HR INFORMATION
採用活動がオンライン化し、さらにさまざまな動画SNSが一般化したいま、動画は応募者に向けたアプローチ手法の中で重要な位置づけにあると言えます。これまで、採用動画を作成する際には制作会社に依頼をするのが一般的でしたが、近年では、スマートフォンでの撮影や簡易な編集ツールの利用も広がり、「伝えたいこと」を「伝えたい温度」で「スピード感」をもって届けることが可能になりました。実際に、そのような手法も取り入れながら、採用ご担当者自身がコンテンツプロデューサー/マーケターとして採用成果につなげているケースもみられます。
今回は「採用動画」にフォーカスし、動画を通じてより効果的に応募者へアプローチするために、採用ご担当者に求められる視点について考えていきます。
オンライン下で変化する採用動画の在り方
以前の採用広報は、採用サイトやマイページ、パンフレットでテキストや画像を使って紹介したり、対面式の会社説明会で直接プレゼンテーションを行ったりやり方が主流で、動画はあくまで補足的な使われ方をすることも多くありましたが、近年は動画を活用した採用広報も主流になりました。その背景として考えられるのが、オンライン採用広報の位置づけの変化です。コロナ禍で対面式の集合型イベントの実施が難しくなったことをうけ、必然的にオンラインで会社情報を発信する必要性が高まりました。特に、説明会シーズンにはライブ配信型のセミナーが急速に普及し、ライブ型/オンデマンド型/その他の動画コンテンツの使い分けが注目されるようになっています。また、昨今の応募者の多くは、「動画で情報を得る」という体験に馴染みが深いと言えることも一因です。動画配信サイトが一般化したことはもとより、動画は文字や画像に比べて情報量が多い、雰囲気や様子を掴むことができると認識する応募者が増えたことも、このニーズの高まりに影響しています。
動画は文字に比べて多くの情報を伝えられること、自社の雰囲気や社員の様子がそのまま届けられることから、採用広報においてメリットの多い手法として知られていますが、動画という大掛かりな広報物を制作すること自体に重点が置かれていた数年前に比べ、最近では、そのスピード感や活用方法、届け方など、採用マーケティングの一環としての動きが重要視されるようになりました。
採用ご担当者が自らスマートフォンで撮影した動画を使用したり、従来は長時間にわたり企業説明をしていたセミナーを細分化して編集を施し、ひとつひとつの項目を短い時間で紹介するコンテンツにかたちを変えたりと、採用フェーズや応募者の段階に応じたニーズにあわせて、採用広報全体の設計の中に、「動画」を効果的に組み込む考え方が求められています。「動画をつくる」「制作会社に依頼する」といったこれまでの枠組みを超え、自社の採用活動やその目的に合わせた活用の視点が重要です。
マーケティングAIDMAで考える活用プロセス
採用動画をマーケティング視点で活用する際にポイントとなるのが、応募者の興味や理解のフェーズにあわせ、効果的な方法で応募者に届けることです。そこで参考にしたいのが、消費者が商品やサービスの購入を決めるまでを表す代表的なマーケティングモデル。ここでは「AIDMA(認知→興味→欲求→記憶→行動を示すモデル)」を例にあげ、採用広報になぞらえたときの、動画活用の考え方をご紹介します。
Attention(認知)
採用広報の初期段階で企業を認知してもらうためには、コンセプトムービーの活用がおすすめです。何をしている会社なのか、どんな人が働いているのか、動画を通じて直感的に理解してもらう内容を目指します。自社にまだそこまで興味のない層を惹きつけるフェーズのため、企業ブランディングを重視し、制作会社に依頼する企業が多いようです。
Interest(興味)
会社の大まかなイメージを掴んでもらった後は、事業や職種にフォーカスし、応募者の興味をさらに高めていきます。最近はインタビューや社員の一日の様子などをドキュメンタリータッチで紹介するものが多く、絵づくりやカメラの台数などで仕上がりが変わるため、制作会社に依頼するのが一般的です。
Desire(欲求)
イベント参加や選考に進んでもらう前には、網羅性をもったオンライン説明会(Webセミナー)で漏れなく情報を伝達することがポイントです。座談会や工場見学を盛り込んだり、ライブ配信で双方向のコミュニケーションを行ったりなど、応募者の「知りたい」に応える内容に。
Memory(記憶)
ここまでに核となる動画ができてしまえば、枝葉の魅力訴求は手づくりで親近感を演出。採用担当からのメッセージや社内カルチャーの発信、社内探訪(写真ギャラリー)など、定期的に接点をもつことで、応募者の記憶に残り、関係を育成していきます。マイページで公開することで、閲覧率や反応を集約し、次のアクションにも活用できます。
Action(応募/入社)
応募や入社など、さまざまなアクションにつながるときには、これまでの情報が届きやすい導線づくりも重要です。「最近興味を持って、応募を検討している人にみてほしい」「選考直前のおさらいとしてみてほしい」「内定者にみてほしい」などの目的をいま一度整理し、わかりやすくページなどにまとめることで、ねらった効果に繋がりやすくなります。
まとめ
これからの動画活用においては、動画をあくまでアプローチの選択肢のひとつとして捉え、「映像の質」ではなく、「情報の質」「コミュニケーションの質」に重点を置いた取り組みが求められます。自社の魅力が過不足なく伝わる内容であること、動画というひとつのコンテンツが、効果的に活かされるコミュニケーション設計ができていることを確認しながら、採用広報を進めていくことが重要です。
自社の雰囲気がそのまま伝わりやすいという性質をもつ動画だからこそ、その活用の在り方に企業の“らしさ”があらわれるのだと考えられます。
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