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Interview

見極めるべきは、パーソナリティとポテンシャル
ジョブ型採用を導入した資生堂の狙いと目的

RECRUITMENT

Published on 2025/05/23

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Profile

佐藤 限Gen Sato

株式会社資生堂
ピープル&カルチャー本部 採用グループ

2017年新卒入社。中四国事業本部に配属後、営業担当として約4年勤務。2021年1月にピープル&カルチャー本部へ異動し、以来、マーケティング領域の新卒採用に携わる。

化粧品メーカーとして150年以上の実績を誇る株式会社資生堂。日本をオリジンとしたグローバル展開を早期から進め、現在では海外売上比率が73%にまで拡大しています。採用においては、同社の心構えとして定めた「TRUST 8」にマッチする人材を求めるとともに、「各部門でイノベーションを起こせる人材」を育成すべくジョブ型採用を導入。ジョブごとに採用担当者が裁量をもって採用活動を行っています。今回は、マーケティング領域の新卒採用を担当されている佐藤様に、「応募者のパーソナリティとジョブのポテンシャルを評価する独自の採用施策」について詳しく伺いました。

ジョブ型採用で、イノベーションを起こせる人材を採用

まずは、貴社の事業内容や強みについてご紹介いただけますか。

当社は、1872年創業の化粧品メーカーです。150年以上にわたる歴史をもち、創業以来、人のしあわせを願い、美の可能性を広げ、新たな価値の発見と創造を目指してきました。同時に、創業当初から世界を見据え、日本をオリジンとしたグローバル展開を進めてきたことが大きな特長です。現在は中国、アメリカ、ヨーロッパを主なマーケットとし、海外売上比率は73%に及びます。国・地域・組織・ブランドを問わず、世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニーを目指しています。

創業当初から世界を見据えた事業を展開してこられたのですね。新卒採用においては、どのような人材を求めていらっしゃいますか。

当社では、社員の心構えとして「TRUST 8」を掲げており、「THINK BIG(ものごとを大きく捉えよう)」「TAKE RISKS(リスクを恐れず挑戦しよう)」など、8つの心構えを通じて信頼を獲得していくことが最も重要だと考えています。新卒採用でもこの「TRUST 8」をベースに選考を進めており、ホームページ等で公開していることもあって、TRUST 8に共感して応募してくださる方々が多くいらっしゃいます。

近年、貴社は新卒採用で「ジョブ型採用」を導入されています。総合職の一括採用からジョブ型採用に切り替えた背景や目的をお聞かせください。

当社独自の概念として「ジョブファミリー」が生まれたことが、ジョブ型採用導入の大きなきっかけです。従来のように一括採用でゼネラリストを育成する方法も重要ですが、よりイノベーションを起こし続けていくためにはどうすべきか検討した結果、各ジョブで専門性を高めていくスペシャリストを育成しようという方針が生まれました。そのため、社内で約20種類のキャリア・専門性を軸とする「ジョブファミリー」を定め、ジョブ型人事制度を導入。新卒採用においてもジョブ型採用を取り入れ、ジョブごとに採用窓口を設けています。

いつ頃からジョブ型採用を実施されているのでしょうか。

当社では10年以上前からジョブ型採用を導入しています。実は私自身もジョブ型採用の「セールス職」で選考を受け、入社しました。ジョブはセールス、マーケティング、HR(人事)、サプライチェーンなどに分かれており、社員が自ら望むキャリアを柔軟に選択できる制度も整備しています。私自身もその制度を活用して、セールスからHRへキャリアチェンジを行いました。

ジョブ担当と現場社員がタッグを組み、ポテンシャルを評価

各ジョブの採用担当者の役割についてお聞かせください。

ジョブごとに採用担当者が専門性を発揮しながら責任を持って採用を行っています。私はマーケティング領域を担当していますが、ここでは「資生堂のブランドマーケティングを担う」という大きな使命があります。求められるスキルや役割を踏まえ、ジョブのスペシャリストとしてのポテンシャルを有する方を見極めるのが担当者の役割です。

