MENU

TOP  >  インタビュー  >  若手の「安心と挑戦」を支援。「才能開花」を実現するサイバーエ...

Interview

若手の「安心と挑戦」を支援。
「才能開花」を実現するサイバーエージェントの人材戦略

RECRUITMENT

Published on 2024/01/26

VIEW 1594

Profile

大久保 泰行Yasuyuki Okubo

株式会社サイバーエージェント
採用戦略室 室長

2003年、サイバーエージェント入社。2009年、インターネット広告事業本部局長に就任。2017年、人事本部に異動し、2018年に人材戦略本部本部長に就任。2022年より現職。採用から人材抜擢、カルチャー浸透、制度設計に関わる。

売り手市場が続く現在の新卒採用市場では、組織に定着する人材を見極め、早期離職を防止することが年々難しくなっています。そんな困難な状況において、毎年多数の優秀な人材を採用し、若手社員の活躍を実現しているのがサイバーエージェントです。同社では経営トップ自ら「採用には全力をつくす」というメッセージを創業当初から掲げており、2017年には「YJCプロジェクト(良い人材を・自分たちで・ちゃんと採用する)」という独自の採用プロジェクトをスタート。ネット業界の雄が文字通り全力で挑む独自の人材戦略について、採用戦略室の大久保室長に語っていただきました。

「挑戦と安心はセット」のカルチャーが人材戦略に直結

本日は、「カルチャーフィットを実現し、成長し続ける組織を実現する人材戦略」をテーマにお話を伺いたいと思います。まずは改めて、貴社の事業についてご紹介いただけますか。

サイバーエージェントは「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンを掲げて運営している企業です。「インターネットという成長産業から軸足はぶらさない」をはじめとするミッションステートメントの中には「採用には全力をつくす」というものも含まれており、人材採用・育成を非常に重視しています。

直近では「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」というパーパスも発表しました。インターネット広告事業、ゲーム事業、メディア事業という既存の3事業を軸としつつ、DXやAIなどの先端分野を含む多彩な新規事業も創出しています。あらゆる産業をデジタルシフトしていくことを目指しており、例えば昨年はサッカー・ワールドカップの全64試合をオンラインで放送しました。

企業文化についてはどのような特徴があるのですか?

「挑戦と安心はセット」のカルチャーが、当社の特徴です。「挑戦」のカルチャーの一例としては、大胆な若手抜擢や自主的なキャリア形成を促す制度が挙げられます。若手抜擢の実例としては、新卒入社2~3年で社長に抜擢された社員が複数名いることから、「挑戦」を重視する社風をご理解いただけるのではないでしょうか。また、自ら挙手することで社内異動が実現できる「キャリチャレ」という制度は、社員の「挑戦」を支援すると同時に、「安心感」の醸成にもつながっているでしょう。

女性活躍を支援する制度も「安心」には欠かせません。女性を対象とした8つのパッケージ制度や、十人十色の女性の働き方を応援する横軸組織を整備した結果、「ママ、パパの育休復帰率は90%以上」、「女性管理職が20%以上」といった数値を実現しました。ライフステージが変わっても安心して働ける環境づくりを推進しています。

人を重視する経営思想や企業文化が非常によく伝わってきます。採用における特徴についても教えていただけますか。

サイバーエージェントの従業員数は事業形態の変遷に合わせて増加しており、この22年間で35人から6000人へ増えました。採用の方針も、時期によってかなり異なります。例えば私が入社した2003年は売上が約162億円のころでしたが、実は当時の採用はあまりうまくいっておらず、年間の退職率が30%を超えている状況でした。こうした事態への反省を踏まえつつ、採用を進化させてきた経緯があります。

「良い人材を自分たちでちゃんと採る」YJCプロジェクト

具体的には、どのように採用は変化していったのでしょうか。

当社の採用の歴史を振り返ると、大きく3つの時期に分けることができます。最初は創業~上場して数年を示す「上場カオス期」。当社では第一期から新卒採用を始めており、社長が採用チームを抜擢し、自らもセミナーに出たり最終面接をしたりしていました。幹部候補の中途採用も行っています。しかしこの時期には退職者も多く、そうした反省から2005年にようやく人事部が新設されました。これが2つ目の「変化の習慣期」と我々が呼んでいる時期です。

この時期の社員数は300~600人程度で、新卒社員は毎年100名ほど採用していました。エンジニア採用を始め、幹部採用を辞めて第2新卒採用にシフトしたのもこのころです。最終面接やセミナーは人事本部長が実施し、部門別の採用活動も始めました。

そして3つ目の時期は、社員数が2000名を超えたころに始まる「個を活かす期」です。この時期には新卒採用でのインターンシップを重視するようになり、「YJCプロジェクト」という採用プロジェクトがスタートしました。これについては後程詳しくお話ししますが、かなり特徴的な企画といえると思います。

そうした歴史を経て、最新の人事施策に取り組んでいるのが大久保様というわけですね。貴社が採用において特に大事にしているポリシーはどのようなものですか?

