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Interview

『継承と進化』。
サントリーのDNAを受け継ぐ採用チームの育成

Published on 2021/10/15

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Profile

杉田 幸平Kohei Sugita

サントリーホールディングス株式会社
人事部

2007年にサントリーホールディングス株式会社に入社。首都圏をはじめとする日本各地の酒類営業職に9年間従事した後、大きくキャリアチェンジをし、2016年に人事部採用担当に着任。採用戦略の企画・立案から実行まで幅広く担当する中で、新たなキャリアへの挑戦を続けている。

サントリーホールディングス株式会社は、全世界をフィールドに酒類や飲料、健康食品等の領域において数多くのブランドを展開しています。飲料メーカーとして国内で首位の売上高を誇る同社の強みは、単にモノを作るのではなく「生活文化を創造し続ける」力。果敢なチャレンジ精神をあらわすサントリーのDNA「やってみなはれ」の価値観は、今なお力強く息づいています。創業122年を迎える今、サントリーはこれまで以上に「多様性に富んだ人材」を求めていると言います。いかにしてそのような人材を見極めるのか。そしてサントリーが伝統的に大切にしてきた「学生をお客様としてとらえる」という採用ポリシーを、いかに多人数のチームで継承していくのか。数々の課題に取り組む、人事部の杉田様にお話を伺いました。

※本内容は2021年7月20日、21日に行われた「HUMANAGE SEMINAR Online Fes 採用戦略2023―企業事例から、VUCA時代の“採用成果”を考える」の内容を編集したものです。

B to C企業ならではのホスピタリティを、採用活動にも発揮

サントリーと言えば日本を代表するB to C企業の一つです。事業の中でも大切にされている「お客様志向」は、やはり採用活動にも活かされているのでしょうか。

企業として大切にしている「お客様志向」は採用活動においても同様です。サントリーの採用チームは、伝統的に「学生をお客様としてとらえる」ことをモットーとし継承しています。当社に応募してくださる学生の皆さんの中には、サントリー製品をご愛飲いただいている方がたくさんいらっしゃいますし、将来のお客様になる方もいらっしゃるかもしれません。ですから我々採用担当者も、お客様に対するのと同様のホスピタリティをもって、学生の皆さんに接しています。

2022年新卒採用は、昨年に引き続き新型コロナウイルスの流行下で行われました。2年目となったコロナ禍における採用活動では、どんな変化がありましたか?

昨年はオンライン化に対応することがやっとというのが正直なところでしたが、今年はオンラインならではの施策にもしっかり取り組めたのではないかと思います。例えばプレ期のインターンシップでは、オンラインを最大限に活用しコンテンツを開発しました。具体的には、営業やマーケティングなどの職種ごとに40分程度の仕事紹介動画を制作し、学生の皆さんにはまず動画で当社のことを学んでいただくようにしました。その後、動画で講師として出演している社員とのライブ質問会を実施し、直接質問できる機会を設けました。この方法であれば、学生は自分のタイミングで当社のことを学び、かつ疑問点があれば社員に直接質問することもできます。学生にとって、効率的に時間を使えるコンテンツができたと思います。

まさに学生に対するホスピタリティが発揮された施策ですね。

2022卒では4日間のオンラインインターンを実施しました。Day1は私から会社説明を行った後、簡単な懇親ワークを実施しました。Day2からDay4までは各職種の社員が登場するという構成です。当社はジョブローテーションが活発で、さまざまな職種を経験するチャンスがありますので、インターンシップを通じて「具体的にどのようなキャリアを歩めるのか」をわかっていただける内容を目指しました。

とても充実したインターンですが、かなり多くの社員の協力が必要となりそうですね。

ありがたいことに、当社の社員は採用に対して協力的な方がとても多いです。その点においては採用担当としても非常に助かっています。

採用ビジョンを緻密に共有するチームビルディング

貴社の新卒採用は、どのような体制で行われているのですか?

メンバー約20名、マネージャー約10名、合計30名程度のチームで稼働しています。

メンバーは毎年固定されているのですか?

いえ、毎年採用チームメンバーのうち3分の1程度が入れ替わり、採用活動に初めて参加します。サントリーの採用には、伝統的に継承されてきたノウハウやスキルが数多く存在します。ですので、経験者がそれらの知識を新しいメンバーに伝えることにも注力しています。

新しく参加するメンバーが多いと、ノウハウやスキルを継承することが難しくなりそうです。具体的にはどのような取り組みをされているのですか?

