建築学科卒業後、デベロッパー、ゼネコンでの人事経験を経て、2020年1月に株式会社サンケイビルへ入社。採用グループのチーフとして人材採用を担当する他、研修や制度等にも関わる。
須田 裕也Yuya Suda
株式会社サンケイビル
管理本部 人事部
採用グループ チーフ
建築学科卒業後、デベロッパー、ゼネコンでの人事経験を経て、2020年1月に株式会社サンケイビルへ入社。採用グループのチーフとして人材採用を担当する他、研修や制度等にも関わる。
渡辺 早輝Saki Watanabe
株式会社サンケイビル
管理本部 人事部
採用グループ
2016年に新卒入社。賃貸事業部にて賃貸レジデンスの開発・運営業務を経験したのち、2020年より現職。新卒採用担当としてフロント業務を行う。
株式会社サンケイビルは、フジテレビジョンや産業経済新聞社などを擁するフジサンケイグループの1社として、不動産開発事業を展開しています。メディア系デベロッパーならではのコンテンツ力とメディア展開力を活かし、高い付加価値を創造できることが同社の強み。最近では池袋駅東口・区庁舎跡地を中心とした大規模再開発(Hareza池袋)に参画するなど、注目を集めています。そんな同社の採用グループが目指すのは「攻めの採用」。わずか2年で応募者を倍増させ、更なる多様な人材の獲得に向け、人材戦略の転換期に挑む人事部の須田様、渡辺様にお話を伺いました。
貴社はフジサンケイグループの1社として不動産開発事業を推進されています。メディア系のデベロッパーというのはかなり珍しいのではないでしょうか。
須田:
おっしゃる通り、メディア系企業が母体となっているデベロッパーは国内では唯一と言っても過言ではありません。業界大手と比べると総資産規模はまだそれほど大きくありませんが、メディア系デベロッパーとしての独自性は強みとなっていると思います。
どのような点が強みになっているのでしょうか。
須田:
成熟期である国内市場において、通常通りオフィスビルやホテルといった建物を開発するだけでは強い価値を生み出すことができません。重要なのは、ソフトコンテンツの工夫等によってそこに関わる皆様に喜びや感動を与え、付加価値を高めることです。メディアに精通したフジサンケイグループと連携できることが、この点でプラスに働いています。
渡辺:
例えば最近では、官民連携による池袋の大規模再開発に参画しました。豊島区庁舎跡地を中心に、8つの劇場空間、公園、高層オフィスタワーなどが複合したビジネスと文化の新拠点「Hareza池袋」です。この開発においては、当社のエンターテインメント性が発揮されたのではないかと思います。
「メディア系デベロッパー」として成長していくため、貴社ではどのような人材戦略をとられているのでしょうか。
須田:
元々はビルオーナー業の歴史が長く基盤もしっかりした企業でしたが、デベロッパーとしてはまだ日が浅いです。そのためキャリア入社社員を中心に成長を遂げてきた背景もあり、人材が多様で組織としての柔軟性は高い。そのような組織ですので、真面目な人材だけではなく「少しやんちゃな人材」も含めた多様な人材を採用していく必要があると考えています。当社の従来の採用手法は画一的な内容だったため、新卒採用における多様性の確保という点では物足りない点がありました。キャリア入社をした私が採用を担当したとき、この課題を解決することがミッションとなりました。
貴社の採用サイトでは「学生の皆さんとの出会い一つひとつを大切に、真剣に向き合います。」から始まる、3つの採用ポリシーが明記されていますね。
須田:
学生との信頼関係を築くには、まず我々の採用への想いをきちんと伝えることが大切だと考え、掲載しました。ポリシーは3つありますが、私たちが大切にしていることを一言で言うと、「学生と本音で向き合う」ことに尽きるでしょう。幸いにして当社は比較的少ない社員数で小回りが利き、採用人数も10名程度ですので、学生に個別で対応することが可能です。時間をかけて丁寧にコミュニケーションをとっていくと、「就活を通して自分を確立できてきたように思います」といった風に、自己成長を実感する学生も現れてきます。たとえその学生と縁がなかったとしても、学生が当社との出会いを通じて成長し、満足してもらえることは、当社の「採用ブランディング」の確立にも繋がります。
渡辺:
例えば「面接前の学生とは必ず採用担当がアイスブレイクの時間をつくり、リラックスしてもらう」ということは、コロナ禍以前はもちろん、オンライン面接になった今でも欠かさず実施しています。手間はかかりますが、学生と採用担当が会話をする時間は一般的な企業より長いのではないかと思います。それ以外にも、選考中の学生の希望に個別丁寧に対応することで、お互いWin-Winの関係をつくりたいと思っています。
サンケイビル採用サイト 新卒採用活動ポリシー
すべてのオンライン面接前に採用担当者がアイスブレイクに入るというのは、徹底された施策ですね。
須田:
まず採用担当の一番大事な業務はフロントとして、学生とコミュニケーションを取ることです。そのために採用のオンライン化が始まった当初からこの施策は導入しました。学生からの評判もよいのですが、同時に私たち人事にとっても、学生と率直なコミュニケーションがとれる貴重な時間となっています。その甲斐もあって、オンライン採用になってからも、入社時に初めて対面で会ったとき大きなギャップをおかげ様で感じたことはありません。あったとしても、「思ったより背が高いなあ」といったことぐらいですね(笑)。
競合他社にない「メディア系デベロッパーとしての魅力」については、学生に対してどのように伝えているのですか?
