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Interview

コース別採用の導入で専門性と多様性を身に付けるキャリアを訴求。
転換期を迎えたキリンホールディングスの採用戦略

RECRUITMENT

Published on 2024/06/21

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Profile

根津 拓登Takuto Nezu

キリンホールディングス株式会社
人財戦略部 人財開発担当 採用チーム

2019年入社。キリンビール株式会社 横浜工場 総務広報担当、キリンビール株式会社 中部圏流通第一支社 北陸流通支店を経て、2023年4月より現職。

創業以来、培ってきた発酵技術とバイオテクノロジーの技術を応用して、食・医・ヘルスサイエンスの3つの事業を展開しているキリンホールディングス株式会社。同社は2024シーズンより新卒採用でコース別採用を導入し、入社後のキャリアや人財育成と連動させた採用活動を行っています。コース別採用を導入した経緯や狙い、メリットなどについて、採用チームの根津様にお話を伺いました。

コース別採用を導入し、専門性を軸にした採用と人財育成にシフト

まずは、貴社の事業概要や特徴についてお聞かせください。

キリングループは、キリンビール株式会社やキリンビバレッジ株式会社など、全国内外に200超の事業会社を持っています。設立は1907年で、ビール製造で培った発酵技術を細胞の培養技術に応用することで医領域に進出。その後、発酵技術と医領域で培ったバイオテクノロジーの技術をかけ合わせて、ヘルスサイエンス領域に進出しました。現在は、食・医・ヘルスサイエンスの3つの領域で事業を展開しています。祖業がビール製造であることから、お酒や飲料をイメージされる方もいらっしゃるかもしれませんが、売上収益を見ると医領域・ヘルスサイエンス領域ともに一定の割合を占めています。

新卒採用においては、どのような特徴がありますか?

当社の新卒採用では「専門性」と「多様性」の2つの軸を訴求ポイントとしています。専門性に関して、当社は総合職で「コース別採用」を採っており、事務系コース、技術系コース、デジタルICTコースの3コースを用意しています。さらに事務系では営業、SCM(受給・物流)、法務、財務、マーケティング、人事、技術系では基礎研究、生産・品質保証・技術開発、エンジニアリングと職種を細分化しています。職種ごとのコース別採用を行うことにより、学生の皆さんが就職活動の段階からご自身の専門性を意識し、「何を専門性の軸としてキャリアを歩むのか」を明確にしたうえで入社することができます。

新卒採用でコース別採用を開始した経緯について教えていただけますか。

就業観の変化はもちろんのこと、先の見えないVUCAの時代において高い専門性や多様な個の違いや視点・価値観をもつ人財が必要となるという考えから、2024シーズンより職種ごとのコース別採用に転換しました。「入社後、何を専門性の軸にしてキャリアを描いていきたいのか」を学生の皆さん自身に選んでいただき、さらに入社後もその各コースで成長・活躍いただくための人財育成も導入しています。

新たに取り入れたコース別採用について、学生の皆さんにどのように説明していらっしゃいますか。

コース別採用で自分の専門性を明確にして入社することのメリットとして、「入社後のキャリアを描きやすい」ことをお伝えしています。学生の皆さんから受ける質問としては、「一つの専門性を入社前に選ぶと、他の業務を経験できないのでは」といった内容が多く、その都度、「入社後のキャリアは他の部署や業務を経験することも多く、軸となる専門性の幹を太くすることができる」ことをご説明しています。これは、新卒採用の訴求ポイントとしている「多様性」にあたる部分になります。

幅広い事業領域を持つキリンホールディングスだからこその「多様性」なのでしょうか。

そうですね。ここで言う多様性とは、一人ひとりの個が多様な経験と幅広い知見を持つ個人内の多様性を意味します。当社は食・医・ヘルスサイエンスの3つの事業領域を持っているため、本人の意欲と当社ならではのユニークな事業ポートフォリオを活かして幅広い経験を積むことで、多様な視点・価値観を身につけることができます。例えば自分の専門性を活かして他の部署に異動したり、逆に異なる専門性を身に付けるために新しい業務にチャレンジすることも可能です。

