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Interview

「らしさ指数」の策定で、マッチング向上へ。
クオールが適性検査活用で目指す「人事領域最適化」

RECRUITMENT

Published on 2024/11/01

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Profile

中島 大豪Daigou Nakajima

クオール株式会社
人事本部長

薬剤師として新卒で入社後、店舗や店舗開発部門を経験。その後、医薬品開発治験会社に出向。薬局事業部門責任者を経て、現在は人事部門の責任者。

後藤 俊和Toshikazu Goto

クオール株式会社
東日本採用本部採用企画部長 兼 西日本採用本部採用企画部長

2006年11月に中途入社。以来、一貫して採用業務に携わる。現在は採用企画業務を中心に、薬剤師、医療事務、本社スタッフの新卒・中途採用に従事。

「わたしたちは、すべての人の、クオリティ オブ ライフに向きあいます。いつでも、どこでも、あなたに。」を企業理念に掲げ、全国に調剤薬局を展開しているクオール株式会社。新卒採用では薬剤師や医療事務、本社総合職などを職種別に採用しており、「適性検査」と「対面によるコミュニケーション」を組み合わせた施策により、高精度の採用を実現。検査結果から導き出された傾向をもとに、独自の「クオールらしさ」指数を導入するなど、ユニークな試みをしています。そこで今回は、適性検査の活用をテーマに、人事本部長の中島様と採用企画部長の後藤様にお話を伺いました。

適性検査で応募者の傾向を見極め、面接で行動への積極性を評価する

貴社では、適性検査と対面での面接を組み合わせた選考を実施されていると伺っています。適性検査においては、どのような視点から応募者を評価されているのでしょうか。

後藤:
新卒採用では薬剤師を中心に、医療事務や本社総合職などの職種を募集・採用していますが、いずれの職種においても「患者さんに寄り添いながら、自身の能力を最大限に発揮する姿勢」を求めており、適性検査では「顧客志向性」の指標を用いて評価しています。また、処方せんに基づき調剤・投薬を行う薬剤師は、「患者さんの命を支える」という責任の重い役割を担っているため、過誤が許されません。そのため、「緻密さ」という項目にも特に注目しています。

近年は、「変化に対応する力」や「リーダーシップ」も適性検査で見極めているとお聞きしました。

中島:
「変化に対応する力」や「リーダーシップ」は、近年、薬局を取り巻く環境の大きな変化に伴い新たに注目するようになった指標です。変化を柔軟に受け入れつつ、リーダーシップを発揮しながら新しい薬局づくりを主導できる能力を見極めるために「成果を発揮する力」を参考にしています。

幅広い観点から応募者を評価されているのですね。

中島:
薬剤師採用では、これまでお話した指標に加えて、「ストレス対処力」も参考にしています。薬剤師は日々、患者さんや医療従事者と関わります。特に、病気やケガで苦しむ患者さんに対しては、対応に細心の注意が必要です。そのため、適性検査を用いて「ストレスに対する対処力」や「ストレスからの回復力」といった傾向を見極め、適切な対応ができるかどうかを評価しています。

適性検査で「顧客志向性」や「緻密さ」「成果を発揮する力」「ストレス対処力」などの指標を参考にされているとのことですが、これらの能力を面接の場でどのように確認されているのでしょうか。

中島:
検査結果で傾向を確認し、面接で「どのように行動に移しているか」を具体的に掘り下げて聞いています。これはすべての指標に共通するアプローチであり、それぞれの項目に関して具体的なエピソードまで聞くようにしています。例えば、ストレス対処力に関しては、薬学生は進級の難易度が非常に高く、わずかな油断で留年につながる厳しい環境にあります。そこで、「留年に対するストレスをどのように解消しているか」という問いを通じて、その対処方法を確認しています。

エピソードを掘り下げて聞くことで、どのようなことがわかるのでしょうか。

中島:
質問に対する応募者の返答は多種多様で、「大好きな映画を観てストレスを解消しています」や「留年せずに済むよう、授業後に先生にわからない点を徹底的に質問しています」など、いろいろな答えが返ってきます。これらのエピソードを通じて、ストレスに対して消極的に対処しているのか、積極的に対処しているのかがわかり、「入社後に患者さんとのやりとりで生じるストレスに対しても、適切に対応できるかどうか」を評価し判断することができます。

適性検査のデータと入社後の活躍を分析し、クオール独自の指数を導入

適性検査の結果を分析し、新たに「クオールらしさ」を示す指数を導入されたとお聞きしました。

後藤:
当社は20年以上適性検査を利用しており、豊富なデータを蓄積しています。「これらのデータを応用して新しい取り組みができるのでは」と考え、新たに導入したのが「クオールらしさ指数」です。新卒採用の面接では、採用担当者や配属部署の管理職など、さまざまな社員が介在します。そこで、複数の社員が共通した指標をもとに面接を進めていけるよう、検査結果から「入社後に活躍している社員の傾向値」を洗い出し、クオールらしさの指数としました。

