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Interview

適性検査活用で実現する「科学的採用」
クオールが実践する面接での深掘術

RECRUITMENT

Published on 2024/10/25

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Profile

中島 大豪Daigou Nakajima

クオール株式会社
人事本部長

薬剤師として新卒で入社後、店舗や店舗開発部門を経験。その後、医薬品開発治験会社に出向。薬局事業部門責任者を経て、現在は人事部門の責任者。

後藤 俊和Toshikazu Goto

クオール株式会社
東日本採用本部採用企画部長 兼 西日本採用本部採用企画部長

2006年11月に中途入社。以来、一貫して採用業務に携わる。現在は採用企画業務を中心に、薬剤師、医療事務、本社スタッフの新卒・中途採用に従事。

「わたしたちは、すべての人の、クオリティ オブ ライフに向きあいます。いつでも、どこでも、あなたに。」を企業理念に掲げ、全国に調剤薬局を展開しているクオール株式会社。新卒採用では薬剤師や医療事務、本社総合職などを職種別に採用しており、どの職種においても「患者さんに寄り添いながら、自身の力を発揮する姿勢」を求めています。近年は、「適性検査」と「対面によるコミュニケーション」を組み合わせた採用施策により、これまで以上に高精度の採用を実現。人事本部長の中島様と採用企画部長の後藤様に、クオール独自の採用施策について詳しく伺いました。

「患者さんのために」という思いを実行に移す力を評価

まずは貴社の事業内容についてご紹介いただけますか。

後藤:
当社は、「わたしたちは、すべての人の、クオリティ オブ ライフに向きあいます。いつでも、どこでも、あなたに。」を企業理念に掲げ、全国に950店舗以上の調剤薬局を展開しています。創業当初より、大学病院や地域の基幹となる大型病院、街のクリニックまで、処方元と密に情報共有を行いながら、薬剤師が患者さんの治療効果を最大限に引き出せるような運営を行ってきました。近年は、日々の生活の中で薬局サービスを利用いただき、健康に繋げていただけるよう、生活圏内に密着した出店を強化しています。具体的には、コンビニエンスストアや家電量販店併設型の薬局、駅ナカの薬局など、異業種とのコラボレーションを積極的に進めています。

「調剤薬局の運営を通じて、地域の患者さんの健康を支える」という使命を果たしていらっしゃるのですね。新卒採用においては、どのような人材を求めていらっしゃいますか。

後藤:
当社にはさまざまな職種が勤務しており、新卒採用では薬剤師を中心に、医療事務や本社総合職などの職種を募集・採用しています。おっしゃるとおり、医療を本業としていることから、当社の社員には患者さんの痛みに寄り添い、思いやる姿勢が求められます。これは店舗に勤務する薬剤師に限らず、医療事務や本社総合職にも求めている姿勢で、全職種共通した採用基準として設けています。

薬局には病気やケガなどで痛みを抱えている患者さんが来られるので、患者さんを思いやる姿勢が重要だということですね。

後藤:
そうですね。患者さんに限らず、相手のことを第一に考える姿勢が、クオールの薬剤師に共通した姿勢として備わっていると思います。我先に「自分が……」というタイプではなく、周囲との親和性を大切にしながら仲間と協調して物事を進めることが多いですね。

中島:
当社の薬剤師は「患者さんのために何ができるか」を常に考え、その専門性を発揮しています。このような姿勢と行動力が、当社に勤務する薬剤師の最大の特徴だと思います。

患者さんを思いやるだけでなく、患者さんのために何ができるかを考え、行動に移していくことが大切なのですね。一方で、今後の採用活動で重視したい採用基準はありますか。

後藤:
少子高齢化が進み、社会保障費の増加が年々進んでいる日本では、薬局を取り巻く環境が大きく様変わりしています。そのため、薬剤師には、こうした変化に柔軟に対応しながら、リーダーシップを発揮して新しい薬局の在り方を牽引する姿勢が求められます。したがって、「変化への適応力」や「リーダーシップ」も、今後の採用基準として重視していきたいと考えています。ただし、最も重要なのは、依然として「目の前の患者さんのために何ができるか」を真剣に考え、それを実行に移す姿勢であることに変わりはありません。当社では、応募者がこのような姿勢を持っているかどうかを、面接において具体的な事例を通じて確認しています。

具体的なエピソードを深掘りし、入社後の活躍をイメージ

貴社の採用施策について伺います。採用において重視している「患者さんを思いやる姿勢」について、どのように評価・判断されているのでしょうか。

中島:
「相手に寄り添う姿勢」については、面接で応募者に具体的なエピソードを聞いたうえで判断しています。応募者に質問をすると表面的な答えが返ってくることが多いのですが、エピソードを深掘りすることで応募者の「行動」が見えてきますし、行動の根底にある「人となり」も把握できます。

応募者の皆さんは、どのようなエピソードを話すのですか?

