2010年に日本リファイン株式会社(現リファインホールディングス)入社。千葉工場の人事総務課と東京本社の人材開発課で労務や新卒採用を担当。2019年に人材開発課課長(兼千葉人事総務課長)に就任。現在は研修や採用全般を管理している。(所属・内容は取材当時のものです)
光永 博則Hironori Mitsunaga
リファインホールディングス株式会社
人材開発課 課長
2010年に日本リファイン株式会社(現リファインホールディングス)入社。千葉工場の人事総務課と東京本社の人材開発課で労務や新卒採用を担当。2019年に人材開発課課長(兼千葉人事総務課長)に就任。現在は研修や採用全般を管理している。(所属・内容は取材当時のものです)
1966年に創業し、約60年にわたり有機溶剤の精製(リファイン)事業を中心とした環境保全事業を展開しているリファインホールディングス。近年は未利用の食材やバイオマスなどを活用する天然資源循環事業にも力を注いでいます。新卒採用では、特定分野から理系全般へとターゲットを拡大し、環境問題に強い関心を持つ学生に幅広くアプローチ。さらに、入社前に配属先を決定・通知するなど、学生の声を反映しながら採用手法を柔軟に見直しているのが特徴です。人材開発課の光永様に、こうした採用方針や取り組みの背景を伺いました。
貴社の事業概要を教えてください。
当社では、創業以来、有機溶剤を再生する事業を主軸に展開してきました。様々なものづくりメーカーの製造現場で用いられる有機溶剤の廃液を回収・精製し、再販売しています。また、長年培ってきた技術や知見を活かし、有機溶剤以外の廃材や未利用素材をリサイクルする事業にも積極的に取り組んでいます。
環境保全事業が世界的にも注目されていますが、新卒採用でどのような人材を求めているのでしょうか。
最も重視しているのは、当社の経営理念である「人類が持続的に発展できる社会を実現するために、『資源』『環境』『こころ』のリファインを業とし社会に貢献する」ことへの共感です。面接では環境問題への意識を尋ね、理念にどの程度共感しているかを確認しています。
加えて、採用基準として「コミュニケーション力」「主体性」「感謝」「礼儀」「成長意欲」を挙げています。事業の特性上、化学工学系の学生を中心に理系を幅広く採用してきました。
それらの項目を明確に採用基準に設定した理由を教えてください。
5年ほど前までは明確な採用基準を設けていなかったのですが、近年は化学工学系専攻の学生数が減り、当社が求める人材を確保しづらくなってきました。そこで理系全般を対象とする一方、しっかりとした採用基準を設けることにしたのです。社内で意見を募ったところ、多くの部署から「コミュニケーション力」「主体性」「感謝」「礼儀」「成長意欲」を重視したいという声が上がり、基準として定めるに至りました。
「コミュニケーション力」や「主体性」が求められる背景には、貴社の事業内容や社風が関係しているのでしょうか。
営業部門以外の部署は社外とのやりとりは少ないですが、顧客からの要望や調査依頼をスムーズに処理するには、営業と技術部門、生産部門が密接に連携する必要があります。そのため、社員同士のコミュニケーションはもちろん、相手への礼儀や感謝の気持ちといった基本的な姿勢が重要です。
また、当社は自由闊達な社風があり、若手社員でも自分のやりたいことを提案し、周囲の理解を得られれば積極的に任せてもらえます。主体性と成長意欲がある人ほど大きく活躍できる環境だと感じています。
インターンシップや選考プロセスについて詳しく教えてください。
インターンシップは夏と秋に実施していて、8月には会社の事業説明や先輩社員との座談会、適性検査の体験受験などを行います。10月から11月にかけては、営業部門と技術部門それぞれの業務を体験する機会を設けています。外部の説明会は、大規模な合同企業説明会ではなく、化学工学会や日本海水学会に所属する大学の説明会を中心に参加する形です。
選考の流れは、就職情報サイトからのエントリー、会社説明会、エントリーシートの提出と適性検査を経て、人事部門との1次面接、希望する部署(技術部門またはそれ以外)との2次面接、最後に代表との最終面接という段階を踏みます。1次と2次面接はオンラインで実施し、最終面接はオンラインか対面かを選べるようにしています。
