大学卒業後、外資SIer へ入社。IT基盤およびネットワーク事業のエンジニア、セールスに従事。2016年 GMOペイメントゲートウェイに入社。システム本部で公金・送金関連のプロダクト開発を担当した後、2020年より人事部にて現職。「長期的な成長を牽引する人財の採用・育成」をミッションに、人財採用を統率する。
稲山 享伸Kiyonobu Inayama
GMOペイメントゲートウェイ株式会社
コーポレートサポート本部 人事総務統括部
執行役員 人事部長
大学卒業後、外資SIer へ入社。IT基盤およびネットワーク事業のエンジニア、セールスに従事。2016年 GMOペイメントゲートウェイに入社。システム本部で公金・送金関連のプロダクト開発を担当した後、2020年より人事部にて現職。「長期的な成長を牽引する人財の採用・育成」をミッションに、人財採用を統率する。
梶井 美咲Misaki Kajii
GMOペイメントゲートウェイ株式会社
コーポレートサポート本部 人事総務統括部
人事部 採用グループ リーダー
2017年、GMOペイメントゲートウェイに新卒入社。会社の成長を担う人財の採用に携わりたいと思い人事部への配属を希望。現在は新卒採用のリーダーとして、採用の企画、運営を手掛ける。
GMOペイメントゲートウェイ株式会社(以下、GMO-PG)は、ネットショッピングの黎明期から決済システムを提供し続けてきたリーディングカンパニーです。「毎年25%以上の営業利益成長」を目標に掲げ、2005年のマザーズ上場以来16期連続増収増益という驚異的な成長を遂げています。この成長を支える強みこそ人財の力であると口をそろえて断言するのが、人事部長・稲山享伸様と採用グループのリーダー・梶井美咲様。「毎週1回は経営陣が集まって人事課題に特化した会議を開く」「社長の相浦氏自らが会社説明会、最終面接などの採用活動に積極的に参加する」という、徹底した人財重視の姿勢が貫かれているといいます。「企業は人なり」という理念を体現する、独自の採用戦略に迫りました。
まずは貴社についてご紹介いただけますか。
稲山:
当社は、「キャッシュレス」「FinTech」「DX」といった市場で、決済を軸にサービスを展開しています。現在、連結で10万店舗以上(2021年9月末現在)のEC・オンライン事業者などに当社の決済・金融関連サービスを利用いただいています。あらゆる決済シーンやそのプロセスにおいて、お客様の成功に寄与するビジネスパートナーとして、確かな実績と技術を持って新しい価値を創造しています。「毎年25%以上の営業利益成長」を目標に掲げ、おかげさまで、16期連続で増収・増益・増配を達成しています。
驚異的な成長です。同業他社にない貴社の強みとは、どこにあるのでしょうか。
稲山:
一つは、このビジネスモデルをいち早く確立した点にあると思います。当社社長の相浦がこの事業を始めた2000年ごろの日本では、まだネットショッピングが一般的なものではありませんでした。そうしたECの黎明期から決済システムに取り組んできたことが、さまざまな事業優位性を生み出していることは間違いないでしょう。しかし、長期にわたって成長を継続するには、常に優秀な人財を採用し、育成することが不可欠です。当社では「企業は人なり」という理念に基づき、人財を非常に重視する経営を行っています。
「企業は人なり」という理念は、例えばどのような面に表れているのでしょうか。
稲山:
私だけではなく、経営層の全員が「人事」に対して真剣に考え、相当な時間を費やしています。当社では経営陣による経営会議だけでなく、毎週1回は「人事」に特化した会議を開いているのですが、これはかなり珍しいのではないでしょうか。とりわけ社長の相浦は人への想いが非常に強く、「業務時間の半分は採用と育成に費やしている」と公言しています。実際、当社の最終面接の多くは社長が務めていますし、会社説明会にも積極的に登壇しています。
人財への情熱が伝わってきますね。
梶井:
これほど経営者が積極的に採用に関わり、学生の前に姿を見せる企業は少ないと思います。内定者の中にはこうした社長の魅力に惹きつけられて入社を決めたという人も多く、実は私もその一人です。最終面接の内容は「社会人としてどのようになりたいか、どのように生きていくべきか」について真剣に話し合うというもので、「“就活生”ではなく、私という一人の人間として見てもらえている」と強く感じました。そして当社には、意欲ある若い人財が成長できる制度が整っています。
若い人財が成長できる制度とはどのようなものですか?
梶井:
まず、当社では新入社員が3ヶ月の研修期間に主要部署の業務を体験し、配属先を志望できるシステムがあります。これは入社後のギャップを減らすと同時に、新人に責任を持って仕事に取り組んでもらう意図があります。また、年齢に関係なく実力と成果次第でチャンスをつかめる風土があり、新卒入社4年目で課長就任、新卒入社6年目で部長就任といった事例があります。
新卒採用において、貴社ではどのような人財を求めていらっしゃいますか?
