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Interview

管理職研修から上長への個別のフォロー施策まで。
クレスコが現場巻き込み型の健康増進施策を打ち出す狙い

HEALTHCARE

Published on 2025/05/30

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Profile

廣木 由佳Yuka Hiroki

株式会社クレスコ
人事部マネジャー

入社後、システムエンジニアとして7年間にわたり、開発業務を担当。その後、研修担当を経て、2016年より現職。医療従事者と共に、従業員の健康管理や健康増進施策の実践に取り組んでいる。

最先端の技術を駆使して幅広い分野のITサービスを提供し、人材、銀行、旅行、自動車など多種多様の企業活動を支えている株式会社クレスコ。同社は「従業員が心身ともに健康で実力を最大限に発揮することが、企業の成長につながる」との考えから、さまざまな健康増進のための施策を打ち出しています。管理職主導型の職場環境改善研修の実施、独自基準による健診の事後措置、年に2回のウォーキングイベントの開催など、クレスコならではの健康経営®の取り組みとその効果について、人事部マネジャーの廣木様に詳しく伺いました。

「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

「6つの生活習慣」を基軸に、従業員の健康増進を促す

まずは、貴社の事業内容や特徴についてお聞かせください。

当社は、1988年創立の独立系IT企業です。お客様のご要望を実現するシステムを企画から開発、保守まで実施する「ITサービス事業」と、先端テクノロジーを利用した製品・サービスを提供する「デジタルソリューション事業」の2つの事業を展開しており、人材、銀行、旅行、自動車など多種多様なお客様の企業活動や皆さまの生活を支えています。「人が想い描く未来、その先へ クレスコグループは最高のテクノロジーと絆で、“ワクワクする未来”を創造します。」をビジョンに掲げており、ITを用いて新たな挑戦に取り組みながら新しい価値を創造していくことを目指しています。

貴社が健康経営を推進していくうえでのお考えについてお聞かせいただけますか。

「企業活動の中心である従業員が心身ともに健康で実力を最大限に発揮することが、企業の成長につながる」と考えており、従業員一人ひとりが安心してやりがいをもって働けるよう、健康の保持・増進のための取り組みを推進しています。日頃から従業員に意識してほしい「6つの生活習慣」として、「禁煙」「睡眠」「食事」「適度な飲酒」「運動」「ストレス発散」を掲げており、これらを従業員が普段の生活の中で実施していけるようさまざまな施策を実施し、情報提供に努めています。

「6つの生活習慣」を基軸に、どのような施策を展開されているのでしょうか。

例えば「運動習慣」の施策として、2022年より春・秋の年2回、ウォーキングイベントを開催しています。個人戦とチーム戦の2種類あり、開催期間中の平均歩数で順位を競います。また、8,000歩以上歩いた日が一定日数以上ある従業員には、クリアボーナスとしてドリンクチケットを付与しています。このほか、参加者のモチベーション維持のため、期間中も一週間ごとにランキングを発表しています。最近は、ランニング習慣のある従業員が上位に入ることが増えてきました。人によってさまざまな生活習慣があるため、どの従業員も楽しめるよう、賞なども工夫しています。

ウォーキングイベントの実施により、どのような効果が表れていますか?

初回は個人戦256名、チーム戦は32チーム174名が参加してくれました。2024年秋のイベントにはグループ会社も加わり、個人戦857名、チーム戦は75チーム927名が参加しました。年々参加者が増えており、健康増進や意識づくりにおける一定の効果を感じています。チームの構成メンバーは、部署や業務のプロジェクト、同期同士など多種多様ですが、「昨日、これくらい歩いたよ」「今日は隣の駅まで歩こう」といったコミュニケーションの機会が増えており、運動とコミュニケーションの両面に効果が出ていると感じています。

健康診断後のフォローで、再検査受診率が向上

貴社では、ストレスチェックの実施後に「管理職主導型 職場環境改善研修」を実施されていると伺っています。具体的な内容についてお聞かせいただけますか。

2023年度より、ストレスチェック後に2時間ほどの「管理職主導型 職場環境改善研修」を実施しています。部長職を含めた管理職3名以上でグループを作り、部署ごとのストレスチェック結果を用いて議論を行い、改善案を作成するというものです。

