眼鏡メーカー、ITベンチャーを経て、2019年12月にイーソル株式会社に入社。前職での人事経験を活かし、新卒・中途両方の採用活動をリードする。
間宮 啓太Keita Mamiya
イーソル株式会社
管理部 人事課
眼鏡メーカー、ITベンチャーを経て、2019年12月にイーソル株式会社に入社。前職での人事経験を活かし、新卒・中途両方の採用活動をリードする。
1975年設立のイーソル株式会社は、組込みソフトウェア開発のリーディングカンパニーです。IoT時代を迎えた現代において、自動車、コンシューマ機器、産業機器から人工衛星まであらゆる機械製品はコンピュータによって動いており、それらを動かすために組込みソフトウェアは不可欠な存在。「中でもソフトウェアの土台を担うOSは非常に重要ですが、開発には高度な技術を要します。イーソルは国産OSを手掛ける国内でも屈指のベンダーなんです」と語るのは、人事課・間宮啓太様。技術的ポテンシャルと向上心を併せ持つペシャリスト人材を採用・育成する秘訣を伺いました。
貴社は組込みソフトウェアの開発を専門に手掛けていらっしゃいますね。企業としてどのような強みがあるのか、教えていただけますか?
組込みソフトウェアというのは、コンピュータで動くあらゆる機械に搭載されているソフトウェアのことです。当社は受託開発部門だけでなく、自社製品開発部門と、研究開発部門があります。ソフトウェア企業で研究開発部門を持ち、自社製品として「リアルタイムOS(組込みOS)」を開発していることが大きな強みとなっています。PCにWindowsやMacといったOSがあるように、組込みソフトにも土台となるOSが必要となるのですが、我々イーソルは国産OSベンダーとして屈指の実績がある企業だと自負しています。リアルタイムOSを開発するのには非常に高度な技術が必要となるため、そこで蓄積された知見を、それ以外の組込みソフトの開発にも活用することができています。たとえばNintendoの「Switch」や金星探索機「あかつき」などにも当社の製品が利用されています。
世界に誇れる実績があるのですね。やはり、専門的な研究経験のある理系学生を採用されるのですか?
いえ、学生からも「理系じゃないとダメですか」とか「特定の大学からしか採用しないのですか」といった質問を受けることがあるのですが、全くそんなことはありません。当社では設立当初から文理問わず人物と素質を重視した採用を行っており、新卒社員を育成することに注力してきました。事実、経営陣をはじめとし、多くの文系出身者が活躍しています。
では、応募者のどのような点を重視して採用を行われているのですか?
私たちが最も重視するのは、eSOLSpiritに適合しているか、特にオーナーシップ(当事者意識)の発揮に着目します。面接でも、「何をしたか」「どんな結果になったか」という事実だけではなく、「なぜそれをしたか」「何を感じたか」「どのように取り組んでいったのか」といった内面と行動プロセスを掘り下げることを心がけています。実際、当社では社歴にかかわらず意見を求められる機会が多く、主体的に関われる環境があります。逆に言うと、受け身の方や消極的な方だと大変だと思います。
自らチャレンジする姿勢が大事、であると。貴社の採用サイトでも、コアスピリットとして“「楽しいチャレンジ」を生きる”という言葉を掲げられていますね。
実はこのコアスピリットも、経営陣のみがトップダウンで決めたのではなく、管理職等の幹部社員や一般社員の声も聴きながら練り上げられています。なので、みんなが自分の言葉として受け止めることができています。ポイントは「楽しい」という言葉ですね。チャレンジという言葉だけを聞くと、自らを鼓舞して無理難題を乗り越えていくという厳しいイメージもありますが、常にそんな状態では持続的にチャレンジを続けることはできません。チャレンジそのものを楽しみながら会社と共に成長してほしいのです。
実際に社員が「楽しいチャレンジ」が出来る環境なのでしょうか?
はい。主体的に取り組んでいる社員が多くいますが、これは生産性の高い働き方を意識しているからだと思います。現社長の長谷川は、「社員達には長く安心して働いてほしい」という想いから、時間ではなく成果で人材を評価するように人事制度を変えました。それと並行して働き方改革にも取り組み、生産性の高い働き方を推進していった結果、社員一人ひとりが働き方を見直すのはもちろん、チームでより成果を出すにはどうすれば良いかという視点で、コミュニケーションを積極的にとるようになりました。おかげさまでイーソルは、一般財団法人日本次世代企業普及機構による「ホワイト企業アワード」を3年連続で受賞しています。
組込みソフトエンジニアに相応しい人材を採用するために、どのような採用手法をとられていますか。
最近はインターンシップに力を入れ始めています。当社では学部学科に関わらず採用を行っていますから、ソフトウェア開発の知識が全くない人でも仕事のイメージがしっかり伝わるよう、工夫を凝らしています。具体的にはグループワークを通して開発の上流工程と呼ばれる、要件定義・設計の工程を疑似体験してもらい、システム開発とはどういう仕事か、一つのシステムを作るためにどのような機能が必要なのか、といったことを理解していただく内容です。あとは、座談会などを通して先輩社員や管理職の人とざっくばらんに話し合う機会を設けています。エンジニアというと一人でコツコツやっていくというイメージがあるかもしれませんが、当社ではチームでコミュニケーションを取りながら進めますので、実際の社員達とコミュニケーションを取り、社内の雰囲気を感じ取っていただければと思っています。
理系学生に対象を絞ったアプローチは行われているのですか?
