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Interview

「テレビを超えろ。」を実現するために――
事業と共に進化する、日本テレビの採用戦略

Published on 2022/01/19

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Profile

御崎 芳仁Yoshihito Misaki

日本テレビ放送網株式会社
人事局人事部
主任

2005年4月、新卒で日本テレビ放送網株式会社に入社。技術統括局にて、テレビ放送の安全運行やシステム構築などの「マスター業務」を担当。放送統括を担うマスターディレクターを務めたのち、2018年6月より人事部へ異動。2021年度新卒採用では採用チーフとして様々な改革を実施する。現在はチーフ経験を活かし、新卒採用のほか社員の育成、人事制度改革なども担当する。

2020年に、10年連続個人視聴率年間三冠を達成した日本テレビ放送網株式会社(以下、日本テレビ)は、名実ともにテレビ業界のリーディングカンパニーです。しかし同社はその地位に甘んじず、「テレビを超えろ。」というメッセージを掲げ、テレビの枠を超えた新事業を積極的に開拓しています。「今の若者世代はテレビ離れが進んでいるとも言われます。しかし、そんな彼らの多様性こそ“テレビを超える”アイディアを生み出すもの。そして多様な人材を惹きつけるためには、我々人事も変わる必要がありました」と話すのは、人事部主任の御崎芳仁様。人事部への異動以来、チーム一丸となって取り組んできた改革の数々についてお話しいただきました。

テレビの枠を超えた事業展開に向け、人材戦略も転換

貴社の採用サイトには「テレビを超えろ。」という印象的なメッセージが使われています。これにはどのような意味が込められているのですか?

ご存じの通りテレビの視聴率は低下傾向にあり、テレビ局は変革を求められています。当社はこの流れをマイナスにとらえるのではなく、むしろ積極的にテレビの枠を超えた新たな挑戦をしようとしており、その思いが「テレビを超えろ。」という言葉に込められています。事実、最近立ち上げた新規事業部では若手社員も中心となって、新事業立ち上げに奮闘しているところです。

具体的にどのような新規事業が実現しているのですか?

一例を挙げると、CGアバターを使って動画投稿や配信を行う「VTuber事業」がスタートしています。総勢100名以上のVTuberが参加する日テレVTuberネットワーク「V-Clan」を設立し、参加VTuberの活動をサポートするというものです。

YouTubeはテレビのライバルというイメージがあったので、意外です。

VTuberは近い将来、YouTubeの枠を超えてさまざまなメディアで活躍する可能性を秘めています。例えばすでに企業とのコラボやイベント、テレビ番組に出演するなどのシナジーも生まれています。そうした展望を踏まえれば、日本テレビとして今からこの分野に参入する意義は大きいと思います。ちなみにこの企画を考えたのは当時入社1年目の社員です。

それはすごいですね。ビジネスの転換に伴って、人材戦略も変化しているのですか?

その通りです。今までのテレビが好きな人はもちろん、「テレビを超えた」新しい日本テレビを創る人材を採用・育成することが我々のミッションとなりました。そのために、いわゆる「マスコミ・テレビ局」に興味がない方へも、積極的に日本テレビの新しい取り組みを知っていただこうと考えています。今お話したスタートアップ事業部門(2023年卒採用ではメディアビジネス部門に内包)や、デジタルイノベーター部門(2023年新卒では、デジタルイノベーター/エンジニア部門) などの新しい採用区分を新設し、ベンチャー企業を目指す方や、イノベーションを起こしたい方にも興味を持っていただける採用を行っています。

テレビに関心がない学生も採用対象となるのですか?

もちろんです。「普段テレビは見ないけれど、日本テレビが持つアセット(資産)を使って面白いビジネスをやりたい」という野心的な方も歓迎ですよ。VTuber事業のように、ネット文化や現代のエンタメに馴染んだ若者だからこそできるビジネスが当社にはありますし、テレビ自体もまだまだ面白くできる可能性を秘めています。こうした状況を踏まえ、これまで以上に多様な人材を採用することが喫緊の課題となっています。

多様な人材を惹きつける、ユニークな採用企画の数々

多様な人材を採用するために、具体的にどのような施策をとられていますか?

日本テレビの採用選考では、適性検査・動画選考・面接・グループワークなどさまざまな方法を用いており、審査には幅広い年代・役職の社員に参加してもらっています。さらに評価方法にも科学的な分析とアナログな人間的感覚を織り交ぜることで、多面的な審査を追究しています。他社と比べると選考ステップが長い分、いろいろなタイプの人材を採用できているのでは、と考えています。

選考プロセスが長いということは、それだけ学生との接点も増えることになりますね。

たくさんの先輩社員と出会うことで、応募者には社員や会社全体の雰囲気を感じていただきたいと思っています。特に今はコロナ禍のため長期間のインターンシップを実施できないため、選考の場が重要な接点となっています。実際、内定者に「入社の決め手」を聞くと、「選考を受けていく過程で日本テレビのことがより好きになりました」という意見がとても多いです。ちなみに私も当社の選考を受けたとき、同じ印象を受けたことを覚えています。

オンライン採用を通じて応募者とコミュニケーションを広げ、深めるためにどのような工夫を行われていますか?

