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Interview

応募者に寄り添い、優しい人材を募る――
ヤマザキビスケットが目指す「双方向採用」

Published on 2021/10/05

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Profile

森山 亮Ryo Moriyama

ヤマザキビスケット株式会社
総務部 人事課

2016年入社。名古屋営業所で約4年間営業職を務めたのち、2020年1月に総務部人事課へ異動。現在は新卒採用の企画・運営と同時に、新入社員の教育も担当する。

「チップスター」「エアリアル」「ルヴァン」をはじめ、数々のロングセラー製品を誇る菓子メーカー、ヤマザキビスケット。2016年に現在の社名に変更したのちも「ノアール」や「ルヴァンプライム」など積極的に新商品を発売、ますます勢いを伸ばしています。そんな同社が創業当初から変わらず掲げる企業理念は「価値ある製品の提供」。「当社の使命は、品質の高いお菓子を通じて、“おいしさ”や“楽しさ”といった価値を多くの人に届けること。だからこそ、知識や能力以上に、優しい人柄を重視した採用をしているんです」という採用担当・森山亮様に、ヤマザキビスケットの人材戦略を語っていただきました。

応募者の質問機会を増やす、双方向型採用

貴社は創業当初から「価値ある製品の提供」という理念を掲げ、数々のお菓子を世に送り出されています。こうした事業内容や理念に基づき、採用活動をどのように位置づけられているか、お話しいただけますか。

おっしゃる通り、当社は価値ある製品の提供を理念に掲げています。お菓子を通して消費者に届けられる「価値」といえば、「おいしさ」や「楽しさ」といったものですよね。一人で食べて幸せを感じることもあれば、お菓子を介して人とのコミュニケーションが深まることもある。そういう身近で楽しい商品を取り扱う仕事だからこそ、採用において最も重視するのは能力や知識以上に一人ひとりの「人柄」です。楽しくお菓子を食べることが好きな人、人とのコミュニケーションが好きな人、そんな柔らかい人柄を持つ人が当社にはマッチすると思います。

森山様も、そのような社風を実感されていますか?

はい。私は人事課に来る前に約4年間営業をしていたのですが、営業所ではいつも同僚と一緒にお菓子を食べながら楽しく働いていました。お菓子を食べることで業界の動向を知ることは、菓子メーカーの社員にとって仕事の一部なんです。もともとお菓子好きで、人と話すのが好きだった私には素晴らしい職場でした。

人柄を重視する採用においては、特に応募者とのコミュニケーションが重要になるかと思います。昨今は採用のオンライン化が進んでいますが、貴社ではどのような工夫をされていますか?

オンラインでのコミュニケーションは確かに難しい面があります。例えばオンライン説明会は、どうしても一方的な配信になりがちです。「企業側から一通り情報を提供した後、最後に参加者からいただいた質問をいくつかピックアップして回答する」という一般的な構成では、答えられる質問の数はかなり限られてしまいます。実を言うと2021シーズンの新卒採用ではこの点で課題が残りました。採用管理システム『i-web』を利用して内定者に対するアンケートを行ったところ、「説明会でもっと〇〇について知りたかった」という要望が複数あったのです。

そうした課題に対し、どのように取り組まれたのですか?

とにかく学生から質問を受け付ける機会を増やすよう心がけました。たとえば複数回にわたって開催した「オンライン質問会」は、約一時間、ひたすら参加者からの質問に答え続けるというイベントです。さまざまな部門の先輩社員に出演してもらうことで、応募者のあらゆる疑問に答え、当社への理解を深めてもらおうという狙いです。応募者を継続的にフォローすることを目的に、インターンシップの時期、選考中など、さまざまなタイミングで複数回実施しました。さらに、質問会の映像はオンデマンド配信も行いました。今の学生は皆さん忙しいですから、リアルタイムだと参加できない人もいるでしょう。応募者全員に平等に情報を与えたいと考えたのです。

採用と新人教育を一元化し、採用企画をブラッシュアップ

質問会の反響はいかがでしたか。

非常に好評でした。今までになかったほどたくさんの質問が寄せられ、それに答えることができました。中でも多かったのは、仕事内容の詳細や、キャリアビジョンなどについての質問ですね。普通の説明会だとちょっと聞きづらいような、突っ込んだ質問もこの質問会では多かったと感じます。例えば当社は2016年にヤマザキナビスコからヤマザキビスケットに社名が変わり、過去の商品の一部がなくなったのですが、この点についての質問もありました。「社名変更によってブランド力は落ちていないのか」と。

少し厳しい質問ですが、どのように回答されたのですか?

