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人材不足を背景に採用が高難易度化し、新たな採用手法が模索されている昨今。その中で関心を集めているのが、人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」です。本記事では、タレントプールを活用した企業の採用事例をご紹介します。
同シリーズの前回の記事はこちら:
タレントプールの活用法
タレントプールは、一度接点をもった候補者をプールするデータベースです。中長期的にゆるやかな接点をもち続け、将来的な採用候補者として情報発信やイベント案内を行うことがねらいとなります。
・新卒採用で接点をもった候補者を、キャリア採用の候補者としてプールする
・低学年キャリア教育で接点をもった候補者を、新卒採用の候補者としてプールする
・退職者(アルムナイ)をプールし、接点をもち続けるためのプラットフォームとして活用する
・入社した社員の採用選考結果をプールして、タレントマネジメントに活用する
・過去の採用選考応募者をプールして、再応募がきた際の照会に利用する
このように、自社の目的やニーズに合わせたさまざまな活用が広がっています。
タレントプール 各社の事例
ここでは、どのような対象者に対してどのような運用を行っているのか、タレントプール活用の企業事例をご紹介します。
【対象:新卒・キャリア採用の内定辞退者】
辞退理由や選考評価を把握し、その後のアプローチに活用
キャリア採用に苦戦していたある商社では、新卒採用の内定辞退者を対象に、タレントプールの運用を行っています。具体的には、辞退した候補者をタレントプールシステムに移行する、というものですが、その際候補者へアンケートを実施するしくみにしているそうです。設問は、同業に決めたのか、他にもやりたいことがあったのか、(キャリア採用であれば) 転職すること自体をやめたのか、など、辞退理由やキャリアについての現在の考え方を聞くもので、これらをもとに再アプローチすべき人材を把握し、長期的な採用成果に向けて取り組んでいるとのことでした。
【対象:新卒採用の辞退者】
個人の志向を把握し、興味喚起する情報を発信
ある金融系企業のケースでは、例えば新卒採用を辞退してIT系企業に入社した候補者に対しては、金融とITを融合した事業の取り組みやプレスリリースを発信するなど、個人に応じた情報提供を行っているそうです。自社がネクストキャリアの選択肢になれるよう、コンテンツによる接点を設計し、個別のアプローチを行っているとのことでした。新卒採用時の情報や初回のアンケートで情報を取得し、その後の接点に活かすことで、より効果的な関係育成(ナーチャリング)が見込めると考えられます。
【対象:大学1、2年生】
若年層のキャリア教育から採用候補者へ
ある食品メーカーでは、「“食”と“働く”を考えるワークショップ」を大学1、2年生向けに開催し、その案内や手続きを採用管理システムで行ったとのこと。自社のPRではなく、食の未来を担う若者に対して、キャリア教育を絡めたテーマを投げかけ、ともに考える機会と位置づけました。就職活動への意識が高く、将来食に携わることに興味がある候補者と早いうちから出会えることで、インターンシップ案内対象学年になった時点でインターンシップマイページの誘導を行えることはもちろん、おのずと自社のファンを増やしたことで、スムーズな母集団形成につながると分析しています。今後は、プールした学生に月に数回メールマガジンを送り、その開封率や反応を分析してアクションにつなげていきたいとのことでした。
【対象:退職者】
退職者を「卒業生」と位置づけ、カムバック採用を促進
退職した社員を再び採用するカムバック採用の実績があったあるエンタメ系企業では、退職者に退職者専用のタレントプールサイトを案内し、退職後もゆるやかにつながり続ける層を増やすことに取り組みました。データベースには、社員時代の評価や現在の業界や職種、転職理由などのデータを入れておくことで、その後の個別のアプローチに活かしているほか、最近の会社の取り組みや卒業生同士で情報交換できるイベントに招待するなど、社員や卒業生が交わる機会づくりを行っているといいます。その結果、スキルを身につけて戻ってくる人材、会社のファンでいてくれる卒業生が増え、社内外で良い効果を感じているとのことでした。
まとめ
タレントプールは「人材のデータベース」のため、データがあればさまざまな活用が可能です。採用管理システム等、多彩な機能が搭載されたツールやシステムを利用することで、利便性高く、効率的に人材へのアプローチや接点づくりを継続することができます。
まずは人材データを蓄積し、絞った対象者でのタレントプールや再応募時の照会など、ミニマムに活用を始める企業も多くみられます。未来の採用可能性に向けて、今後もタレントプールの事例はますます増えていくと考えられます。
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