2005年4月に新卒入社。営業として野菜の集荷・販売に従事したのち、2007年より総務部へ異動。東京都中央卸売市場 大田市場における施設管理業務や、対外渉外を担当。2021年に能力開発課に異動。現在は社員教育と新卒採用を主業務として行う。
RECRUITMENT
Published on 2024/02/09
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鈴木 卓磨Takuma Suzuki
東京青果株式会社
総務部能力開発課
2005年4月に新卒入社。営業として野菜の集荷・販売に従事したのち、2007年より総務部へ異動。東京都中央卸売市場 大田市場における施設管理業務や、対外渉外を担当。2021年に能力開発課に異動。現在は社員教育と新卒採用を主業務として行う。
青果卸売業で日本一の実績を誇る、東京青果。日本の食文化を支えるという重要な役割を担う企業である一方、一般的には業界自体があまり知られていないという面も。そこで同社の採用チームが注力しているのが、「選考初期では業界・仕事の魅力をインパクトある言葉で伝え、その後仕事のやりがいとリアルな厳しさを詳しく伝える」という戦略。これにより、もともと青果卸売業界に関心を持たなかった学生のエントリーを増やすと同時に、入社後のミスマッチを減らすことにも成功しているといいます。同社ならではのマッチング戦略について、総務部能力開発課の鈴木様に教えていただきました。
まずは貴社の事業内容について、改めてご紹介いただけますか。
東京青果は、卸売市場の流通システムを通じ、この国の食文化を支えている企業です。東京都の許可を受け、東京都中央卸売市場 大田市場で卸売業を営んでいます。産地から商品を買い付けあるいは委託という形で仕入れ、全国の小売・外食等多様化するニーズに併せて販売するというのが、ビジネスモデル。どんなに時代が変わっても、人が生きていく上で「食」は欠かせないものであり、その根幹を支えている企業の一つが東京青果であるといえるでしょう。業界の最大手企業として、その社会的責任は決して軽くないと考えています。
貴社の採用サイトにも「誰よりも食に真っ直ぐ。」というメッセージが大きく掲げられていますね。求める人材像や、採用ポリシーについてお聞かせください。
採用における目標は、「社会に貢献したい。この国の食を経済・流通面から支えていきたい」という志を持つ方を採用することです。私たちの営業は、華々しい賞賛を受けることはなくとも、確実に社会に大きな影響を及ぼし、多くの人の役に立つことができる仕事。そこに価値を感じてくださる方が、当社にマッチすると考えています。
そうした人材を採用するにあたって、貴社にはどのような課題があるとお考えですか?
青果卸売業界は、テレビで時折流れる競りの様子のイメージが根強くその現状や実態は一般的にあまり知られていないことが。学生においても、農業経済学や流通学などに触れた方を除くと、その規模感や事業の仕組みについて知っている方は多くいません。したがって、予備知識のない学生に対して業界や仕事について説明するのは簡単ではありません。そこで私たちは、学内企業セミナーやインターンシップ(オープンカンパニー)などを通じ、学生にわかりやすく業界や仕事の特徴を伝えることに注力しています。
貴社の選考フローについて教えてください。
まずは大学3年生を主対象とした業界理解のためのオープンカンパニーを夏から冬にかけて実施します。同じく大学3年生の2月から3月にかけては、学内企業セミナー(会社説明会)を実施。その後はインターンシップ参加者を対象とした早期選考と、通常選考を同時並行で行います。一次面接は我々人事と募集対象となる営業部員が、最終面接は役員が担当しています。
学生の企業理解を深めるため、採用広報や選考において特に注力されていることは何でしょうか。
就活前半では、日本における青果卸売業界の社会的存在意義を伝えることに注力しています。たとえば最近では「コロナ禍においても、青果を含む生鮮食品の流通は止まりませんでしたよね。どれだけ人々の動きが制限されても、スーパーに行けばいつもトマトやキュウリが並んでいた。あれは卸売市場の流通システムがしっかり機能していたからなんですよ」という事例を話すと、多くの学生が事業の社会における重要性を理解してくれます。全国に青果を安定供給するために卸売市場は欠かせません。
社会貢献に対する意欲が強い学生に響く、強力なメッセージですね。
業界の社会貢献性と並んで、重点的に伝えていることがあります。それは営業の仕事の魅力。当社の営業は、全国の産地から農産物を買い付け、
農業系・流通系以外の学生の取り込みにも成功しているわけですね。
はい。しかし、そうした公共性の高さや仕事のインパクトだけを見て入社されると、ミスマッチが起きるリスクもあります。私たちの仕事は、高く売りたい生産者と安く買いたいお客様の間に立ち、時として両者に頭を下げ、当社の導き出した最適解を理解してもらい物事を進めることもあります。厳しい言葉をいただくことも決して珍しくはありません。
そうした仕事の厳しさは、どのようなかたちで学生に伝えているのですか?
