1998年、写真映像チェーンのジャスフォートに入社。店長経験を経て、2年目から採用業務に就く。2008年、同社のキタムラへの吸収合併に伴い、キタムラに入社。社員教育を担当したのち、2012年から採用担当となる。現在は株式会社カメラのキタムラの組織開発部長を務めると同時に、株式会社キタムラの採用責任者、並びに株式会社キタムラ・ホールディングスの採用・活躍推進プロジェクトの推進を兼任する。
森 智子Tomoko Mori
株式会社カメラのキタムラ
執行役員 組織開発部部長
株式会社キタムラ
人事部 採用Gマネジャー
1998年、写真映像チェーンのジャスフォートに入社。店長経験を経て、2年目から採用業務に就く。2008年、同社のキタムラへの吸収合併に伴い、キタムラに入社。社員教育を担当したのち、2012年から採用担当となる。現在は株式会社カメラのキタムラの組織開発部長を務めると同時に、株式会社キタムラの採用責任者、並びに株式会社キタムラ・ホールディングスの採用・活躍推進プロジェクトの推進を兼任する。
写真映像専門チェーン「カメラのキタムラ」と、子ども写真館「スタジオマリオ」を全国で1000店舗以上展開しているキタムラは、90年以上の歴史を誇る業界の老舗企業です。同社の採用の特徴は、Webコンテンツと面接などのリアルな接点を活用し、応募者との相互理解を深める姿勢にあります。「応募者全員と面接で話す」という丁寧なコミュニケーションを通じて、「キタムラIZM」に合致した人材の採用を実現しています。「“思い出プロデューサー”にふさわしい人を採用する」という目標を掲げる森様に、お話を伺いました。
まずは、改めて貴社の事業についてご紹介いただけますか。
当社は、写真映像専門チェーン「カメラのキタムラ」と子ども写真館「スタジオマリオ」を全国で1000店舗以上展開しています。写真業界でトップクラスの規模と、90年にわたる歴史に裏打ちされた強固な顧客基盤が強みです。一方で、近年はEC事業も好調で、EC関与比率は6割を超えています。また、アップル製品の正規修理サービスやリユース事業も成長しています。
採用ポリシーや求める人材像について教えてください。
2024年、創業90周年を迎えるにあたり、採用コンセプトを刷新し、採用サイトも全面的にリニューアルしました。企業の平均寿命が30年以下と言われる中、90年続けてこられたのは、時代の変化に柔軟に対応し、絶えず進化を続けてきたからです。この背景から、今後さらに柔軟に変化に対応できる人材を求めたいという思いを込め、採用サイトのデザインと内容を一新しました。同時に、創業以来変わらない「キタムラらしさ」も大切にしています。当社のフォト事業は、心に響いた瞬間を思い出として残すことを支える仕事です。その「思い出をプロデュースする仕事」に共感できる方と共に働きたい、というメッセージをサイトに込めました。
新しい採用サイトでは「未来の思い出プロデューサーへ」というキャッチコピーが印象的ですね。制作の際に注力された点はどのような点でしょうか。
まず、全体のイメージカラーを、キタムラを象徴する赤色に統一しました。明るく元気な社風をストレートに伝えたいという意図からです。特にこだわったのは、90年以上の歴史で培った「キタムラらしさ」を伝えるために新設した「キタムラIZM」というコンテンツです。この企画は、当社の全従業員に、創業者の残した言葉の中から最も共感できるものに投票してもらい、特に支持を集めたものを採用しました。トップに掲げた「親切が先、商売はあと」という言葉は、目の前のお客様を大切にするキタムラの理念をよく表しています。「明るく、朗らか、のびのび」も、当社の人材観を端的に示す言葉です。このページを見れば、「キタムラで働く人がどんな人か」が自然に伝わると思います。
「キタムラ5つのアセット」や「キタムラの歴史と事業」のページも、ビジネス理解を深める上で重要なコンテンツになっていますね。
ありがとうございます。当社は全国に多くの店舗を展開しているため、「カメラのキタムラ」と「スタジオマリオ」の会社というイメージが定着していますが、ECビジネスやその他の事業については知られていない部分もあります。そこで、採用サイトでは当社の多岐にわたるビジネスモデルを網羅的に紹介し、会社全体の全貌を一目で把握できるよう工夫しました。社員インタビューやキャリアパスに関する情報も掲載し、キタムラの魅力を幅広く伝えています。
