大学卒業後、建設会社に入社し、主にダムの設計、及び現場を経験。2002年より日本工営にて河川・ダム関連業務を行う。2010年より札幌支店で設計系業務全般における技術部長に就任。2018年には札幌支店長に就任。支店長時には北海道胆振東部地震で陣頭指揮も行う。2019年からはコンサルタント国内事業本部技術戦略室にて、コンサルタント部門の技術・人財全般、ならびに長期経営戦略に対応。2020年からは人事部長とデジタルイノベーション部生産効率推進室長を兼務、現在に至る。
Published on 2021/08/27
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国峯 紀彦Norihiko Kunimine
日本工営株式会社
経営管理本部 人事部長
事業戦略本部 デジタルイノベーション部 生産効率推進室長
大学卒業後、建設会社に入社し、主にダムの設計、及び現場を経験。2002年より日本工営にて河川・ダム関連業務を行う。2010年より札幌支店で設計系業務全般における技術部長に就任。2018年には札幌支店長に就任。支店長時には北海道胆振東部地震で陣頭指揮も行う。2019年からはコンサルタント国内事業本部技術戦略室にて、コンサルタント部門の技術・人財全般、ならびに長期経営戦略に対応。2020年からは人事部長とデジタルイノベーション部生産効率推進室長を兼務、現在に至る。
1946年の創業以来、160か国で社会資本づくりのプロジェクトに関わってきた日本工営。日本国内でNo.1のシェアを誇る、世界的な建設コンサルタントです。近年は土木関連のコンサルティング事業や電力エンジニアリング事業のみならず、再生可能エネルギー関連ビジネスを行うエネルギー事業、さらには建築から都市開発までを一貫して手掛ける都市空間事業など、新たな分野へ事業領域を拡大。それに伴い、人材戦略も大きく変化しつつあります。今回インタビューに応じてくださったのは、人事部部長とデジタルイノベーション部生産効率推進室長を兼ねる国峯紀彦様。ダイバーシティ経営と連動した、独自の採用活動について語っていただきました。
まずは国峯様の経歴をお聞かせいただけますか。
私は大学でダム関連の技術を専攻しており、卒業後にはある建設会社でダムの設計業務に従事していました。日本工営に入社したのは2002年のことです。入社後もやはり技術者としてダムの設計に携わっていましたが、札幌支店技術部長、札幌支店支店長などを経て、2020年7月からは人事部長と事業戦略本部デジタルイノベーション部生産効率推進室長を兼務しています。
人事部と同時に、事業戦略本部にも所属されているのですね。
事業戦略本部は2020年7月に新しく設けられた組織で、私はその中でもDX(ITを活用した事業改革)を駆使した生産効率推進に取り組んでいます。当初は人事部長と兼務するのは難しいのではないか、とも考えました。しかし、生産性を高めて残業を削減するという生産効率推進室のミッションは、社員の幸せにつながるものです。私はかねてより、人事の仕事を通じて日本工営グループで働く人々の幸せに貢献したいという願いを持っていました。それならば、働き方改革とシンクロした人事と生産効率推進に挑戦してみようと考え、兼務を引き受けた次第です。
貴社は建設コンサルタントとして日本でナンバーワンの実績を持つ企業です。リーディングカンパニーとして、採用ポリシーについてどのようにお考えか、教えていただけますか。
私たちが採用において大切にしているのは、リーディングカンパニーとしての責任を持って、この建設コンサルタント業界の魅力を学生に伝えることです。例えば、かつて建設コンサルタント業界は「残業が多い」というイメージがありましたが、数年で劇的に変わりつつあると考えています。当社の相談役が2021年6月まで建設コンサルタンツ協会の会長を務めたのですが、仕事を発注する国・自治体に対して「マンディ・ノーピリオド(月曜日は依頼の期限日としない)」「フライデイ・ノー・リクエスト(金曜日は依頼しない)」「ウェンズデイ・ホーム(水曜日は定時に帰る)」などを訴えかけ、今では発注側にもこの意識が浸透しつつあります。おかげで無理なスケジュールの仕事が減っているのです。
貴社が率先して、業界全体のワークライフバランスを推進しているのですね。
社内においても、ワークライフバランス推進委員会を立ち上げ、働き方改革に取り組んでいます。私自身は生産効率推進室も兼任しているので、様々なツール開発を行いながら定型業務の効率化を図り、より付加価値の高い仕事を行えるようにすると共に、将来的には「残業ゼロ」の明るい未来を目指しています。具体的な人事制度としても、育児休業制度(男性育休含む)、テレワーク推奨制度(テレワーク下での残業管理も可能にしました)などがすでに実践されており、これらも会社説明会やインターンシップで丁寧に説明しています。
ワークライフバランスへの取り組みは、学生からの評価も高いのではないでしょうか。
ワークライフバランスへの取り組みは、学生からの評価も高く、ありがたいことに、この数年は特に優秀な学生に入社いただけるようになりました。能力・人物面共に優秀な学生、ならびに多様な学生が入社するといった理想的な形となってきています。
貴社が求める人物像とは、どのようなものですか?