採用担当者は、担当ジョブを深く理解する必要があるのですね。

はい。先ほど申し上げた「ジョブファミリー」を軸として、採用でも各部門と密に連携しながら進めています。特にインターンシップでは、応募者が満足し、かつ当社を深く理解できる場を提供するために、現場社員から役員まで多くの社員に協力を仰ぎ、プログラムを設計・構築しています。

「TRUST 8」をベースに選考を進めているとのことですが、どのような施策を行われているのでしょうか。

エントリー時にエントリーシートとあわせて「動画」を提出していただいています。3分間という時間内で与えたテーマについて語っていただく形式で、動画制作に関しては特に制限を設けていません。応募者の思考回路やテーマの解釈の仕方から、その方の人柄や考え方を判断しています。

動画選考は珍しいですね。応募者の「らしさ」を把握しやすそうです。

そうですね。応募者の皆さんは本当に多種多様な方法で動画を作ってくださいます。ワンショットで一気に撮る方もいれば、編集を加えてテロップを入れる方もいます。そうした映像表現から、それぞれの個性や意欲が伝わってきますし、「TRUST 8」を軸にパーソナリティを把握するうえでも、とても有効な手段だと感じています。

貴社では通常の選考に加え、採用直結型のインターンシップも実施されているとうかがいました。

ジョブによって時期や内容に差はありますが、たとえばブランドマーケティング領域は夏に採用直結型インターンシップを実施しています。その後に本選考を行いますが、インターンシップ枠で必要な人数を確保できた場合は、本選考自体を実施しないケースもあります。

採用した学生が、資生堂を強固にする人材に育ってほしい

採用全体の中で、インターンシップは大きな役割を担っているのですね。

はい。先ほどもお伝えしたとおり、インターンシップは長い準備期間をかけて部門社員と協力しながらプログラムを設計するため、応募者との対話を深める貴重な機会でもあります。私たち採用担当者にとっても、応募者と膝を突き合わせて話ができる重要な場ですね。

インターンシップでは、具体的にどのようなプログラムを行われているのでしょうか。

グループワークを主軸としたプログラムを組み込んでいます。エントリー時点で実施した適性検査の結果とも照らし合わせながら、成果に結びつける力やストレス対処力などを総合的に見極めています。インターンシップは、応募者一人ひとりの考え方や行動を間近で観察できる場です。「どのように議論を推進しているのか」「どのような視点をもって課題解決に当たっているのか」を把握することで、入社後にどのポジションで活躍できそうか、より具体的にイメージできるようになります。

インターンシップに参加された学生の反応はいかがですか。

当社の雰囲気や業務内容をより深く体感できるとあって、非常に好評です。実際にオフィスに入って社員と直接話ができるため、当社への理解が深まるうえに、採用直結型ということもあってモチベーションが上がるという声をよくいただきます。インターンシップを通じて当社に愛着をもってくれた様子が伝わってきますし、その後の選考への意欲にも大きくプラスに働いているように感じます。

採用担当者としては、どんな部分にやりがいを感じていらっしゃいますか。

毎年多くの方が応募してくださる中で、最終的に内定を出すのは一部です。だからこそ、しっかりと応募者一人ひとりと向き合い、その方らしさを理解したうえで採用の判断を行うよう努めています。手間や時間はかかりますが、実際に入社した学生が社内で活躍しているのを見るのは大きな喜びですね。先日も、新入社員が社内プロジェクトで登壇する場面を見かけて、採用担当として胸が熱くなりました。

最後に、佐藤様ご自身の今後の展望をお聞かせください。

私は現在、新卒採用の業務を担当していますが、ゆくゆくは採用した方々が当社で活躍するための育成にも携わりたいと考えています。そして、その結果として当社をより強くしてくれる人材が育ってくれれば、こんなにうれしいことはありません。もちろん、私自身も採用や育成の過程で学びながら、資生堂がよりポジティブな組織となるよう貢献していきたいと思っています。


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