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Interview

“会社”と“人”の魅力でマッチングを図る。
「新卒採用」の方針にかける東洋不動産のこだわり

Published on 2022/08/25

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Profile

中江 利樹Toshiki Nakae

東洋不動産株式会社
人事部・企画部
上席部長代理

2007年に新卒入社。京都営業部、大阪本社、東京本社にて不動産売買仲介営業を経験後、20204月に人事部へ異動。20224月からは企画部も兼ねる現在は新卒採用の企画・運営を中心に、社員研修、人員配置等の幅広い人事業務に携わる。

渡邊 智予Tomoyo Watanabe

東洋不動産株式会社
総務部・人事部
主任

2018年4月に入社以来、総務部・人事部にて採用業務に従事。2023新卒採用では、24年ぶりに行われた一般職採用のメイン担当者として活動。

オフィスビルや工場、倉庫、土地といった「事業用不動産」の仲介、鑑定、不動産投資に特化した事業を展開する東洋不動産。B to B専門の不動産会社として圧倒的な実績を誇ります。同社の採用の特徴は、営業職は原則的に新卒採用のみで、中途採用を行っていないこと。未経験者をゼロから育成し、長く活躍できるよう支援する方針をとっているといいます。「だからこそ、採用ではしっかり時間をかけて学生とコミュニケーションをとり、入社後のギャップ解消を徹底しています」と語るのは、人事部の中江様と渡邊様。少数精鋭人材の採用・育成に向けた戦略とは、どのようなものでしょうか。

相互理解を深める新卒採用へのこだわり

貴社は事業用不動産に特化した不動産売買をメイン事業とされています。不動産業界の中でも、珍しいスタイルではないでしょうか。

中江:
おっしゃる通り、当社のようにオフィスビル、工場などの法人向け不動産に特化した会社は少ないと思います。中でも当社は1960年の創業以来60年以上の歴史があり、売買仲介をはじめ、不動産鑑定、リーシング、デューデリジェンス、不動産投資などをトータルにカバーすることにより、お客様の事業戦略を不動産を通じて幅広くサポートすることができます。当社は三菱UFJ銀行および三菱UFJフィナンシャルグループの緊密会社でもあり、お客様の多くは三菱UFJグループを通じて紹介を受けています。そのため、参入障壁の高いこの業界にあって、大手企業をはじめとするお客様と長期的な関係性を構築しやすく、事業安定性が高いということも特長となっています。

そうした事業内容は、採用戦略にどのように結びついているのでしょうか。

中江:
不動産の売買仲介という事業の特性上、当社にとっての商品は「人」であると考えています。しかも個人向けの住宅とは違い、法人向け不動産ではオフィスビル1棟、大型倉庫1棟といった規模で不動産を取り扱っており、契約金額も数億円から数十億円にのぼります。そのため、新入社員は2年間しっかりOJT研修を受け、複数の部署を経験しながら営業実務にあたるという体制をとっています。

非常に長い期間をかけて人材を育成しているのですね。

中江:
当社の人材戦略は、少数精鋭の当社に適した人材を採用して、しっかり育成し、長期的な活躍をサポートするというものです。そのため、教育だけでなく待遇・福利厚生も大企業並みに充実させていますし、採用活動においてもしっかり手間をかけて学生とコミュニケーションをとり、入社後のギャップを限りなくゼロに近づけた上で採用しています。面接は4~5回行い、それ以外の面談も適宜実施しています。

5次面接まで実施するところに、マッチングへの本気度が感じられます。

中江:
実は当社の営業職採用は、長年にわたって新卒者のみを対象としており、中途採用を行っていません。だからこそ、我々人事としても新卒採用においてマッチングを非常に重視していますし、配属後には個々の社員に合わせた丁寧な指導を実施しています。

面接回数が増えると、学生が離脱してしまうのでは?という懸念が聞かれることもありますが、その点はいかがでしょうか

渡邊:
当社の応募者では、むしろ時間をかけるほど志望度が上がる学生が多いようです。当社の面接では、1次面接から一対一で1時間ほどかけて会話をするのですが、当社からの質問よりもむしろ学生からの質問を受け付ける時間が長いことが特徴です。つまり面接を、当社のことをより深く知っていただくための場と位置付けています。当社では採用活動に協力してくれるリクルーターを例年50名ほど動員しているのですが、これは200名規模の企業としてはかなり多い人数ではないでしょうか。これも、学生に多くの社員と話してもらい、当社の社風を知っていただくための取り組みです。ちなみに面接とは別に設ける面談ではリクルーターだけではなく、学生の要望によっては部長クラスの管理職が対応する場合もあります。

