自身の就職活動を進める中で人事・採用の仕事に興味を持ち、「応募者に寄り添った採用をしたい」という思いで、設計会社の人事としてキャリアをスタート。2019年にホギメディカルに入社し、現在は新卒採用やキャリア採用など、採用業務を一手に担う。
Published on 2024/03/08
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原 健次Kenji Hara
株式会社ホギメディカル
管理部 人事課
自身の就職活動を進める中で人事・採用の仕事に興味を持ち、「応募者に寄り添った採用をしたい」という思いで、設計会社の人事としてキャリアをスタート。2019年にホギメディカルに入社し、現在は新卒採用やキャリア採用など、採用業務を一手に担う。
手術室を主な事業領域とする医療機器メーカーとして、主力製品はトップシェアを誇る株式会社ホギメディカル。同社は会社設立から60年以上に渡って、数多くの医療関連製品を開発し、医療現場を支えてきました。しかしホギメディカルを志望する学生の多くが、医療業界の現状や課題について馴染みがないため、採用担当の原様は「企業理解の前に、業界理解を深めること」こそが何のために仕事をするのか、なぜホギメディカルで仕事をするのか、学生がキャリアを選択する上で重要であると考えます。原様が打ち出してきた採用施策とその根底にある考えについて、詳しく語っていただきました。
まずは貴社の事業概要についてお聞かせいただけますか。
当社は、1961年設立の医療機器メーカーです。ディスポーザブルと言って、使用後に廃棄する使い捨て製品に強みがあり、手術に必要な医療材料をセットにして、安全と効率化に寄与する「プレミアムキット」をはじめ、さまざまな製品を開発・製造・販売しております。キット製品を含む、弊社の主力製品は国内トップシェアを誇ります。
医療ディスポーザブルの分野で高いシェアを誇っていらっしゃるのですね。では、そのような実績をもつ貴社では、新卒採用においてどのような人材を求めているのでしょうか。
「基本に忠実」と「変化に対応」の2つの姿勢を備えた方を求めています。当社の製品は、手術室に携わる医師や看護師が使用するものです。当社の営業職は、医療の最前線で患者さんを治療する医療従事者と向き合いますが、自社製品を採用してもらうためには、単に製品の魅力を伝えるのではなく、何よりもビジネスの相手として深く信頼していただく必要があります。そのため、まずは「基本に忠実」であることを重視しています。基本に忠実とは、連絡の返信が早い、必要な製品情報をすぐに提供するなど、難しいことではなく、相手の立場に立った当たり前のことを当たり前に実践できる方のことを指します。また、医療を取り巻く環境は、人口の35%が高齢者になると言われている「2040年問題」を始め、人手不足など経営課題が山積みです。加えて、技術の進歩、法改正や診療報酬改定などにより、つい先日まで最新だった情報や知識がすぐに通用しなくなることもあります、変化が激しい医療業界においては、基本に忠実である一方、あらゆる変化に柔軟に対応していく姿勢も重要です。
では、採用施策において、原様が重視していることはありますか。
当社は、医療業界のなかでもニッチ分野の「手術用ディスポーサブル製品」を扱っており、多くの学生にとって馴染みのある製品ではありません。そこで、新卒採用においては、まずは「医療業界の動向と課題」を理解してもらった上で、当社に興味・関心を抱いてもらえるような採用施策を目指しています。
貴社の採用施策について具体的にお聞かせください。例えば、採用パンフレットにある「人を救う医療従事者は、誰が救うのだろう」というコピーはとてもキャッチーで、貴社ならではのやりがいが表現されていると感じます。
ありがとうございます。私自身、医療業界での経験がなくホギメディカルに入社し、採用活動を通じて当社の「社会的使命」を感じるようになりました。その思いが、自然と「人を救う医療従事者は、誰が救うのだろう」という言葉として表れました。これまでお話したとおり、当社の製品は手術室に勤務する医師や看護師が使用するものであり、医療従事者の皆さんは「患者さんの命を救う」という大きな役割を担っています。では、常に緊迫した現場の最前線に立っている医療従事者を、誰が救うのだろうか。それは私たちホギメディカルに他ならない。そんな気持ちを込めた言葉です。
インターンシップのタイトル「社会人ゼロ学期!メーカーなのに価値を売る??」も、印象的ですね。
インターンシップは私が採用担当になってから内容を大きく刷新し、2022卒採用のインターンシップから現在のスタイルに落ち着きました。一番大切にしているのは、「医療業界に興味を持ってもらうこと」。「社会人ゼロ学期」というタイトルは、実は内定者のアイデアを採用しています。それまでは、「営業職体験インターンシップ」という一般的なタイトルでした。
2025卒採用のインターンシッププログラムについて、詳しくお聞かせいただけますか。