1つ目は経営メッセージである「採用には全力をつくす」というもの。当社では伝統的に人事領域に注力してきたので、役員会の議題も半分ぐらいは人事の話といっても過言ではありません。だからこそ、それが社員にもきちんと伝わっているのでしょう。「なぜサイバーエージェントの社員はこんなに採用に協力してくれるんですか?」とよく聞かれるのですが、経営陣が「採用に全力をつくす」とつねづね口にしていることが大きいと思います。

2つ目は「能力の高さではなく一緒に働きたい人を採る」。マインド(価値観)とスタンス(仕事への向き合い方)を重視した上で、変化対応力・俯瞰力などのスキル(能力)を見るのが当社の選考方針です。

そして3つ目は「良い人材を(=Y)・自分たちで(=J)・ちゃんと採る(=C)」。採用を人事だけの仕事にするのではなく、社員が良い人を自分たちで採ることを大事にする。いわば採用の民主化です。当社はこれを2017年より「YJCプロジェクト」として運用しています。

人事以外も積極的に採用に取り組むというのは、非常に特色のある施策です。

このプロジェクトが始動した2017年には、まだ営業サイドにいた私も採用プロジェクトを立ち上げました。私自身ダンスをやっていた経験から「ダンサーには可能性がある」と考え、関東中のダンスサークルを回って採用活動を展開したのです。このようなかたちで、各チームが一緒に働きたい人を採るためにプロジェクトを立ち上げるのが、YJCプロジェクトです。24卒採用では「内定者YJC」、「若手YJC」、現場活躍人材チームによる「YJC neo」、専門スキル採用向け「YJC」など、多彩なプロジェクトが展開されました。

「才能開花」と「適材適所」を重視し、若手活躍をサポート

「自分たちで採用すること」が、全社のカルチャーとして浸透しているのですね。社員の協力を引き出すために、人事部ではどのような工夫をされていますか?

大きく3つのポイントを大切にしています。1つ目は「評価(成果ミッション)」。当社では社員が達成するべきミッションとして組織貢献を重視しており、採用や育成、ナレッジの共有といった社員の行動を高く評価しています。2つ目は「グレード(Rグレード)」。これは採用で実績を出してくれた社員にグレードを付与する制度です。そして3つ目は先ほどお話しした「参加型(YJCプロジェクト)」です。

社員が自主的に採用に参加したくなるしくみを、きちんと整えているわけですね。ところで大久保様は、採用の早期化・長期化をはじめとする近年の採用トレンドについてはどうご覧になっていますか。

私は大別して3つの変化に注目しています。1つ目は今おっしゃった「早期化・長期化」。当社もご多分に漏れず、大学2年生の10月からプレエントリーサイトをオープンしており、年内には初回のイベントを開催しています。その後も時期ごとに継続的な自社イベントを開き、夏冬2シーズンに分けた通年採用を実施しています。

2つ目の変化は、「体験重視」。今の学生はインターンシップを重視し、企業での体験を軸に就職先を選択する傾向があります。私たちはこれに応えるため、リアリティを追求したインターンシップの実施、現場社員との接点増加、内定者バイトといった施策を実施しています。

そして3つ目は売り手市場による「承諾難易度のアップ」。当社では早期承諾を目指す「スタートダッシュプログラム」や優秀層を確保するための「優秀層選抜プログラム」、内定者同期コミュニティの形成といった施策により、内定承諾率を高めています。

採用は、学生が入社することがゴールではなく、入社後の活躍も重要であると言われます。定着率の向上が各社の課題となっている中、貴社ではどのような対応をとられていますか。

「才能開花」と「適材適所」は、私たちが最も大切にしているポイントです。社員が才能を開花するために会社として大事にしているのが「挑戦できるスペース(=機会)」を生み出し続けること。子会社の設立や新規事業の創出を目的とした社内会議を年2回開催。さらに、他社との協業・合弁により事業を創出することで、社員が幅広い領域で「挑戦できるスペース(=機会)」を生み出し続けています。

既存の仕事や役割に社員を当てはめていくだけではなく、ゼロからその機会を創出しているのですね。

そうですね。とはいえ、スペースだけがあっても、そこに若手社員が入れなくては意味がありません。そこで当社は役員が本気で「抜擢機会」をつくっています。当社の役員会ではつねに人の抜擢について話していますし、次世代の経営者を選抜するために社長研修などを実施しています。

さらに、トップから抜擢するだけでなく、社員自ら抜擢される機会をつくる「セルフ抜擢」も盛んです。「言わせて、やらせる」カルチャーが根付いている当社では、挑戦したいときに挙手して異動できる「キャリチャレ」をはじめ、いくつもの機会を用意しています。

少し面白いところでは、抜擢を支える専門組織「キャリアエージェント」というチームもあります。彼らはいわば、社内ヘッドハンター。全社員のコンディションを調査して面談を行い、新しいポジションが生まれたときには役員陣に人材を推薦するのです。

「キャリアエージェント」は画期的な人事チームですね。しかし、7000名もの社員のコンディションをどのように把握しているのですか?

当社が開発に関わった『GEPPO』というツールを使い、全社員向けに毎月アンケートを実施しています。設問はわずか3問、雨から快晴までの5段階で回答するだけ(任意でフリーコメントの入力も可)の簡単なシステムで、結果を上司に見せることはありません。この気軽さのおかげで回答率はほぼ100%にのぼります。「キャリアエージェント」は『GEPPO』の声に対してすべて返信し、気になる社員には声をかけたり、役員に改善や異動を提案したりします。アナログな運用ではありますが、役員陣が社員の状況を把握し、社員活躍を支援するのに役立っていると考えています。

最初におっしゃった通り、まさに「挑戦」と「安心」が両立した環境と言えそうです。

挑戦しろと言うだけでは無責任ですから、「安心」は必ずセットにしなければなりません。当社のミッションステートメントには「挑戦した敗者にはセカンドチャンスを。」というものがあります。例えば当社では、役員を含む社員の「しくじりエピソード」を多数公開しています。これを見て、「あの役員でもこんな失敗をしたのか」「失敗が次の成功につながることもあるのだ」といった学びを得てもらっているわけです。これからもサイバーエージェント人事部は、「挑戦」と「安心」の両方を大切にし、採用から入社後の適材適所・才能開花までをサポートしていきたいと思っています。


関連記事

Interview

インタビュー記事一覧へ

Seminar

コンテンツがありません

セミナー一覧へ