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Interview

「変化の先を、描き出せ」
――“次の100年”をつなぐ人材を求めて

Published on 2020/09/25

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Profile

都築 久美Kumi Tsuzuki

コクヨ株式会社
経営管理本部 HR部 採用ユニット

2008年4月、コクヨ株式会社に新卒入社。1年目より人事に配属され、新卒採用を主に手がける。採用企画の立案・運営から、面接調整、学生へのフォローまで幅広く担当し、若手育成、異業種研修の企画・実施等の実績も持つ。採用業務において大切にしていることは、「採用活動を通じて出会う学生はもちろん、一緒に働くメンバーも一緒に心地よく過ごせる環境を作ること」。

年間1億冊販売されている「Campusノート」やアクセサリーのように組み合わせを楽しめる文具ブランド「KOKUYO ME」など、コクヨ株式会社は文具メーカーとして圧倒的なブランド力を誇ります。しかし、実はコクヨのステーショナリー事業は、意外にも全体の1/3程度の売上。創業100年を超える歴史に甘んじず、新たな事業領域や海外市場に挑み続ける同社にとって、2021採用における目標は「コクヨが持つ従来の企業イメージを覆し、チャレンジングな人材を獲得すること」だったといいます。そのために採用チームではどんな戦略をとったのか。HR部の都築様にお話を伺いました。

「今までのコクヨが好き」ではなく、「これからのコクヨを作る」人物像へ

まずはコクヨ株式会社について、あらためてご紹介いただけますか。

現在コクヨでは、オフィス空間構築などを行う空間価値ドメイン、オフィス用品の仕入れ・販売を行うビジネスサプライドメイン、文具の製造・販売を行うグローバルステーショナリードメインを展開しています。売上としては空間価値ドメインが最も大きくなっています。

文具メーカーという印象が強いですが、多岐にわたる事業を展開されているのですね。

その通りです。以前のコクヨは創業以来100年にわたり、文具をはじめ「良い物を作る」会社でした。しかし2015年に、次の100年の持続的成長に向け、企業としてありたい姿を再定義しました。

 コクヨは、商品、サービスを通じて、
 顧客の創造性を向上する価値を提供することにより、
 人々のより良い 「はたらく」「まなぶ」「生活する」
 “Quality of Life”の向上を実現し、
 社会の役に立つ Life & Work Style Company を目指す

既存の事業領域に囚われず、社会や人々の創造性を解き放つサービスを提供することが、当社の役割だと考えています。そのため文具や家具は手段にすぎません。今後はさらなる海外市場の開拓や、新しい事業の創出など、今までにない挑戦も本格化していくでしょう。

大きく変化する事業の方向性と、採用方針とはどのようにリンクしているのでしょうか。

2018年にコクヨは人事制度も刷新し、社員一人ひとりが創造性を解き放つことができる環境づくりに取り組んでいます。これにともなって、採用テーマもよりアグレッシブなものに変わりました。一言でいえば、「これまでのコクヨが好きだった人」よりも、「これからのコクヨを作りたい!」というような、強い当事者意識を持って挑戦する人材を採用したいと考えたわけです。

採用サイトをフルリニューアルし、大胆なリブランディングを図る

新しいタイプの人材を採用するために、具体的にどのような工夫をされましたか?

2021新卒採用サイトは、過去のものから全面的にリニューアルし、デザインも中身も大きく作り替えました。以前は「誰からも受け入れられやすい、コクヨらしい雰囲気」のサイトだったのですが、新サイトでは「変化の先を、描き出せ」という力強いキャッチコピーを掲げ、社員紹介記事などを通して「文房具メーカーの枠に囚われず様々な仕事に挑戦できる環境」をアピールしました。デザインもかなりビジネス感を強調したものに一新し、大胆なリブランディングを図りました。

確かに「文房具のコクヨ」というイメージが一変する、クールなサイトでしたね。

ありがとうございます。前例のないことで苦労しましたが、「これまでのコクヨと違いますね!」と多くの方から感想をいただき、狙いはある程度成功したのではないかと思っています。

採用サイトの制作以外ではどのような工夫をおこなわれましたか?