はい。業務内容に近い技術をすでに持った学生を直接スカウトする、ダイレクトリクルーティングも実施しています。もっとも当社は東証一部上場企業ではあるものの、一般的な知名度が高い企業ではありませんので、ピンポイントなスカウトだけでは十分な母集団を見込めません。やはり、素質と意欲を重視した間口の広い採用が基本ですね。当社の2次選考では、文系・理系を問わず、現場のマネージャーと課題を実施させていただき、エンジニア適性を見極めるとともに、学生にも当社のエンジニア業務理解を深めてもらっています。
コロナ禍以降、応募者とのコミュニケーションが難しくなったと言われます。この点で工夫されていることはありますか?
基本的なことですが、面接でのコミュニケーションを最も大切にしています。オンライン面接になってからは、質問を受け付ける時間を大幅に増やしました。私たちが質問する時間と、質問を受ける時間を同じぐらいにするイメージです。
1時間の面接だとすれば、最長30分は質問を受ける、と。
そうですね。「まだ質問してもいいんですか?」と驚く学生も多いです。
質問時間を増やすことにはどのような狙いがあるのでしょうか。
学生に伝えられる情報をなるべく増やしたい、ということです。実際に会社に足を運んでみてわかることは、想像以上に多いものです。たとえばオフィスの設備や社員の雰囲気。廊下で偶然すれ違った社員の雰囲気から社風が垣間見える、といったこともありますよね。しかし今はそれができません。そうしたことを少しでも伝えられるよう、応募者からのどんな細かい質問にも、丁寧に応えたいのです。
応募者からの反応はいかがですか?
「たくさん質問する時間を作ってもらえてありがたかった」「聞きたいことを全部聞けた」といった言葉をいただけています。私が一番気にしているのは、ミスマッチを防ぎたいということなんです。面接は企業が採用のために行うものであると同時に、学生が企業を選ぶ場でもある。自分にピッタリな会社を選んでもらうためにも、「自分たちが採用をしている」という態度ではなく、「対等な関係でお互いを選んでいる」という距離感を作りたいと考えています。
面接以外では、どのような方法でコミュニケーションを取られていますか?
選考中の方、内定者の両方が対象ですが、希望する方には面談の機会をなるべく多く設けました。昨年は感染症対策のため、一度に当社に集まっていただくことができなかったため、個別に時間を設定し対応しました。かなりマンパワーを割くことになったのですが、学生の方からは、「こんなに私のために時間をかけてもらえるとは思いませんでした。ありがとうございます」「技術者の〇〇さんと話すことができて良かったです。入社の決め手になりました」といった、嬉しい声をいただきました。
そうした丁寧な対応は、ミスマッチ防止に役立っていると感じられますか?
おかげさまで最近の入社後3年以内の離職率は、極めて低い数字となっています。もっともこれは採用の手柄というよりは、現場のフォローが大きいでしょう。当社では一人の新入社員に対して、OJT担当とメンターという二人の社員がフォローを行う体制を取っています。こうした職場環境が定着率向上に役立っているのは間違いないと思います。
2022年卒の新卒採用ではどのような新施策を実施されましたか?
一つは、人材紹介を使った採用を行ったことですね。もう一つは、昨年以上にオンラインイベントを拡充したこと。昨年は録画した説明会動画を配信するだけだったのですが、今年はライブ形式で社員にディスカッションしてもらい、リアルタイムで学生からのチャットによる質問を受け付けました。学生は顔出しも本名表示も不要。気軽に参加いただけるようにしました。これがきっかけで内定承諾につながった方もいます。
今後の採用活動において挑戦してみたいことや、中長期的な採用戦略をお話しいただけますか。
まず直近の2023年新卒採用について言うと、インターンシップ参加者からの内定者をもっと増やしたいと考えています。そのためには、インターンシップをより早く開始することが必要でしょう。もちろん、早く始めればその分、本採用までの期間も空いてしまうので、その間にオンラインライブイベントを積極的に、できれば毎月のペースで実施したいです。
接点の強化に注力されていく、ということですね。
はい。採用のオンライン化が進んでからは、特に接点を増やすことの効果が高まっているように感じます。中長期的な採用戦略としては、よりバリエーション豊かな人材の採用に挑戦しいと考えています。たとえば当社はヨーロッパに子会社があるのですが、今後はさらに海外のシェアも増えていくと見込まれています。これに伴い、外国籍の方を含め、さまざまなバックグラウンドの方を広く採用していくことが必要だと思います。そしていずれはイーソルを「就職したい会社ベスト100」に入るような人気企業にしていきたいです。
最後に、間宮様ご自身の、人事の仕事への想いについてお聞かせください。
私は新卒の頃から人事の仕事がしたいと憧れていて、運良く3つの会社で採用の仕事を任せてもらうことができました。実際に採用を担当してみてわかったのは、外から見ると華やかに見えるけれど、実は相当に泥臭い仕事であるということ。社外の人に自社を売り込み、社内の人にはそのための協力をお願いする。いわば「人材」をめぐる営業職のようなものですね。大変なことも多いですが、自分が採用した人が成長している姿を見ると、その人のために、そして会社のために役に立つことができた、とやりがいを感じます。とはいえ、採用は人事業務の中の一部です。もともと私がイーソルに転職したのも、人事としての仕事の幅を広げたいという目標のためでした。今後は労務などの幅広い人事業務、そしてマネジメントにも挑戦し、トータルに社員を支えられる人事に成長したいと考えています。
Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
新たな採用手法の実現方法を紐解きます。
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