梶井:
当社ではいくつかの人財要件を掲げていますが、中でも重視しているのは一人ひとりのパートナー(同社での従業員の呼称)が高い誇りと自覚を持つ「全員社長主義」。これに加え、「他責も自責」という言葉に示される責任感の強さや、絶対に曲がったことをしない「誠実さ」も大切にしています。
そうした優秀な人財を採用するために、具体的にどのような工夫を実践されているのでしょうか。
稲山:
先ほども少し申し上げましたが、当社は採用を人事部だけでは行っていません。社長を含めた「全員で採用し、全員で育てる」。この考え方が浸透しているおかげで、会社説明会や面接では当社の理念を体現した優秀なパートナーを厳選し、学生と向き合うことができています。具体的にいうと、一次面接ではエース級の実績を出している若手パートナー、二次面接では部室長、そして最終面接では社長や経営陣が学生のみなさんと直接お会いします。こうすることで、学生に当社の魅力を知っていただくと同時に、当社に相応しい人財を見極めることが可能となると考えています。
また、「全員で採用し、全員で育てる」の考えを基本としつつ、さらに優秀層へのアプローチを推進する施策として、新卒年収を日本国内で最高水準の710万円とする『710プログラム』を2023年4月入社の新卒採用より開始します。
各階層のトップ人財を採用活動に投入すると同時に、施策面も充実させているのですね。しかし、優秀な人財ほど忙しく、アサインしたくともできない企業も多いと聞きます。どのようにしてこうした採用を実現しているのでしょうか。
稲山:
社長が「全員で採用し、育てる」というメッセージを月に数回は全社に発信し、自らそれを実践していることが大きいと思います。人事評価項目のなかに「採用・育成に関わる活動」が含まれていることも一因だと思いますが、評価に関係なく「いい仲間を増やしたい」という気持ちを皆が共有しているように感じますね。
梶井:
各部署のパートナーに協力を依頼するとき、多くの方は私より年齢も役職もずっと上なのですが、皆さんとても積極的に協力してくれますし、私たちを人事の専門家として尊重してくれます。採用チームとしては非常に心強い環境だと感じます。ちなみに、正規の面接以外にも、「こういうキャリアの人と話がしたい」といった応募者の希望に応じ、面談や座談会なども臨機応変に開いています。
トップ人財を選考に投入することは、貴社の採用にプラスに働いていると感じられますか?
梶井:
はい。面接後の感想を学生にヒアリングしているのですが、「この人に会えて本当に良かった」といった満足度の高い意見がほとんどです。
稲山:
「面接で会った〇〇さんと一緒に働きたくて入社しました」という人も多いです。そして当社には新人が自分で配属先を志望できる制度がありますから、本当にその人と働くチャンスが拓けているわけです。一般的な大企業の場合、憧れのマネージャーと一緒に働くチャンスを実現することは相当難しいことですよね。当社ならではの魅力のひとつだと考えています。
貴社はどのようなスケジュールで採用活動を展開されていますか?
稲山:
まず、大学3年生を対象としたインターンシップを6月にスタートしています。インターンシップ参加者のうち、さらに限られた方のみを11・12月に実施の特別インターンシップにご招待します。夏のインターンシップから約半年かけ、接点を多く取ることで十分な相互理解を築いています。インターンシップ以降は会社説明会を開き、より多くの方に当社を知っていただけるような機会をご用意しています。学生との接点一つひとつを、選考の場としてではなく相互理解の場と捉え、大切に向き合っています。
インターンシップはどのような内容ですか?
梶井:
当社のメインである決済代行というビジネスは、一般の学生にとっては少しわかりにくいものです。そこでインターンシップでは、具体的な仕事のイメージをつかんでいただけるワークショップを実施したり、パートナーと直接話せる座談会を設けたりしています。もちろんここでも、当社の魅力を最大限感じていただけるような人財を厳選しています。
採用活動の効果測定、改善といったPDCAサイクルはどのように回されていますか。
稲山:
まず、それぞれの選考段階における定量的な目標(各選考の通過人数など)は明確に数値化し、毎週KPIをチェックしながら細かいチューニングを行っています。当社の場合採用人数は毎年30名程度ですので、最終的にこの人数に絞り込むことが目標ですね。一方、定性的な目標管理については、入社したパートナーの活躍状況を中長期にわたって分析する必要があり、これをどう実現するかは今後の課題となっています。
ちなみに、例年、採用目標は達成されていますか?
梶井:
正直に申し上げると、定量的な目標は必ずしも毎年達成しているわけではありませんが、それでも良いと考えています。人数以上に、質を重視しているからです。当社と価値観を共有してくださる方に来ていただければ、人数として目標に到達しない年があっても問題はありません。この最終的な判断も経営陣が責任をもって行うため、私たち採用チームは迷うことなく採用活動に打ち込むことができています。
そうした会社としての姿勢が、「企業は人なり」という理念をかたちにしているのだと感じます。最後に、お二人の今後の採用活動への想いをお聞かせいただけますか。
梶井:
引き続き採用戦略を改善し、新しい施策にも挑戦してみたいと考えています。例えば大学とのリレーション強化や、学生に対する個別アプローチなどがそうですね。当社のことを知らない優秀な学生を採用する、より難易度の高い採用を成功させたいです。また、現在私は採用後のパートナーにあまり関われていないので、今後は採用後の活躍をサポートしつつ、その経験を採用戦略にフィードバックするような活動をしてみたいと考えています。
稲山:
当社の規模はさほど大きくはありません。だからこそ、入社したパートナー全員に120パーセントのポテンシャルを発揮し、活躍しきってほしいのです。そのための採用と育成を実現することが、私たち人事の役目だと考えています。そしてポテンシャルを発揮し切ってもらうためには、採用プロセスを「選考」ではなく「互いを理解する場」としてとらえる必要があります。今後は会社説明会や、内定後のリレーション構築にもいっそう注力し、学生との価値観の共有を強化していきたいと考えています。
Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
新たな採用手法の実現方法を紐解きます。
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