一言で言えば、「あなたは日本工営で何をしたいですか?」という質問に対して、明確に回答できる人ですね。ビジョンを明確に持っている人ほど、当社への理解が深く、入社後の活躍にも期待できるものです。もっとも、我々が採用したいと思う学生はたいてい他社からの内定も受けているものですから、その中で当社を選んでいただくためにはしっかり当社をアピールしなければなりません。日本工営の志望者には国家公務員試験に合格するような学生も多いのですが、最近は当社を選んでいただけるケースが増えてきたように感じます。
それはなぜでしょうか。
国家事業に劣らず世の中に貢献できる、建設コンサルタントの魅力が伝わっているのだと思います。例えばダムなどの大規模河川施設などは一国の安全に関わる巨大インフラであり、自らの力で多くの人の生活を支えるやりがいは他に代えられないものだと思います。さらに当社では近年、入社後のキャリアビジョンを、説明会などを通して明確に提示しています。大学で学んだ専門技術や各自の希望を活かし、本当にやりたい仕事を手掛けることができる仕組みが当社にはあります。
貴社ではかなり細分化された分野別採用を行われていますね。それもキャリアビジョンを明確にするための施策ということでしょうか。
その通りです。当社ではここ数年、例えば河川領域の中でも「河川計画」「河川構造」、ITが得意な方は「ICT・情報」といった風に、かなり業務分野を細分化して採用を行っています。これは、学生が入社後に「こんな業務は想定していなかった」とミスマッチに苦しむ事態を避けると共に、各分野の社員が一次面接で直接詳しい業務内容を説明することを目的に行っています。特に最近はあらゆる建設プロジェクトにおいてDX人財が欠かせないようになり、当社も積極的にIT系の学生を採用しているのですが、具体的にITをどのように仕事で役立てられるのかを知ることで、魅力を感じてくれる人も多いようです。
実施後の効果はいかがですか?
まだここ数年のデータしかありませんが、選考中の辞退者数は目に見えて減っていますね。今後はさらに長期的な社員の定着率も高めていければ、と考えています。就職は結婚と似たもので、会社と社員の付き合いは人生の中で相当長い時間を占めるわけですから、できる限り満足して、長く勤めてほしいというのが私の想いです。
企業の魅力を伝える上で、インターンシップはどのように活用されていますか。
当社では夏季および冬季にインターンシップを実施しています。特に夏季は二週間と長い期間をとり、グループワークを行い、現場で実際に社員が働く様子を見ていただきます。現場のリアルな雰囲気をつかみ、入社後のイメージを明確にしてほしいという意図です。あいにく昨年度はコロナ禍の中オンラインでの実施になりましたが、全地域のクオリティを高い水準に統一できたことや、学生の発表に対して社員がコメントを出す双方向の発表会をうまくできたこと、オンラインだからこそ様々な現場を見せることができたことなど、メリットもありました。参加者からも「インターンシップで若手の先輩社員から仕事の楽しさを伝えてもらった」などの好意的な意見を多数いただいています。一方、対面できないデメリットもあったため、今年度の夏季インターンシップでは、コロナの蔓延状況を踏まえながら、対面とオンラインのハイブリッドなインターンシップを検討しています。
2023年新卒採用ではどのような施策に注力される予定ですか?
ダイバーシティ経営を意識した採用活動を実施したいと考えています。ダイバーシティ経営は、女性、外国人、高齢者、障がい者を含め、多様な人財を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することによりイノベーションにつなげるという施策です。経済のグローバル化、少子高齢化が進む中で企業競争力を強化するためには、不可欠と言えるでしょう。
具体的にはどのような採用活動を展開されるのですか?
日本語が話せる外国人の採用はすでに実施していますし、日本語が話せない外国人についても、各国の現地法人で採用しています。2023年新卒採用では特に「女性活躍」の観点で女子学生の採用を強化する予定です。具体的には、会社説明会に登壇する女性社員を増やしたり、女子学生専用の説明会を実施したりすることを検討しています。建設業界は全体的に女性が少ない傾向があるのですが、今後は当社も女性社員の比率、女性管理職の比率を高めていかねばなりません。
先進的な取り組みですね。人財の多様性を高めることは、経営にとってどのような意義があるとお考えですか?
多様性のない人財、同じような人財ばかりが集まっている企業は、加速する時代の変化に対応することができず、衰退してしまいます。さらに、当社はチーム力・総合技術力を活かして業務を遂行しています。多様な人財を採用することは、そのためにも重要です。
事業戦略や経営戦略を踏まえた、今後の採用活動の展望を教えてください。
2020年7月に、都市空間事業部、事業戦略本部デジタルイノベーション部が新設されたことにより、ますます建築分野の人財やDX人財を積極的に採用しなければならないと考えています。また、さらなる海外展開も想定し、採用人数もここ数年の採用規模を縮小することなく継続していきたいと考えています。こうした取り組みを実現するためにはもちろん採用研修チームの力が必要ですが、嬉しいことにメンバー全員がすでに今まで話した私の考えを十分理解して活動しており、すでに目指すチーム像になっていると考えています。
最後に、国峯様ご自身の、「人事」という仕事への想いをお話しいただけますか。
「人事」という字は「人」の「事」と書きますが、全くその通りだと思います。「他人事」では決してなく、真剣に人と向き合い、悩んでいる人に手を差し伸べるのです。私は人事部長として、日々さまざまな社員と面接をします。例えば今の仕事がつらい人、別の仕事をしたいと希望している人など、人それぞれ思いは違います。彼らが考えていること、感じていることをしっかりとらえ、丁寧に対応することを、私はいつも大切にしています。ときには何らかの事情で休業を願い出る社員もいますが、それを事務的に承認するだけでは「人事」とは言えません。なぜ休みたいのか話を聞き、どうケアすればいいのか親身に考え、もう一度幸せに働いてもらえるよう尽力します。採用についても、目標は同じことです。「日本工営で働いて良かった」と採用したすべての社員に実感してもらうこと、これに尽きます。
Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
新たな採用手法の実現方法を紐解きます。
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