それだけ採用時のマッチングと人材育成に注力していれば、定着率も高まりそうです。

渡邊:
おかげさまでここ数年は新入社員の離職がほとんどなく、業界平均と比べても、離職率はかなり低い方だと思います。

採用広報を強化し、エントリー率が向上

貴社では採用コピーとして「ONE STORY」、そして「切り札は、結局、人。」という言葉を掲げていますね。こうしたコピーに込められた想いについて教えてください。

中江:
事業用不動産仲介ビジネスならではのストーリー性や、社員の誠実な人間性が決め手となる仕事の醍醐味を象徴するコピーとして、これらの言葉を選びました。不動産営業には歩合給を求めてガツガツ売上を上げるイメージがあるかもしれませんが、当社のお客様は法人であるため長期的に関係が続くケースが多く、短期的な利益よりも信頼関係の構築を重視します。お客様には不動産に関するネガティブな情報も必ず包み隠さず伝え、ご納得の上成約いただくのです。当社は温厚な営業社員が多い会社だと思いますし、安定した環境で働きたいという人には適した環境だと思います。

そうした社風は採用においても強力なアピールポイントになりそうですね。

渡邊:
面接・面談を多数行っているのも、そうした社風の魅力をじかに伝えるためです。実際、多くの内定者が、出会った社員の人柄に惹かれて入社を決めたと話してくれています。

2023新卒採用では、前年度にはなかった新しい取り組みや変化がありましたか?

中江:
前年度の採用では、一部の採用エリアで母集団形成に課題を感じていました。一つの要因として、B to Bに特化した不動産会社ゆえの知名度の低さがあると考えています。大手不動産会社と違って当社はテレビCMなども流していませんし、当社の名前を最初から知っている学生は多くありません。そこで2023採用では採用広報施策を見直し、インターンシップや説明会で伝える情報設計を再検討しました。

どのような情報を重点的に伝えたのですか?

中江:
これまで重視していた「人」や「仕事」の面にとどまらず、給与を含めた待遇・福利厚生が充実していることや、自己資本比率が突出して高いこと、働きやすい環境といった「会社」についての情報を強化しました。近年では学生の価値観も変化していることも踏まえ、当社の社員に対する考え方を広く知ってもらえさえすれば、興味をもってくれるきっかけになるのでは、というねらいがありました。結果としては、インターンシップ・説明会後の選考応募率は昨シーズン比で10%以上も上がり、応募者の質についても、例年よりも高かったと実感しています。

渡邊:
加えて、昨年導入した採用管理システムを活用し、学生とのコミュニケーションを迅速化したこともプラスに働いたと思います。以前は応募者との直接の連絡を外部のコンサルティング会社に委託していたのですが、学生とのコミュニケーションにタイムラグが生じ、これが離脱の一因になっていました。自社で応募者や選考進捗を一元管理し、選考通過の電話連絡をはじめとするコミュニケーションをこまめにとるようになってからは、選考中の離脱者が明らかに減少しました。

短期間で魅力を伝達した一般職採用

渡邊様は、24年ぶりに行われた一般職採用のメイン担当者としてもご活躍されたそうですね。一般職採用にあたって注力されたことについてお聞かせください。

渡邊:
総合職採用には以前から携わっていたものの、一般職採用に関するノウハウは社内にほぼない状態だったため、手探りでベストなやり方を模索しました。特に気をつけたのは対応の早さです。一般職採用では総合職に比べて面接の回数が少なかったため、短期間で学生の心を掴む必要がありました。面接や面談には私も積極的に参加して当社の魅力をアピールしましたし、CMS(コンテンツマネジメントシステム)を駆使してマイページコンテンツを制作し、これを魅力付けや内定者フォローに活用しました。結果としては、面接官も納得いく方々を採用することができ、ほっとしています。

振り返ってみてのご感想はいかがですか。

渡邊:
リクルーターをはじめとするたくさんの社員に協力してもらったおかげで成功させることができ、東洋不動産の「人」の良さを改めて実感する機会になりました。実は、私は最初派遣社員として東洋不動産に入社したのですが、一緒に働く人たちの魅力に引き込まれ、この会社で長く働きたいと思うようになりました。その後正社員に登用された際にも、たくさんの方に応援していただけたことを覚えています。そうした温かい社風を多くの人に伝えたい、という一心で取り組みました。

最後に来シーズンに向けて挑戦したい施策や、中長期的な採用戦略について教えていただけますか。

中江:
基本的な採用戦略は大きく変えることなく、今後も協力社員を巻き込み、「人」を軸とした採用活動の最適化を図っていきたいと考えています。とはいえ、不動産マーケットと同様に採用マーケットにも毎年変化があり、それに合わせた新しい施策を実施しなければこれまで以上の成果をあげることはできません。そのために重要だと認識しているのが、シーズンの振り返りと課題抽出です。採用管理システムを活用しながら、フェーズごとの離脱率や内定者の傾向などを分析し、今の学生が何を求めているのかを把握した上で、施策に落とし込んでいければと考えています。

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