オンラインイベントは関東圏外や海外留学中の方と交流を持てるメリットも大きく、当社も積極的に開催しています。例えばオンライン説明会は「世界一受けたい日テレWeb授業」と題し、バラエティ、報道、スポーツ、メディアビジネスなどコマごとに異なるテーマで配信し、興味のあるものを視聴できるようにしました。

他とは一味違うオンライン説明会ですね。

その他にも、森圭介アナウンサーのインスタアカウントとコラボしたインスタライブなど、オンラインで日本テレビを知っていただく機会を増やしています。ツールもZoomやYouTube、LIVEPARK(グループ会社)、インスタライブなど、参加人数や演出方法に応じて使い分けています。

イベントの内容については、どのような点に注力されているのでしょうか。

どのイベントにも、できるだけ若手社員に登壇してもらうようにしています。先ほども少し紹介しましたが、当社には若手の活躍事例がたくさんあります。例えば最近は、2年目の社員の企画がゴールデンの番組に採用されたり、3年目以下限定の番組企画募集で新入社員の企画が採用されたりと、早い時期からチャンスが回ってくるようになりました。

チャンスあふれる社風が伝わるお話です。人事部でもやはり若手社員が活躍されているのですか?

もちろんです。例えばSNSでいうと、InstagramやTwitterの「中の人」は人事部の若手社員で、新入社員紹介をメインコンテンツとして社内の雰囲気などを学生に近い感性で紹介してくれています。Instagramは開設1年ちょっとで、5000フォロワーを超えています。

進化を遂げるテレビ局の魅力を、もっと広めたい

御崎様は採用のシステム面も改善に取り組まれているとのことですが、最近新たに取り入れたツールなどがあればお話しいただけますか。

当社では10年ほど前からWeb適性検査を実施してきたのですが、自宅でいつでも受けられるという利便性の反面、不正受験で本来の能力とは異なる結果が出ている可能性があるのではないか、という懸念がありました。そこで最近、PCカメラとAIを使用して不正を検知する『TG-WEB eye』(提供:ヒューマネージ社)を試験的に導入しています。公平性を担保する点ではテストセンター方式が最も有効だと思いますが、費用が高いことに加え、場所と時間の制約があるため学生の受検するチャンスが限定されてしまうデメリットがありました。地方在住の学生も自由に受検でき、なおかつ検査の公平性を高められる『TG-WEB eye』は、企業、学生の双方にメリットがあると考え、導入を決めました。

導入してみての感想はいかがですか?

まだ試験運用中ですので効果検証は少し先になりますが、今のところ適性検査の参加者数も導入前と差はなく、ほとんどの学生には自然に使っていただけているのではないかと思います。コロナ禍以降オンラインでの面接が当たり前のものとなり、PCカメラで見られることに抵抗がなくなっていることもプラスに働いているでしょう。私自身も試してみたのですが、カメラが気になるのは最初だけで、問題を解いているうちに気にならなくなりました。

今後の採用活動に向けての展望をお聞かせください。

まずは日本テレビのテレビ以外の事業について、もっと知っていただく機会を増やしたいと考えています。HuluやTVerなどの動画配信や、日テレHRという研修・教育事業、フィットネスジムなどの健康関連事業、そしてはじめにお話ししたVTuber事業(V-Clan)など、紹介したい新事業がたくさんあります。そしてもう一つの目標は、従来のテレビ局のブラックなイメージを払拭すること。実は日本テレビでは今、積極的な職場改革に取り組んでいます。

職場環境はどのように変化しているのでしょうか。

まず、制作現場の意見で、下働きのイメージを想起させる「AD」という呼称をなくしました。制作現場で働くメンバー全員が、クリエイターとして尊重される職場を目指すためです。また、「日テレワークスタイルチャレンジ」と銘打った働き方改革によって仕事の無駄をなくし、休暇が取りやすいと同時に、よりクリエイティブな仕事に集中できる環境を実現しています。「テレビ局の仕事は面白そうだけど、きつそうだから受けるのはやめよう」と考えていた優秀な方にも、安心してぜひ受けていただきたいですね。

「テレビを超えろ。」のメッセージに恥じない、先進的な取り組みですね。

実は制度面も充実しており、以前から法定以上の育児・介護休業制度を導入していました。さらに、今年度から同性パートナー制度を導入して、異性婚と同様の福利厚生サービスを受けられるようになりました。また、11月には「日テレサステナビリティポリシー」を策定し、SDGsへの取り組みも進めています。こうした取り組みに共感し、「テレビを超えろ。」を実現できる人材が集まる会社にしたいと考えています。

今後の展開も楽しみです。最後に、御崎様が採用活動において最も大切にしていることを教えていただけますか。

これはチーム全体に共通した気持ちだと思いますが、当社を志望してくださるすべての方に、合否にかかわらず、今後も日本テレビのファンであっていただきたい、と願っています。そのために私たちは、学生を不安にさせないよう、やりすぎと思われるぐらい手間をかけてフォローしています。日本テレビでは昔から圧迫面接にならないように心掛けるなど、学生との関係づくりを大切にしてきました。最近はLGBTの方々への対応もスタートさせ、より多様な人材を受け入れられる体制を整えています。こうした取り組みのおかげか、学生へのアンケートでも「先輩から日テレの採用は印象が良かったと聞いて、受けてみようと思った」という回答が多いですし、私も日本テレビを受けた先輩の話を聞いて当社にエントリーしようと思った一人です。新しい施策やシステムで時代に適応しつつも、こうした地道なファンづくりは、今後も変わらず続けていきたいですね。

 

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※所属・内容は取材当時のものです


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