シーズンを通してステップごとに採用業務を学べる育成プログラムを整備し、しっかりとしたチームビルディングを行っています。まず、シーズン開始時にはキックオフミーティングを開き、「サントリーの代表として学生の前に立つ」というマインドセットからはじめます。その後、面接に初めて入る方には面接の基礎講座を受けていただきます。外部講師による面接の実践トレーニングも行います。最後に、システムの使い方や面接当日のオペレーションなどもしっかり確認します。学生の皆さんは、面接に向けて相当な時間をかけて準備されていると思います。その思いを迎える私たちも、それに見合った準備をしなければならないと考えています。

一通りの経験を積んだメンバーがさらに成長するために、新たな役割やミッションを与えていく仕組みもあるのですか?

採用のノウハウやスキルを継承するためには、各自が当事者意識を持ってノウハウやスキルを習得し、実践していくことが大切です。そのために今年当社が取り組んだのは、20名のメンバーをさらに少人数のユニットに分割することです。各チームのリーダーには採用経験者を配置しました。リーダーはコーチ、メンターとしてメンバーの日々の悩みを解決するとともに、面接・面談にも同席してもらいました。少人数のチームを作ることで、チーム内の意見交換が活発になり、ノウハウやスキルの吸収が例年よりスムーズに浸透したと感じます。

合理的な施策ですね。しかし、少人数のユニットに分割すると、面接の評価基準などを統一するのが難しくなるのではないでしょうか。

確かにその点は一番難しいところです。採用チーム全体の評価基準はもちろんあるのですが、人によって若干の「誤差」が出てくることは避けられません。そこで大切にしたことは、わずかな「違和感」を曖昧にしないことです。具体的な仕組みとしては、面接後に必ず全員で合議をする時間を作り、じっくりコミュニケーションを取ります。少しでも面接について不安がある人はその後残って更に話し合い、解消してもらう。その日の疑問はその日に解決する事を大切にしました。

コンピテンシー面接で「多様性に富んだ人材」を発掘

改めて、サントリーの採用チームで、モットーとして掲げていることは何でしょうか?

冒頭にもお話しした通り、「学生をお客様としてとらえる」ことです。具体的に言えば、出来る限り学生の皆さんの希望にも応えたいと考えています。例えば面接の日程調整は可能な限り学生の希望に沿って対応していますし、メールでの問い合わせにも、個別にすべて文章を考えて返信しています。そうした一つひとつの積み重ねを通して、私たちの学生の皆さんに対する思いが少しでも伝わればと思っています。

今期はどのような採用課題を持ち、取り組まれたか教えていただけますか。

尖った個性や行動力を持つ人材を、もう少し採用したいということが最大の課題でした。実はこれは長年にわたる当社のキーワードだったのですが、具体的にどう取り組めば良いのかが分からず悩んでいるところだったのです。そこで今年は、「学生の印象+“成果の再現性”を採用基準とする」という新たな方針を打ち立て、採用チーム内で共有しました。いわゆるコンピテンシー(成果を出せる人の行動特性)を重視した選考です。

実際にどのように見極めを行ったのでしょうか。

もちろん、今までと違った切り口で選考を行うのは簡単ではありません。当社の面接経験者たちも過去の自身の面接を振り返ってみれば、「ハキハキ話す学生」や「まっすぐな熱意を持つ学生」など、印象の良い学生を高く評価する傾向があったように思います。もちろんそうした印象も大事ではあるのですが、今年は学生時代の取り組みから想像できる、ビジネスシーンにおける「成果の再現性が高い学生」を積極的に評価しよう、という考え方を採用チームで徹底し、コンピテンシー面接を実践しました。

面接では具体的にどのような工夫をされたのでしょうか。

対話を通じて学生の過去の体験を掘り下げ、ウィークポイントではなくストロングポイントを引き出すことを意識しました。たとえ一つのエピソードでストロングポイントが見つからなくても、違う話題に切り替えれば見つかるかもしれない。限られた時間の中で、すべての学生からいかにストロングポイントを引き出せるか、ということを目指しました。そのために面接官全員がそれを引き出せる質問術をマスターできるよう、事前のトレーニングも十分に行いました。

まさに「学生をお客様としてとらえる」モットー通りの、誠実な採用スタンスです。最後に、採用活動における今後のビジョンについてお話しいただけますか。

サントリーという会社に、多様な個性、バックグラウンド、価値観を持った方が集まるような採用活動を展開したいと考えています。そのためには採用プレゼンスをさらに高めなければならないでしょう。おかげさまで、ここ3~5年ほどの間で確実にステージアップできているという手応えを感じています。もちろんサントリーを辞退して他社を選ぶ学生もいますが、中でも私たちが一番悔しいと思う辞退理由は、「他社の方が成長できると感じたから」というもの。そのようなケースをなくしていけるよう、十分に成長できるフィールドがサントリーにはあるということをしっかり発信し、サントリーを「成長軸で選ばれる会社」にしていけるような採用活動を展開したい。そう考えています。


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