議論に関してはポジティブアプローチを重視しており、部署での成功体験や強みといった「理想像」を共有して実現するために必要な課題を整理していきます。さまざまな改善案が出ますが、最終的には取り組むテーマを一つに絞り、具体的に実行するプランまでを話し合って決めてもらいます。

前向きな態度で話し合いを行い、職場環境の改善につなげていらっしゃるのですね。参加した管理職の方々からは、どのような反応がありましたか。

昨年度は9部署から23チームが参加しましたが、参加日程が分かれていたこともあり「他の実施日にどのようなアイデアがでていたのか知りたい」といった要望がありました。そこで、全チームの理想像や改善計画、その測定方法を共有。改善というと、問題の洗い出しや原因分析を進める上でネガティブなアプローチになってしまいがちですが、参加者から「ポジティブに解決する方法を学べて良かった」といったコメントが届いています。

2024年度はどのような施策を実施されましたか。

2024年度は、新たに上長へのフォロー施策を実施しました。総合健康リスク110以上、または高ストレス者割合が20%以上の部署を対象に、上長からの希望に応じて、産業医・保健師が部署に所属する従業員の面談を実施。その上で、個人が特定できない範囲で得られたストレス要因の傾向などを上長にフィードバックしています。

フィードバックの内容は上長の認識と一致していることが多く、上長からは、「医療職と認識が一致して安心した」「引き続き対応していきたい」と言ったコメントをもらっています。周囲が不調に気づいていない体調不良者も含まれていましたが、この施策がきっかけで早期に対処することができました。

健康診断の事後措置に関しても、独自のお取り組みを実施されていると伺っています。

2022年度から健康診断の法定項目についてクレスコ独自の判定基準を設け、「受診勧奨」「受診確認」「即受診」の三段階対応を行っています。「受診勧奨」では、本人への受診勧奨の案内をするとともに、20分ほどの保健指導動画を視聴してもらっています。「受診確認」では受診必須として本人に受診勧奨を行い、3か月を過ぎても未受診の場合は上長にフォローを依頼しています。3つ目の「即受診」では、緊急性のあるものとして上長と本人の双方に受診勧奨を行い、早急に必須で受診するよう調整してもらっています。この取り組みを実施するようになって3年目になりますが、再検査の受診率が徐々に上がるなどの効果が出ています。

従業員全員が楽しみながら健康増進を実現できる環境を

従業員や管理職を巻き込み、施策を推進していらっしゃるのが印象的です。貴社は5年連続で「健康経営優良法人」の認定を受けています。取得にあたって注力されたことがありましたら、ぜひお聞かせください。

ご存知の通り、健康経営優良法人の取得にあたっては健康経営度調査への回答が必要になります。設問数が多く、取り組みの初年度はすべて埋めるだけでも一苦労でした。しばらくの間、社内外のサイトや公開情報、規定などを検索する日々が続いたのをよく覚えています。フィードバックシートを受領後は、できていない箇所を確認した上で、次回までに反映できる箇所を分析するなどの対応をしました。

取り組み初年度はかなりのご苦労があったのですね。その後はいかがですか?

2年目以降も毎年少しずつ設問が変更されるため、毎回設問をしっかりと確認し、フィードバックシート後の分析・対応を継続することで、要件に合致するよう体制を整備してきました。

苦労もありましたが、対応を重ねていくうちに「調査票には、企業に必要な健康施策に直結する項目が設定されている」ということを改めて実感しました。そのため、現在は健康経営のガイドブックを読むような気持ちで調査票を参照しています。特に健康診断の事後措置に関しては、調査票の項目を参照して判定基準を定めたことで、受診勧奨を行うスタッフ側はもちろん、受診する従業員やフォローをする上長も動きやすくなり、着実に改善が進んでいるのを感じています。

最後に、健康経営に関する今後のご展望についてお聞かせください。

健康経営を推進する立場として、従業員全員が楽しみながら目標に向かって取り組んでいける環境を作っていきたいと考えています。

例えば当社は、健康に寄与する行動を取りながら働く従業員に対して、年に一度、「健康増進手当」を支給しています。「ストレスチェックを受検する」「非喫煙者である」「ウォーキングイベントでクリアボーナスを達成する」といった支給要件を設けていますが、いつか、要件に書かれている内容が従業員にとって当たり前のことになっていったらと願っています。そして、より健康につながるような要件に変更していくことで、健康への意識や取り組みが高まっていったら嬉しいですね。


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