採用サイトとは別に、登録者のみが閲覧できるマイページコンテンツも非常に充実しています。どのような意図で展開されているのでしょうか。
マイページでは、当社に興味を持った方に向けて、より詳細で深い情報を提供しています。CMSを活用して制作しているため、ページの追加や修正が容易で、常に最新の情報を発信できるのが強みです。また、インターンシップの告知もマイページで行っており、従来のメール形式よりも視覚的に魅力を伝えることができ、イベント集客においても非常に効果的です。
採用サイトとマイページの使い分けが見事です。それと同時に、貴社では面接を重視した学生とのコミュニケーションも大切にされているそうですね。
当社では、新卒採用が始まって40年以上、書類選考は行っておらず、すべての応募者と面接を行っています。学歴やエントリーシートだけで判断するのではなく、直接会って話すことでお互いを理解し合うことが重要だと考えているからです。説明会に参加した学生の多くが選考に進んでくれるため、一次面接の人数はかなりの数に上りますが、直接のコミュニケーションから得られるメリットは非常に大きいです。
一次面接の前に、学生に「どのようなことを面接で聞きたいか」というアンケートを実施されていると伺いました。
面接は、企業が学生を評価するだけでなく、学生が企業を評価する場でもあります。そのため、学生が感じている疑問は面接の場で解消してもらいたいと考え、事前に質問をアンケートで集めています。これにより、面接官も準備を整え、学生も必要な情報を確実に得られるため、双方にとってメリットがあります。
手間を惜しまない姿勢が、貴社の面接に対する真剣さを物語っていますね。面接が採用に与える影響について、どのようにお考えですか?
一次面接は時間が限られているものの、書類だけでは分からない学生の人柄を直接知る貴重な機会です。特に、当社では多くの従業員が店舗でお客様と接するため、面接官自身が「初対面でどのような印象を学生に与えるか」を意識し、それを学ぶことが重要だと考えています。面接は、学生を評価するだけでなく、学生が会社を判断する場でもあるため、面接官自身が自信を持って自社の魅力を伝えることが求められます。また、学生にとっても、面接官とのやり取りを通じて当社との相性を確認できる大切な機会です。当社の面接官は全員、「明るく、朗らか、のびのび」というキタムラの理念を体現しており、こうした雰囲気に共感していただける方に、ぜひ入社していただきたいと考えています。
面接が学生の惹きつけにも効果を発揮しているのですね。内定者向けの施策も行われているとお聞きしました。
今年から、フォト事業ならではの魅力を内定者に伝えるために、内定者向けの「フォト散歩」イベントを開始しました。内定者のグループが、写真映えするスポットで撮影を楽しんだ後は、現像やフォトグッズ作成を体験してもらうというものです。内定者同士が打ち解けやすくなるということもありますが、一層の事業理解にもつながります。入社前にこのような形で絆を深め、思い出を共有してもらうことで、彼らがキタムラに一層愛着を持って入社してくれることを期待しています。
コンテンツによる情報発信と直接のコミュニケーションを通じて、企業理解を深める取り組みが行われているのですね。最後に、今後の採用活動に向けた目標を教えてください。
当社は全国に店舗を展開しているため、新卒採用では例年、大規模な採用を行ってきました。しかし、今後は労働人口の減少に伴い、より戦略的な採用活動が求められます。採用人数が減少しても、入社した社員が確実に定着し、活躍できるよう、入社後のギャップを最小限にすることが今後の大きな課題です。これまでの「学生と直接話す」というキタムラらしい採用スタイルを大切にしつつ、HRテクノロジーの導入なども積極的に検討し、最適な採用手法を模索していきたいと考えています。
Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
新たな採用手法の実現方法を紐解きます。
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