オープンカンパニーや会社説明会、一次面接などの場で、仕事の厳しさをしっかり伝えています。特に、現場の営業社員との座談会は仕事のリアルが伝わると好評です。もちろん、私自身も営業経験がありますので、面接その他の場でお会いした際には情報を提供しています。学生から「こういう仕事をしている社員に会いたい」という要望があれば、別途面談の場を設け、企業と学生の相互理解や当社に興味を持ってくれる学生をよりモチベートさせることにも取り組んでいます。
鈴木様ご自身は、学生とコミュニケーションをとる際、どのようなことを意識されていますか?
少し古い言葉かもしれませんが、「石の上にも三年」ということを学生に伝えます。当社の営業には、生産者からお預かりした青果を販売する部門の他に、レストランや量販店といった顧客の新規開発を行う部門があり、新規開発部門を希望する学生が多い傾向があります。でも、当社の事業の基本はあくまで産地への経済的貢献と、食材の安定供給です。やりたいことを実現するために、まずはじっくり事業の本筋を理解し産地の方・お取引先様らとの信頼関係を築くこと、その上で彼らが抱えている課題を正しく理解する必要があること、そしてそのキャリアの先に、トレンドリーダーとして産地と消費をけん引する仕事が待っていると伝えます。継続は力なり、です。
しかし、厳しさを伝えると離脱する応募者も出てくるのではないでしょうか?
もちろんいらっしゃいます。しかし、公共性の高い仕事だからこそ、きつい面も乗り越える覚悟を持ってご入社いただきたいというのが私たちの考えです。何より、入社後すぐにミスマッチを感じて辞めてしまうのは、学生にとっても企業にとってもよいことではないと考えています。
そこまでマッチングを追究していれば、入社後のミスマッチもかなり減らせているのではないでしょうか。
当社の応募者には実情を理解した上で選考に臨んでいただいているため、役員との面談においても将来指向で話ができる方が多いと感じています。入社後のフォローも強化しているところです。最近の学生は、仕事や労働環境だけでなく、「この会社に入ったら自分は成長できるのか」を重視する方が多い。そこで昨年からは一年目社員を対象に、ビジネス関連の資格試験に向けた研修制度と、難関資格取得支援制度をスタートしました。さらに今後は若手・中堅社員向けに、長期的なキャリア形成を支援する制度も整備していきたいと考えています。
まずは魅力をPRして母数を増やし、厳しさを伝えることでミスマッチを防ぐ。いわゆる学生にあまり知られていない業界の企業がとるべき、理想の採用のかたちだと感じました。最後に、今後の採用に向けての抱負をお聞かせください。
卸売市場法の改正に伴い、今後は青果流通業界に新規参入する企業が増えてきます。これに対応するため、当社にも事業変革が必要となるでしょう。例えばこれまでつながりのなかった業態の企業とチームを組んで新たな流通を構築したり、DXを推進して農産物に関するデータを分析するといったことがその一例。今後は情報系の学生など、より多様な人材を獲得するため、新たな施策に取り組んでいきたいと考えています。
Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
新たな採用手法の実現方法を紐解きます。
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