就職情報サイトに掲載されている「志望理由は、最後に。」というフレーズは、どのような意図で掲げているのでしょうか。
当社を志望する学生は、たいてい会社説明会や当社からのオファーメールがきっかけで興味を持ちます。そのため応募時点での志望理由は、実は当社の事業内容や社風を深く理解しないまま作られていることが多いのです。だからこそ、1次面接や2次面接の段階で本人も当社について十分に理解を深め、本音の志望理由を固めてもらいたい。最終面接でその思いを存分に話してもらった上で合否を判断したい、という考えがあります。
選考過程で学生の理解度や志望度を高めるため、どのような質問をしているのですか。
特に質問項目を決めているわけではありませんが、面接では環境問題への取り組みに対する考えを聞くことが多いですね。当社の事業に惹かれる学生の多くは「環境保全に寄与できる仕事がしたい」という思いを持っています。面接で繰り返し環境問題が議題になることで、「この会社は本気で環境保全に取り組んでいる」と感じ、志望度がさらに高まるようです。
化学系の学生数が減少するなかでも、継続的に新卒採用を成功させている秘訣はありますか。
2年ほど前から面接結果を通知する際、受験者にフィードバックを渡すようにしています。例えば「目標に対して粘り強く取り組む姿勢がある」「周囲を巻き込む行動力が素晴らしい」など、受験者の強みを具体的に記すイメージです。元々は学生の就活に役立ててもらおうという目的でしたが、想像以上に好評で、内定者アンケートでも「面接フィードバックが助かった」という声がもっとも多く寄せられました。
内定者フォローとしては、どのような取り組みをしていますか。
当社では内定者に対し、入社前に配属先を通知しています。現在、新たな試みとして早期選考で内定が出た方は、本人の希望をヒアリングし、入社前に実際の勤務部門を見学、部門長との面談を行い、学生の希望と部門側の状況を踏まえて配属先を決定する取り組みを行っております。必ずしも希望通りになるとは限りませんが、事前に配属先を知らされることで学生も安心できると思います。
入社前に配属先を決めるようにした理由を教えてください。
これまで内定辞退者へのアンケートでは、「配属先や勤務地が不透明」という点を理由に挙げる学生が多かったのです。当社は東京や千葉、岐阜など拠点が複数あり、部署によって勤務地が変わります。学生のなかには「できれば関東から離れたくない」というような希望があることも多い。ほかの企業では入社前に配属先が決まっている場合もあるため、当社が不利にならないよう配属先を早めに確定・通知する方針に切り替えました。2025年から始めたばかりで定量的な効果はまだ測れていませんが、すでに複数の内定者から好意的な反応を得ています。さらに部門長にとっても、入社前から新人を迎える準備ができるため、教育意欲がより高まるというプラス効果がありました。続けていく価値が大いにあると感じています。
柔軟に施策を変えていくモチベーションや、仕事のやりがいはどんなところから生まれますか。
今は全体を統括する立場になり、学生と直接やりとりする機会は減りましたが、以前に自分が採用担当をしていた年度の社員が、今は各部署で主力として活躍し、インターンシップの企画にも携わってくれるようになりました。彼らの成長を見ると、まるで親のような気持ちでうれしくなるんです。そこに大きなやりがいを感じますね。
最後に、今後の採用について見通しを教えてください。
当社はこれからも有機溶剤の再生だけでなく、新たな事業を幅広く展開していく予定です。ですから、理系のなかでも多様な分野の学生、そして自分から行動できる人材をさらに採用したいと考えています。そうした学生に「一緒に働きたい」と思ってもらえるよう、採用ページのコンテンツを一層充実させるなど、これからも試行錯誤を続けていきたいですね。
Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
新たな採用手法の実現方法を紐解きます。
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