営業職を志望する学生に向けて、対面型で実施しています。プログラムは、医療業界の現状について説明する「業界研究」のパートと、営業職の仕事を体験してもらう「営業職体験」のパートに大別できます。先に話したとおり、少子高齢化が急速に進む日本はさまざまな課題を抱えています。その一つが人口減少に伴う「医療機関の一極集中化」です。これにより、医療従事者の負担がますます高まることが危惧されています。そこで当社製品の提供により「医療安全」と「働き方改革」を支えています。このように、「医療業界の動向や課題」と「当社の取り組み」を結びつけながら話をすることで、学生の皆さんに業界理解を深めてもらっています。一方、営業職体験は、病院内の手術室を忠実に再現し模擬手術室で実際の製品を見ながら、学生の皆さんにホギメディカルの製品を提案する方法について考えてもらいます。業界研究と営業職体験をセットで経験することで、当社の存在意義を理解してもらう構成になっています。
複雑な医療業界の課題を上手に紐解きながら、業界理解だけでなく、企業理解にも繋げているのですね。
良い製品を適正価格で売ることを当社はモットーにしており、決して安価とは言い難い製品をなぜ多くの医療機関に採用していただけるのか。それは、インターンシップのタイトルにある通り、「価値を売る」からです。しかし、言葉で説明するだけでは、なかなか理解しづらい。そこで、実際に営業体験をしてもらって、「価値を売ること」の意味を理解してもらっています。例えば、メスを収納する「スカルペルホルダー」という製品は手術中に起こりうる怪我のリスクを未然に防ぐことで医療従事者を守ることが出来ます。また術前から術後までの流れに沿って医療材料を1つにまとめた「プレミアムキット」は、手術準備時間の短縮と安全性を高める製品も開発しています。当社の営業職は手術室の稼働状況や医師・看護師の勤務状況などのデータを分析した上で、「現場の安全をどれだけ守れるか」「当社の製品を採用することによって業務をどれだけ効率化できるか」を具体的に提示しており、営業体験では、このような事例もわかりやすく提示しています。
過去にインターンシップを受けた学生の反応はいかがでしょうか。
当社のインターンシップは少人数制で、一回の開催につき10名から15名程度です。学生たちが楽しく業界理解・企業理解をしてもらえるよう、例えばグループワークを実施する際も必要に応じて個別で声をかけながら、答えを見つけ出すためのヒントを提示しています。またグループワークの発表では、あえて厳しいフィードバックも行っております。「企業理解」よりも「業界理解」を重視した内容ではありますが、インターンシップで当社に興味を持ってくれる学生は非常に多く、高い確率で当社にエントリーしてくれています。
インターンシップの内容を刷新したり、惹きの強いタイトルを打ち出したりなど、独自性の高い採用施策を次々と実施されていますが、そのアイデアの源泉はどこにあるのでしょうか。
特別なことを行っているのではなく、一つひとつの施策を地道に続けることで、一定の成果を上げてきたと思います。唯一意識していることがあるとすれば、「学生が知っていて当たり前だと思わない」ということです。採用担当は毎年、新卒採用を行いますが、学生にとって就職活動は「初めての経験」です。業界のことも、会社のことも、今まさに理解しようとしている段階です。「このことについて、きっと理解しているだろう」という思い込みを捨てて、常に「学生に理解してもらうには」という視点を持つよう心がけています。
常に学生目線に立っているからこそ、魅力的な採用施策を打ち出すことができるのですね。原様が学生と向き合ううえで大切にしていらっしゃることはありますか。
学生に寄り添うことを大切にしていますが、だからといって、自社の良い面だけをアピールするようなことはしていません。むしろ、現実を見せることが多いですね。当社の社員は手術現場にも立ち会いますし、時には医師や看護師の難しい要求に応えなければならないこともあります。命の最前線である手術室は厳しい世界ですが、その厳しさをしっかり伝えきることで、学生には、覚悟を持って入社してほしいと考えています。学生の皆さんにはぜひ、自分が埋もれてしまうような会社ではなく、「自分が何のために仕事をするか」そんな一番に自分が輝ける場所を見つけてほしいと思っています。
最後に、今後挑戦したい採用施策についてお聞かせいただけますか。
これまで何度もお話したとおり、医療業界は少子高齢化により、多くの解決すべき課題があります。当社はこれらの課題に真正面から向き合い、病院全体の生産性改善・向上に貢献していきます。新卒採用に関しては、引き続き「医療業界の理解」を全面に打ち出した施策に重点を置く方針です。現在は営業職と研究開発職の2職種を採用していますが、これを細分化し、各職種でインターンシップを実施することで、より多くの方に医療業界への興味・関心を深めてもらえたらと願っています。
Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
新たな採用手法の実現方法を紐解きます。
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