特に薬学生の場合、他学部の学生と比較すると、適性検査の結果が低めに出る傾向があります。「他学部の学生よりも低い」という点にのみ注目すると、「この結果で本当に大丈夫なのか。当社で十分に活躍できるのか」といった懸念につながりかねません。しかし、検査結果が低い傾向にある薬学生であっても、入社後には患者さんから厚い信頼を得て、優秀な薬剤師として活躍している例が数多くあります。このように、適性検査の結果と入社後の活躍を関連付けて分析することで、クオールらしさがわかり、それを基に独自の評価指標を構築していきました。

新たに導入されたこの指数が、貴社にマッチする人材であるかを判断する軸となっているのですね。

後藤:
仰る通りこの指数には、「顧客志向性」や「緻密さ」など、これまでお話したような要素を盛り込みました。一方で、これからの成長を期待している能力についても、独自の指標を設けています。その一例が「イノベーション指数」であり、これは新たな取り組みを推進するための力を評価するものです。薬局を取り巻く環境は急速に変化しており、これから入社する社員には、リーダーシップを発揮し、果敢に新しい取り組みを推進していく姿勢が強く求められます。ただし、このようなリーダーシップやイノベーションの要素は、「クオールらしさ」と少し異なる部分があるため、別枠の指標として設けています。

実際に採用活動においてどのような効果があらわれましたか。

後藤:
クオールらしさを指標化したことで、より一層、精度の高い採用を実現することが可能となりました。また、イノベーション指数のように「今後新たに期待される力」を可視化することにより、「クオールらしさは弱いものの、イノベーション指数が高い」といった多角的な判断ができるようになりました。

適性検査で応募者を評価してから面接に臨んだ際、応募者に対する印象が変わることはありますか。

中島:
例えば、適性検査において人間性に関する指標を確認した際、当社が求める傾向値から外れた結果が出る場合があります。しかし、その方と実際にお会いし、お話を伺うことで、異なる印象を持つことも少なくありません。そのため、検査結果にかかわらず、必ず面接で直接確認し、「当社で活躍できる人材であるか」を総合的に判断するようにしています。

適性検査を通じて、人事領域全般で「人の活躍」を支える

企業独自の特性を表す指標を新たに策定されるなど、適性検査の積極的な活用が窺えます。

後藤:
ありがとうございます。これまで、主に新卒採用で適性検査を利用してきましたが、最近は中途採用でも導入しています。インターンシップなども含めると、新卒採用は応募者との接点が多く、時間をかけて合否を判断することができます。一方、中途採用は迅速に合否を決定する必要があります。だからこそ、適性検査のような客観的に見ることができるデータが、合否を決めるうえでの重要な判断軸になります。限られた時間での応募者とのやり取りでも、検査結果を踏まえて面接に臨むことで、双方にとってより適合度の高い選考が実現できると考えています。

新卒採用やキャリア採用以外の場面でも、適性検査を活用されているとのことですが、具体的にはどのような形で活用されているのでしょうか。

中島:
昇格試験でも適性検査を導入しています。一定の経験を積んだ社員を評価する昇格審査では、スキルや人間性を正確に見極めるのが非常に難しいためです。そのため、事前に適性検査を実施し、客観的なデータを参考にしながら面接を行っています。面接では、新卒採用と同様に、具体的なエピソードを通じて「過去にどのような成果を挙げてきたか」を掘り下げ、その成果に至るまでの「行動」に焦点を当てています。これにより、昇格のタイミングが適切か、あるいは時期尚早かを判断できるようになっています。

新卒採用やキャリア採用、昇格試験など、さまざまなフェーズで適性検査を利用することの効果について、どのように感じていらっしゃいますか。

後藤:
適性検査は、人材評価において有効な客観的データを提供してくれます。そのため、新卒採用や中途採用、昇格審査といった多様な人事領域において活用できるのだと思います。実際、同一の指標で人材を評価できる軸があることは非常に有益であり、運用が明確かつ理解しやすいものになっていると感じています。

適性検査の活用拡大が、今後の人事活動の成功に大きな役割を果たしそうですね。最後に、今後の採用活動で実現していきたいことがありましたら、ぜひお聞かせください。

後藤:
現在、クオールらしさ指数は主に新卒の薬剤師採用に用いていますが、今後は薬剤師以外の職種にも導入したいと考えています。客観的データに基づいて採用や昇格の是非を判断することで、より適切な人材活用ができると期待しています。

中島:
適性検査から得られるデータは科学的根拠に基づいたものであり、社員の能力や性格を深く理解するための貴重なデータです。今後は、社内においても適性検査を積極的に利用して、社員一人ひとりが最大限に能力を発揮できる環境を整えられるようにしていきたいと考えています。


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