文化施設の営業職、新規事業開発の経験を経て、2023年より現職。新卒・既卒採用(ポテンシャル採用)の中でも主に広報活動を中心とした採用戦略を手掛ける。
府木 梢Kozue Fuki
株式会社丹青社
人事部 人事企画課
2017年、中途入社。新入社員研修・階層別研修等の人材育成全般を経験後、2023年より現職。新卒・既卒採用(ポテンシャル採用)の中でも主に広報活動を中心とした採用戦略を手掛ける。
1946年の創業以来、総合ディスプレイ業を営んできた丹青社。名実ともに業界のリーディングカンパニーとして、多彩な空間づくりを手掛けています。そんな同社が採用戦略を大幅に転換したのは2023年のこと。多彩な広報活動を展開すると同時に、「採用マーケティング&広報チーム」を新設しました。このチームが丹青社ファンを増やす戦略立案に注力することで、内定辞退率の低減と採用人数の増加に成功したといいます。戦略立案と選考を分業する独自の採用スタイルのねらいと成果について、人事部の志村様、府木様のお二人にお話しいただきました。
まずは改めて、貴社の事業についてご紹介いただけますか。
志村:
当社は1946年創業の総合ディスプレイ会社です。一般的なディスプレイ業界では対象の空間ジャンルを限定することが多いのですが、当社は店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間まで多彩な空間を手掛けていることが強みです。
貴社では近年、採用のマーケティング的な側面を強化していると伺いました。どのような背景から、採用戦略を見直されたのでしょうか。
志村:
当社はもともと自社の採用サイトを中心とした採用活動を行っており、就職情報サイトへの掲載などの認知施策の媒体を限定していました。以前はそれでも十分な数の応募者が集まっていたのですが、近年は母集団形成が課題となっていました。そこで採用活動を強化することになり、私と府木が新たに採用チームに参画することとなりました。従来の採用活動では、採用メンバー全員が採用以外の人事業務を兼務し、採用戦略から選考業務までの全体を担っていましたが、これでは業務負荷が大きく、採用戦略や広報といった戦略的な業務に集中するのは難しいと考えました。そこで2023年からは、採用マーケティング・広報の業務と、選考や学生のフォローの業務を分業することにしたのです。
府木:
広報を強化するため、複数の就職情報サイトも新たに利用し始めました。当社はディスプレイ業界内では認知されている企業ですが、大学生にとってはこの業界自体がニッチで、ゼネコンや設計事務所などと比べると認知度も高いとは言えません。インテリアや内装に関心を持ち、当社のことを調べてくださった方の多くは興味を持ってくださるのですが、知っていただくための間口が広いとは言えない状況でした。そこで、もっと多くの方にディスプレイ業界の面白さを知っていただくことが私たちの課題だと考えました。当社を認知してくださった方がたとえ入社に至らなくても、その方の口コミから業界の魅力が大学生の間で広まっていけばいいな、と。そこから、マーケティングや広報を強化していこうとなりました。
具体的なマーケティング施策について教えていただけますか?
志村:
まずはプレエントリー時のアンケートで応募者の登録経路を具体的に確認することを始めました。当社にエントリーするに至った理由を回答いただき、今後は学生の声を集めて施策に反映することで、効率的なアプローチにつなげていきたいと考えています。また、応募者の「熱量」の高さに合わせフォローを強化することも昨年から始めました。
応募者の熱量はどのように計測するのですか?
志村:
当社では採用管理システムを利用しており、当社にエントリーしてくださった学生とはマイページを通じてコミュニケーションをとったり、限定のコンテンツを発信したりしています。このマイページへのアクセス数が、熱量を測る一つの指標となります。また、イベントの種類を増やし、参加方法を臨機応変に変えるなど熱量に応じた対応もしました。
府木:
イベントも昨年から積極的に実施するようになりました。具体的には、会社説明会や、働き方についての説明会、職種別ワークショップのほか、話題の施設を手掛けたタイミングに合わせて事例を紹介するウェビナーなどを開催し、実際に学生とお会いすることで、熱量を伺い知ることができました。また有望な学生に対しては次回のイベントのご案内を積極的に行うなどフォローを強化して次のステップにつなげ、その後の工程を担当する選考チームにも有望な学生の情報を共有しています。
マッチングの精度が高まりそうな施策です。
志村:
途中からは母集団を無理に増やすよりも、今集まっている母集団のマッチングを高めていくことを目指しました。この目標に向けて、タイムリーに最適な戦略を立案・実施できたのは、マーケティングと選考とを分業した成果の一つだと考えています。結果として前年度と比べ当社とマッチする学生と多く出会い、早い段階から充分な母集団を形成できました。選考プロセスにおいて、学生とのマッチングの精度を丁寧に高めた結果、内定辞退を最小限に抑え、必要以上の内定者数を確保するなど高い成果につながりました。
新体制一年目にして、数値に見える劇的な変化が見られたのですね。
貴社では営業職、プランナー職、デザイナー職、制作職、データアナリスト職という主に5つの職種で採用をされています。いつごろから職種別採用を実施されているのですか?
志村:
職種別採用は1997年から行っています。当社の場合、特にデザイナー職では建築やデザインのスキルが重要なので、マッチング精度を高めるために早くからコースを分けていました。
職種別採用の実績も豊富なのですね。近年、注力されている施策があればぜひ教えてください。
府木:
職種によって人気の偏りが出てしまうことが長年の課題でした。特に制作職は学生にとって馴染みが少ないため、認知から興味関心につなげることが難しい傾向がありました。そこで昨年からは職種毎の業務をリアルに伝え・体験できるワークショップを開催することに。仕事の魅力だけではなく、大変な場面も含めて正直に伝えました。
ワークショップの成果はいかがでしたか?
府木:
驚くほど良い成果が出ました。特に制作職はイベントを3回行ったのですが、参加いただいた方の約半数の方を内定につなげることができました。イベントではご来社いただき、社員といっしょにヘルメット・作業着のスタイルになって、業務を疑似的に体験していただきました。仕事の楽しさも辛さもきちんと理解いただけたことが、高い内定率につながったのだと思います。
これも、マーケティングや広報に集中できる分業採用の成果といえそうですね。最後に、今後の採用活動に向けての目標や、実施してみたい施策についてお伺いできますか。
府木:
マーケティング的な数値の分析をさらに細かく行い、より効果的な広報活動や、個々の学生とのマッチング強化を図っていきたいです。例えば「イベント後に配信したDMがどの程度マイページ登録につながっているか」などのデータを集めることで、効果の高いイベントの企画につなげていくこともその一つです。
志村:
当社では今、新卒ならびに既卒5年目までの方を含むポテンシャル採用を強化しています。2024年2月からスタートした今期も、半年で200名以上もの社員が面接やイベント、動画出演など何らかのかたちで関わってくれました。当社の社員数は約1,000名なので、5人に一人が採用に協力してくれている計算です。実際、現場社員の協力なくして多くの方を集めることはできないと思いますし、採用に参加してくれた社員にとっても、改めて「なぜ自分たちが丹青社で働いているのか」を振り返る機会になったらいいな、と考えています。今後も、若手からベテランまでいろんな方と協力しながら、丹青社らしい採用を実現していきたいですね。
ーVIEW 2760
Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
新たな採用手法の実現方法を紐解きます。
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