須田:
やはりデベロッパーとして手掛けている「多種多様な開発におけるそれぞれ個性ある仕事」の過程や考えを、しっかり伝えることが大切だと考えています。当社らしいプロジェクトとしては、先ほどお伝えした「Hareza池袋」のほかにも、世界的ホテルチェーンであるマリオット・インターナショナルとコラボレーションした最先端ホテル「アロフト東京銀座」や、当社が主幹事で着手した須磨海浜水族園・海浜公園再整備事業など、ユニークで話題性の高いものがあります。
渡辺:
そうしたプロジェクトの面白さをリアルに伝えるため、動画を制作して学生向けマイページに掲載しています。「メディア系」の名に恥じないよう、動画のクオリティにはこだわっており、メディアの上手な活用はこれからも取り組んでいきたいです。
聞いているだけでワクワクします。学生からの反響はいかがですか?
渡辺:
積極的な情報発信を始めて以降、学生からの当社の認知度は劇的に向上しました。須田が加わってから当社の採用は「待ち」から「攻め」に転じたと言えると思います。応募者数も格段に増えましたし、これまでは見なかったようなアグレッシブに行動するタイプの内定者も増えてきました。
須田:
認知度を向上し、多様な人材と出会うための施策としては、就活イベントへの露出を増やすことも意識しました。特に不動産業界の合同イベントに限らず、異業界との合同イベントにも積極的に参加することで、もともとデベロッパーに興味がなかった学生に対しても当社をアピールできるようになりました。あるイベントで大手広告代理店さんや大手芸能事務所さん、そして当社の3社が合同でYouTube会社説明会を開き、渡辺に登壇してもらったりもしましたね。もともとはメディア系企業を志望していた学生が、当社を志望してくれるきっかけをつくることができました。
渡辺:
「メディア系デベロッパー」という当社の属性に対して、「まだ詳しくは知らないが、将来性や魅力を感じる」と興味をもってくださる学生が、最近は特に増えてきたように思います。
近年は採用の早期化が進み、インターンシップに注力される企業も増えています。貴社はインターンシップにおいてどのような姿勢で取り組まれていますか?
渡辺:
当社では、インターンシップを選考の一環とまでは位置づけていません。内容も主としてデベロッパー業界における仕事の面白さを伝えるものであり、サンケイビルの魅力をアピールするのは次のフェーズでよいと考えています。ただし、内定者の半数近くがインターンシップ参加者となっていますので、結果的にはインターンシップで当社に興味を持ってくださる方もかなり多いようです。
インターンシップの内容が充実しているからこその成果ではないでしょうか。
渡辺:
学生にとって負担が少なく、得るものが多いよう工夫はしていますね。特にオンライン化してからは、オペレーションに最大限の工夫をし、飽きのこない構成を心がけています。時間も以前は半日以上かけていたところを最大4時間に短縮し、その分凝縮した内容にしました。
須田:
手前味噌ですが、「不動産開発とは何か」という基礎の部分から、具体的にどのように開発をすればよいのかという実際の過程や考えまで、短時間で幅広く学べる内容になっていると思います。プログラムの最後には「フジサンケイグループのリソースを使ってどんな付加価値を生み出せるか」という、当社らしさを感じていただけるワークも用意しています。アンケートの集計結果を見ても、基礎から順を追って総合的な知識を学べる点に満足したという声を多くいただいています。
最後に、貴社の採用活動をどのように展開していきたいか、今後の抱負について教えていただけますか?
渡辺:
「フジサンケイグループ」「メディア系デベロッパー」といった言葉のイメージに惹かれて当社を志望する方も多く、今後はもっと会社の魅力、仕事の醍醐味といった本質的な情報を高い精度で伝え、ミスマッチを減らしていきたいと考えています。そのためにも、私たち人事部だけではなく、各部署の社員にもいっそう採用の重要さを理解してもらい、社員一丸となって採用活動に取り組んでいけるよう、働きかけをしていく予定です。
渡辺様は営業から人事に異動して約2年とのことですが、採用活動に携わったご感想はいかがですか?
渡辺:
採用担当者というのは会社を代表してPRする存在ですので、最初は不安も大きかったですが、今は学生の皆さんとお会いすることがとても楽しみです。また一方で、イベントでPRするだけが採用業務ではないので、実際にやってみると想像以上に地道な作業が多いという印象ですね。須田にも以前「採用担当者はアヒルのように、水面下で一生懸命足掻きながら、優雅に泳いでいるように見せなければならない」と言われたことがあるのですが、まさにその通りだと思います。
須田:
よく覚えているなあ(笑)。渡辺さんにがんばってもらったおかげで、採用戦略の転換は順調に進んだと思います。
須田様は今後の展望についてどのようにお考えですか?
須田:
当社は今大きな変革期を迎えています。プロパー社員とキャリア入社社員が一体となってサンケイビルという「器」をつくり上げてきた段階だとすると、これからはこの「器」を活かし、より新しい事業にチャレンジしていく時期である。――というのが社長の考えでもあり、築き上げてきた不動産の収益をベースに、将来的にデベロッパーの枠を飛び出そうとまで話しています。そうしたビジョンを踏まえると、先ほども少し話したとおり、既存の価値観にとらわれず「やんちゃ」ができるタフな人材をどうやって採用するかが、今後の課題となるでしょう。欧米では「非財務指標」である、企業のビジョンや人材戦略など、従来の財務指標では測れない要素を、投資家をはじめとして評価する考え方(人的資本報告基準:ISO30414)が広まりつつあるといいます。今後も実直に学生と向き合い、「人」を通じた価値の高い組織づくりに尽力できればと考えています。
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Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
新たな採用手法の実現方法を紐解きます。
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