会社説明会の方向性も変更しました。ステーショナリー事業以外の売上比率が伸びていることや、未知の可能性に満ちた今後の事業戦略、そして「指示を待って働く人ではなく、主体的に、創造的に働きたい人を採用したい」ということもはっきり伝えるようにしました。そうした取り組みにおける本当の成果が見えてくるのは入社後だとは思いますが、例年の内定者とは少しタイプの違う、個性的な人材に内定を出すことができたという手応えはありますね。

「一人ひとりの学生と向き合う」オンライン化しても変わらないこだわり

2021採用は新型コロナウイルスの流行と時期が重なりました。すべての面接をオンラインに切り替えたとのことですが、採用フローの急な変更において、決断に迷うことはありませんでしたか?

いえ、かなり早い段階でオンライン化を決断しました。初めてのことで私たちも不安はありましたが、学生の皆さんはそれ以上に不安だったはず。彼らのために、早く決断しなければならないと考えたからです。また、当社の選考では集団面接やグループワークがなく、すべてシンプルな個人面接なんです。そのおかげもあって、オンラインに切り替わっても面接スケジュールを変える必要がありませんでした。

個人面接のみで選考を進めるのは、大手企業では珍しいと感じます。どのような意図があるのでしょうか。

「個人」として学生としっかり向き合いたいからです。グループワークや集団面接も良いところがあると思いますが、グループの他のメンバーの影響を受けて、本人らしさが発揮できない可能性もあります。手間がかかっても、一人ひとりとじっくり向き合い、学生個々の良さを見定めたいというのが私たちの想いです。

面接をオンライン化したことによるメリット・デメリットについてはどのようにお考えですか。

学生に直接会えなかったのはもちろん残念ですし、働く空間のデザインを行っているコクヨとしては、来社して会社の雰囲気を見てもらえなかったのもマイナスポイントです。ただし、オンライン面接だからといって選考の精度が落ちることはありませんでしたし、これまでリアルで会うためにかかっていた工数を削減できたと同時に、普段は会えない学生との接点が増えたことは、採用チームにとって大きな利点でした。

オンライン環境を活用して貴社の採用ポリシーを伝えるため、どのような工夫をされましたか?

オンラインで説明会を行い、動画はマイページにアップして、エントリーした学生が閲覧できるようにしました。たとえば学内説明会の場合、どうしても参加人数が限定されますが、オンラインの場合はよりたくさんの人に見ていただける良さがあります。また、当社では以前から仕事内容を理解するためのWebセミナー動画を配信していたのですが、これに加えて、企業文化や今後の方向性を語る動画を新たに作り、マイページに公開しました。社員を交えた座談会もオンラインで開催し、例年以上にたくさんの学生に参加していただくことができました。遠方の方も気軽に参加できるところは、オンラインならではですよね。

今後の採用活動に向けて、どのような新施策をお考えでしょうか。

当社が求めるチャレンジングな人材とさらに積極的に出会うため、マスメディアを使った求人以外のチャネルも開拓する必要があると考えています。

内定式やその後のフォローについては、どのように計画されていますか?

例年、内定式といった式典はやっておらず、研修をおこなっています。今年は、万全の感染対策をおこなった上で開催する予定です。やはり私たちとしても、入社前に一度は内定者に会いたいですし、内定者同士も顔を合わせる機会があったほうが安心すると考えています。一方で、当社では例年、研修後は入社まで内定者と接触を持たない方針を取っています。それぞれの学生生活をしっかりやり切って、そしてその経験をコクヨで活かしてほしいですね。

お話を伺って、オンライン化する/しないをフェーズごとに見極めながら、自社に適した方法をポジティブに決断されてきた印象を受けました。最後に、「時代が変わってもここは変えたくない」というポイントはありますか?

個人面接の意図とも重なりますが、「一人ひとりの学生としっかり向き合う」ことですね。たとえば面接では、対面・オンラインに関わらず、表面的な会話ではなく、学生の個性を引き出す会話を心がけています。そして面接は、私たちが学生を見る場であると同時に、学生が私たちをジャッジする場でもありますよね。ですから私たちも、「チャレンジできる環境」というキラキラしたキーワードだけではなく、その裏側の苦労も正直にお伝えします。選考とは別におこなう社員との面談でも、社員には人事から特に指示を出しません。お互いがフェアな関係でいることで、やり方が変わっても、学生と変わらず向き合えるのではと考えています。

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