実際にコース別採用を取り入れてみて、根津様自身はどのような手応えを感じていらっしゃいますか。

肌感覚ではありますが、「従来の採用よりも、新たに採り入れたコース別採用のほうがしっくり来る」というのが正直な感想です。私自身はコース別採用以前の入社で、生産、営業、人事と3つの異なる領域でキャリアを積んできました。どの部署でも貴重な経験をさせていただきましたが、当時は専門性を起点とした採用や人財育成体系がなかったため、「自分の専門性は何だろう」と考えたときに、明確な答えを見出せないこともありました。だからこそ、コース別採用が導入されたときに安心感を覚えましたし、従業員や学生さんの皆さんと話していても、同じように安心感を得ているように思います。

キリングループ全体の求める人物像をもとに、コースごとに採用基準を設ける

コース別採用についてもう少し詳しくお聞かせください。例えば、コースごとの選考基準についてはどのように定めているのでしょうか。

コース別の選考基準ももちろん設けているのですが、まずは当社が定義しているグループ共通の価値観である「熱意・誠意・多様性」の3つを、採用基準のベースに盛り込んでいます。エントリーシートや複数回にわたる面接など、学生の皆さんとさまざまな接点を持つため、接点ごとに一貫した評価軸を設けています。ちなみに、グループ共通の価値観で掲げている「多様性」は、新卒採用の訴求ポイントである「多様性」とは少しニュアンスが異なり、他人の価値観や経験、多様な意見を受け入れ、チームとして力を発揮する力を備えているかを指しています。つまり、「個の多様性」ではなく、「チームとして多様な力を発揮する力」を評価します。

コース別の基準の手前に、共通の価値観を測る基準を設けているのですね。

その通りです。これらに加えて、コースごとに求める人財像が異なるため、それぞれのコースにマッチした選考基準を設けています。例えば事務系財務コースの場合、財務データを分析したり、分析結果をもとに経営戦略に資する提案を行うこともあります。そのため、データや事象をもとに物事を考えられる思考力や行動特性も選考基準に盛り込んでいます。

コース別採用で入社した社員は、どのようなキャリアを歩んでいくのでしょうか。例えば根津様のように生産・営業・人事と異なるキャリアを積むことは、今後も考えられますか?

コース別採用を行っている現在においても、私のような職種横断型のキャリアを進む可能性はもちろんあります。ただ、異動にあたっては、「自分の専門性をどう活かすのか、異動先で何を得るのか」がより明確になった上で、異動先が決まります。例えば人事を専門とする社員が、本社から工場に異動する場合は、工場内の人事や労務関係の業務に携わることで、人事の専門性を本社とは違った視点から高めることが考えられます。

コース別採用で得た気づきを、より良い採用活動に還元していく

コース別採用をスムーズに進めていくため、人事部ではどのような体制を採っているのでしょうか。

新卒採用チームは、チームリーダーを筆頭に複数のコースを担当するコースリーダーとコース担当者で構成されています。コース担当者に裁量が与えられており、採用基準を守りながら一定の自由度をもって採用活動を行っています。また、これまで何度もお話してきたように、コース別採用は入社後の人財育成やキャリアパスと連動しています。そのため、社内の育成担当と連携を図りながら採用活動を行っている点も大きな特徴です。

お話を伺っていると、コース別採用の導入にともない、選考基準や採用チームの体制など、さまざまな面で採用活動をブラッシュアップされてきたことが感じられます。

ありがとうございます。コース別採用を導入したことで、弊社も多くの気づきを得ることができました。例えば営業コースを志望している学生さんの併願企業と、デジタルICTコースを志望している方の併願企業をは大きく異なり、応募する学生さんの層がコースごとに異なることが見えてきます。このような変化にアンテナを張りながら、「選考の中で何を見極めるのか」「学生の皆さんに何を伝えるのか」などを適切にデザインし続ける必要があると感じています。

最後に、今後のご展望についてお聞かせいただけますか。

2024シーズンから専門性を軸にした採用や人財育成体制にシフトした当社は今、人財戦略の大きな転換点にいます。専門性と多様性を重視するコース別採用を軸に、今後も社内の仕組みや採用のあり方をさらに改善していきたいと考えています。私自身、会社の重要な転換期に採用活動に携われることを誇りに思っていますし、学生の皆さんに有益な情報をしっかりとお伝えしていきたいですね。当社の選考が、学生の皆さんがキャリアを考えるうえでの参考になれば嬉しいですし、そのような感想を抱いていただけるような採用活動を今後も行っていきます。


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