中島:
例えば薬剤師採用で応募者に「相手のためにできることを実行に移し、喜ばれた経験がありますか」という質問を投げかけると、アルバイトのエピソードを話してくれることが多いですね。「塾の講師として、子どもたちのモチベーションが上がるよう頑張りました」というエピソードが出てきたら、「具体的にどう頑張ったのですか」と掘り下げていく。問いを重ねることで、同じ塾でのアルバイト経験であっても、異なる返答が得られ、それぞれの視点や取り組み方の違いが明確になっていきます。「勉強が嫌いな生徒が多いので、楽しい話をしながら気持ちを惹きつけました」と話す応募者もいれば、「科目ごとにその生徒が苦手な領域を分析し、子どもたちの性格や資質もみながら数か月単位で試験対策を考え、実行に移しました」と語ってくれた応募者もいて、こうした具体的な行動から「相手を思いやる気持ち」をどのように実行に移しているか判断しています。

応募者に聞いたエピソードで、特に印象に残っているものはありますか。

中島:
どの応募者も個性豊かなエピソードを語ってくれましたが、特に印象深かったのは、ある応募者の「塾のアルバイトにおいて、親御さんを巻き込みながら生徒の成績向上に貢献した」というエピソードです。彼女は、生徒との対話の中で、「母親に褒められることが最も嬉しい」という言葉に気づき、その洞察をもとに行動を展開しました。授業後に親御さんと話す時間を設け、「今日はここが特に優れていたので、お子さんをぜひ褒めてあげてください」と伝えることで、親子のコミュニケーションを深め、生徒のモチベーションを高めていったのです。

その結果、成績は想像を上回る形で向上し、彼女自身もその効果に驚いたと言います。このエピソードは、単なる学習指導にとどまらず、生徒一人ひとりの内面に寄り添い、親御さんとの協力を得ながら成長を支援する姿勢をよく表しています。このように応募者の行動を詳細に掘り下げていくと、入社後も彼女が周囲の人々を思いやり、自ら課題を発見し、それを解決に導いていく姿が目に浮かぶようです。具体的な情景が頭に浮かび、彼女の働く姿を鮮明にイメージすることができました。

「科学」的データに裏付けられた精度の高い採用を

面接では、かなり踏み込んで応募者のエピソードを聞いていらっしゃることが伝わってきました。ここまで丁寧にエピソードを掘り下げて聞くのは大変ではありませんか?

後藤:
当社が採用活動で最も重視しているのは、応募者と会って、対面で話をすることです。確かに手間はかかりますが、相手を思いやる心については実際に会ってみないとわからない部分が多いからです。

中島:
新卒採用においては、事前に適性検査を実施し、応募者のスキルや性格を客観的に評価した上で面接に臨んでいます。当社では20年以上前から適性検査を導入していますが、現在のような採用手法が確立されたのは、ここ数年のことです。その転機となったのは、外部研修での学びでした。講師である川上真史先生から「人事は科学である」という言葉を受け、それまでの採用に対する考え方が大きく変わりました。誇張ではなく、これまでの感覚的なアプローチから脱却し、データに基づく科学的な手法への移行を決定づけた瞬間でした。

「人事は科学」という言葉を、どのように捉えられたのですか?

中島:
私たち人事担当者は、つい経験に基づく感覚で人を評価してしまうこともあります。私自身、外部研修を受けるまでは、応募者と向き合う際に、感覚やこれまでの経験に依拠して判断していたように思います。しかし、外部研修で「データに基づく判断の重要性」を学んだことで、その認識は大きく変わりました。応募者の評価において、適性検査の結果を一つの基準とし、データを軸にしながら面接で深く掘り下げるという手法を取り入れることで、応募者の能力や性格を従来よりも正確に評価できるようになったのです。

対面でのコミュニケーションとデータに基づく客観的な判断という二つを併せ持つことで、具体的にどのような成果がもたらされているとお考えでしょうか。

後藤:
人を評価するための指標は多岐にわたり、当社でも相手を思いやる姿勢やリーダーシップといったさまざまな観点から応募者の能力を総合的に評価しています。「適性検査で各領域の能力を把握し、検査結果を参考にして面接で確認する」という仕組みにしてから、選考をよりスムーズに進められるようになりました。適切な方向から質問を投げかけ、具体的なエピソードを通じて応募者の人となりまで深く理解できるため、「入社後、応募者がどのように活躍するか」を予測する上で非常に有効な手法であると実感しています。

中島:
特に薬剤師の場合、痛みを抱えた患者さんと日々対峙することが多く、対応には極めて高度な配慮が求められます。そのため、患者さん対応においてストレスを感じる薬剤師も少なくないのが現状です。そこで、適性検査を通じてストレスに対する対処力や回復力を見極め、その結果を基に面接で「ストレスと向き合った経験」を具体的に伺っています。感覚的な判断に頼るのではなく、適性検査の結果を基にエピソードを丁寧に引き出すことで、応募者のストレスに対する傾向がより明確に浮かび上がり、以前よりも正確にその対処能力を評価できるようになりました。


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