もちろん、正直に回答しました。いくらか業績に影響はあったものの、当社としては「ヤマザキビスケット」ブランドで新たに出発しようという、むしろ前向きな気持ちで事業に取り組んでいる。そうお伝えました。嬉しかったのは、その話をポジティブに捉えてくれる応募者がとても多かったことです。「過去の商品群に負けない、ヤマザキビスケットという新しいブランドを一緒に育てたい」という強い動機を持って選考に臨んでくれる人もいました。また、「自然体で質問に答える社員たちの姿を見て会社の雰囲気が伝わった」「仕事への理解が深まった」という意見も多数いただきました。

この企画は森山様が中心に立てられたとのことですが、ユニークな発想はどこから生まれたのでしょうか。

やはり、昨年の内定者アンケートを見て改善点を考えたことが大きかったと思います。さらに私は、新卒採用と同時に新入社員の教育・フォローも担当しています。彼らの声を直接聞くことが、採用戦略の立案に役立っていると感じます。

質問会以外で、森山様が2022シーズンで注力した施策はありますか?

Webコンテンツの制作にはかなり力を入れました。昨年までは通常の採用サイトをメインに情報発信をしていたのですが、今年は登録者のみ閲覧できるマイページも拡充し、より深い情報を発信するよう心がけました。先ほどお話した質問会の映像もマイページで配信しましたし、それ以外の説明会動画についても、「会社概要」「福利厚生」などいくつかのテーマに分けて見やすく配信し、学生が知りたい情報をすぐ得られるよう工夫しました。

確かにマイページのコンテンツはかなり充実している印象を受けました。これらを一から作るのはかなり大変だったのでは?

後輩に手伝ってもらいながら社内で作りました。ヒューマネージ社の採用管理システム『i-web』に搭載されているCMS機能を活用しながらでしたので、それほど難しくはありませんでした。ちなみに、マイページコンテンツでどのような情報を提供するかについても、昨年の内定者、つまり今年の新人の意見を参考にしました。マイページを通じて少しでも入社前の不安を払拭していただければ、と願っています。

オンラインという「壁」を打ち破りたい

2023シーズンではどのような施策に注力したいとお考えでしょうか。

来年の採用活動も引き続きオンラインがメインで、そこに対面の面接などを状況に応じて組み合わせていくかたちになると考えています。私が特に注力したいのは、オンラインコンテンツのさらなる拡充です。例えばコロナ禍以前の採用で行っていた工場見学を、オンラインで実現したいですね。やはり当社はメーカーですので、製造現場を見ることには大きな意義があると考えています。応募者に現場の雰囲気をつかんでいただき、なおかつ楽しんでいただけるようなコンテンツを作りたいです。

採用活動における目標設定や振り返りはどのように行われているのですか?

まずは各現場の声を聞き取り、何人採用する必要があるか考えます。現場社員の意見と、残業時間などの数値を参照して適正人員を考えるのですが、最終的に重視しているのは各部署の社員が良い環境で働けることです。振り返りについては、数値の分析のほか、内定者の意見を聞き取ることで課題を抽出し、それを受けて次年度の採用企画を改善します。ちなみに、2021シーズンはオンラインを主体とした初めての採用となりましたが、例年と変わらず当社に適した社員を採用できたと感じていますし、各現場からも「今年の新人も頑張っているよ」という声を聞いています。

今後の中長期的な採用活動の展望についてお聞かせください。

「ヤマザキビスケットらしい採用」、つまり「人」を大切にした採用をこれからも続けていきたいと考えています。たとえば当社では例年、応募者に直接お会いして内定を伝えています。そうすることで、互いの気持ちが伝わると考えているからです。残念ながらコロナ禍で対面が難しくなった今も、一部職種では電話やメールではなくオンラインで、互いの顔を見ながら内定をお伝えしています。学生も喜んでくれていますし、彼らの笑顔を見ると、私たちもやはり嬉しくなりますね。そういうきめ細やかなコミュニケーションを、これからも忘れずに続けていきたいと思います。そして、オンラインでのコミュニケーションにつきものの「壁」を、少しでも壊したい。オンライン化が進み、学生はスマホやパソコンで簡単に情報を入手できるようになりました。そんな時代だからこそ、他社よりもいっそう応募者と距離の近い会社にならなければなりません。そのために、今まで以上にイベントを頻繁に実施し、学生と双方向のコミュニケーションを図りたいと考えています。

最後に、森山様の「採用」への想いについてお話しいただけますか。

営業から人事に異動したとき、営業の上長から言われた言葉が印象に残っています。それは「採用は会社にとって非常に重要な仕事で、誰にでもできることじゃない。しっかり頑張れ」というもの。折に触れてその言葉を噛みしめ、会社の「仲間」を集めるという仕事の意義を思いながら働いています。特に今は新入社員の教育も兼ねているので、自分が採用した社員が一人前の社会人に育っていくのを見ると、責任とやりがいを感じますね。これからもヤマザキビスケットの魅力を一人でも多くの方に伝え、選考時はもちろん入社後もしっかりフォローしていきたいと思います。

 

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